この映画の公開を知った時、
「ぜったーいに行く~~ !!!」となった私です。
なぜなら、これは今年の私のための映画でしょと思えたからです(アホですね、確かに。)
たぶん巷では、ずっと以前から普通に「リチャード3世」と言う風は吹いていたのだと思います。ところがこの私にとっては、その風に気がつきそれを感じたのは今年に入ってからだったのです。
今年2月に「舞台「薔薇王の葬列」」(←感想をリンクしました。)をテレビで観ました。
それはシェークスピアの「リチャード3世」と「ヘンリー6世」を基にした漫画が原作の舞台でした。美しいけれど暗く重い作品でした。ただその時に、この「リチャード3世」と言う人に興味を持ったのです。
その後続けて見たお芝居は、「音楽劇「歌妖曲~中川大志之丞変化~」」。
何とこれも、「リチャード3世」のお話がモチーフになっているもので、私は驚きました。
もちろん基になっているのは、シェークスピアの作品です。王権の簒奪者として描かれているリチャード3世・・・・・真実はどうなのかしら・・・・・
演じている人たちが綺麗なので、とても悪くは思えず悲劇ばかりが胸に突き刺さります。
そう思ってネットウロウロしていたらですね・・・・「音楽劇「歌妖曲~中川大志之丞変化~」の中にもリンクしたのですが、
2014年のニュースですが、
>「シェークスピアの戯曲では背骨が湾曲し、権力に飢えた残忍な人物として描かれるリチャード3世だが、現代の研究ではリチャード3世を倒して台頭したテューダー朝によって本来の姿が歪曲(わいきょく)されていることが分かっている。(c)AFP/Richard INGHAM」
なんか凄いじゃないですか!?
だけどそれはもう9年も前のビッグニュースだったわけなんですよね。
でも私が「凄いなぁ。興味あるなぁ。」と思った今年にこの映画ですよ !
やっぱり世界って私中心に回ってるんじゃないの ?
って、阿保か(笑)
だけどネットウロウロしていた時に見た、ある写真・・・・・。
発見時の記者会見に臨む大学の先生たち・・・・。
この映画を見終わったら、少々気持ちが変わりました。
たぶんその席には、この映画のモデルになった発掘の立役者だった女性の席はなかったと思います。
その写真を見たころは
「嬉しいだろうな。誇らしいだろうな。」って私は単純に思っていたのですが。
その画像はこちら→イングランドの駐車場で人骨を発掘、リチャード3世の可能性 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News
少々映画の感想と離れたところから入ってしまいましたが、この下地があってこその私の感想です。
この物語は
「500年にわたり行方不明だった英国王リチャード3世の遺骨発見の立役者となった女性の実話をもとに撮りあげたヒューマンドラマ。
フィリッパ・ラングレーは職場で上司から理不尽な評価を受けるが、別居中の夫から生活費のため仕事を続けるように言われてしまう。そんなある日、息子の付き添いでシェイクスピア劇「リチャード三世」を鑑賞した彼女は、悪名高きリチャード3世も実際は自分と同じように不当に扱われてきたのではないかと疑問を抱き、歴史研究にのめり込むように。1485年に死亡したリチャード3世の遺骨は近くの川に投げ込まれたと長らく考えられてきたが、フィリッパは彼の汚名をそそぐべく遺骨探しを開始する。」
byロスト・キング 500年越しの運命 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
この作品の感想を一言で言うと、「推し活、大事 !!」です。
好きなもの、愛する者があるということは、本当に大切なことで、そのために学び、エネルギーを費やすことの出来る幸せを感じました。
何かを頑張ろうと、そんなことが思える作品で、本当に皆様にもお勧めできる映画だと思います。
骨が見つかっても、埋葬の時に、正当な王室の者の称号が得られないと分かって、ヒロインのフィリッパは幻影のリチャード3世に謝ります。
「私の力不足で・・・・」
「良いんだ。君が分かってくれていれば。」と彼が言います。
ジーンと来ますね。たった一人でも分かってくれる人がいれば・・・・。
でももちろんそれはたった一人ではなかったわけで・・。
それから彼女が、ここだと場所を突き止めたところの駐車場には大きく「R」の文字がありました。
「リチャード」の「R」 !
ワクワクしましたよね、あのシーン。
でもそれは「専有駐車場(Reserved)」と言う意味だったわけですが、でもそれでもやっぱり胸が高鳴りましたよね。
素敵な映画時間でした。
画像の下は、ほんのちょっとだけのネタバレ感想です。
実はちょっとだけイライラしました。
彼女が場所を突き止めて、お金も彼女が苦労して工面したというのに、彼女は名もなき普通の主婦。
骨が見つかってみれば、前面に出ていくのは大学の名前ばかりです。しかも協力もしていなかったというのに。
結局予算のために渋々と動いた学者は、良いとこ取りで大学には教授として復帰できたし、功績は彼の物であるみたいに扱われてしまう。間抜けにも本当は、彼女が主張する骨は違うと言い張って、彼が最後まで主導だったら、さらに無駄にお金を使い、さらには使い果たし徒労に終わった事でしょう。
ある意味酷い描かれ方かもしれません。このモデルになった人が、この作品を見たら、あまりいい気持ちにはなれないでしょう。
でもそれはリチャード3世と同じと言うことなんだと思います。
とってもインパクトのある凄い作品があって、その作品が良いと思うと、そこに描かれている人のそれが真実であるかのように感じるのですよね。
実話をもとにした物語の、そこは注意しなければならない点かもしれませんね。
だけど講演と言う新しい世界を持ち、家族とも良好な絆を得ることが出来ました。
しかもちゃんと見るべき人は見ているのです。
彼女は女王から勲章を貰いました。
また彼女たち多くのリチャード3世の理解者たちの努力によって、リチャード3世の名誉は回復され、もう彼は王位の簒奪者ではありません。
仕事を辞めて心配する友に
「冒険の旅に出るわ。」と確か言ったような気がします。
セリフはいつも不正確です。
「そうね、たぶん冒険の旅に出るかも。」
とっても素敵なセリフじゃありませんか ?
この映画、好きすぎて久しぶりにパンフレットを買っちゃいました^^