いや、赤くはないか。雪が降っているんだから。
諏訪に移された由布姫は、晴信のみしるし欲しさに逃げ出します。でも、晴信の首が欲しかったのは、逃れることが出来ない恨みの思いからではなく、押さえがたい恋の想いからだったのです。
今日も由布姫に始まり由布姫に終わったという感じでしたね。途中で村上の計略のシーンもありましたが、次への伏線でどうってこともありませんでした。
先週、皆様のブログ周りをしていて、ちょっとアチキは驚いたでやんす。
―もうたくさんだ、うんざりだ、飽きた、お腹いっぱいだ、吐きそうだ、ゲー
あっ、ウソです。さすがそんなことは書いてはいませんでしたが、まあそんな感じ。それでは「消えた姫」はどうなってしまうのか・・・
後で、ブログ回りをする楽しみがいつもより期待大かもしれません。姫の話ONLYだった今回、皆様はいかが感じたのでしょうか。
それでは、私はどうだったのかと言うとですね、実はワタクシ、今回のシーンを楽しみに待っていたのですよ。
得意のはるか昔のお話ですが、近所の二番館映画館で「風林火山」を観たのですよ。それをやっているから、行ったのではなく、行ったらそれをやっていたのです。この期に及んで足掻くわけではありませんが、その時はまだ子供でしたので、この「風林火山」をまったく理解できませんでした。
よく外国文学は名前が覚えられないから苦手だという人がいますが、私は「ラスコーリニコフ」は覚えられても、戦国武将の名前はイマイチです。
映画館でぐっすり寝た思い出の(汗)映画です。それで、この映画は三つの事しか覚えていません。一つは四季折々の自然の描写が素晴らしかったことです。
家に戻って、ちゃんと見てもいないのに「一年かけて撮った大作だった。」と言ったら、父は真面目な顔をしてそのからくりを教えてくれました。
又一つは、ラスト満開の桜の下で萬屋錦之助が
「勘助、大事な所で策を策を・・ほにゃららら。」ネタバレになるので書きませんが、と言ったことですね。それから途中で目を覚ました時に見たのが今回のシーン、三船敏郎が深い雪の中をザクッザクッと歩いている所です。見つけたお姫様と何か言い合っていますが、ここでも私は理解不能。二人の行動も、何を言っているのかも理解できません。「風林火山」は大人の物語だったのです。
さて充分大人になりすぎるくらい大人になってしまった今となっては、彼らの気持ちが理解できるでしょうか。
私はこの柴本幸演じる由布姫に、釘づけになって観ていました。共鳴も批判もありません。ただただ驚いて、自分の中で勝手に描いていた由布姫像を叩き壊しながら観ていました。
「気性が激しい」―だけど普通、そう言う人は、張り詰めてた糸を持っているがゆえに、いつ切れるか分からない危うさも持っていて、ゆえに儚げな美しさを醸し出すというのが、今までの定番。
でも、この姫の気性の激しさには、真っ直ぐに落ちてきた激しい雨が大地の底まで貫き沁み割ったって行くような強さを感じてしまったのです。ヒロインとしては、あまりお見かけしないタイプなのではないでしょうか。どちらかと言うと敵役。だから、冒頭の三条夫人の場面でも、ヒロインと敵役の行動のパターンが逆転してしまっていると感じても不思議はないですよね。
そしてこの柴本幸さん、この気性の激しい姫に嵌りすぎていてなんと分かりやすい事か。それゆえに好き嫌いがはっきり出てしまいそうな気もします。(ワタクシもムニャムニャ~)
勘助も良かったですよ。でも、勘助の狼狽振りはあまりにも唐突。うちの人なんかは、
「そりゃ、姫がこのままいなくなれば、勘助もただじゃすまないもんナ。」などとのたまう始末。
「そうではござらぬよ。」と言おうと思いましたが面倒なのでほっとけ~。
思うに、なんでシナリオと演出は、あそこまで三条夫人にこだわったのでしょうか。少し削ってその分、勘助の「揺れる想い」を少しずつでも描いていて欲しかったです。
でも、由布姫への説得の言葉には感動しました。
寿命つき京の月を仰ぎ見る事は出来なかった信玄ですが、それに与した男たちの共通の夢の原点を聞いたような気がしました。「風林火山」ではあまり出てこなかった言葉ですよね。
「お屋形様は天下を取る。そしたら姫の子供は天下人の子供である。」
勘助の説得に応じた姫でしたが、それはそれで勘助の永遠の片恋のスタートでもあったかもしれません。
諏訪湖の御身渡りを眺める姿も切なかったですね。
「お前の唇に口づけさせておくれ。」「お前の首が欲しいよ~。」
サロメ・由布姫の山場はとりあえず終わり・・かな。次回は「三国激突」。
ふう、やれやれって言っている人、誰ですか~
追記:
横道逸れてあまりにも長くなってしまったので、ショックだったことなのに書き忘れました。「まきになるよりは萩野の方がいいや。」と言う文を何処かに入れる予定でした。
萩野はあんなキャラなので、うっかりしてしまいそうですが、本当はもの凄く疑っていたのに、それなのに甘酒を三条夫人から奪って飲んだ、それって凄くないですか。自分の身はただではすまないなと分かっていたのに、由布姫の身代わりになったまき。
一万円札様が「天は人の上に・・・」等とおっしゃったのは、歴史の物差しで計ったら、つい最近のことなのかも知れない・・・
そうは思っても
「三条夫人や由布姫になるよりは、萩野の方がいいや。」と思ってしまう今朝の私です。