の続きです。
インドのホテルでのアクシデントのお話、その2です。
バスルームを使う順番は、単純にジャンケンで決めていました。
その日は私が一番最初でした。本当はいつも最後にのんびり入るのが好きです。でもその前日のホテルでは私の希望通り最後だったのですが、床がびしょびしょで、本当は心の中で「皆さん、いったいどのような入り方をなさっているのかしら ?」と疑っていたのです。(あっ、ごめんなさい。読んでる?この先に訂正してあるからね。私信です。(笑))
気持良くバスタブから出て、バスマットに足を置いたら、足が沈むんじゃないかくらい濡れていたら気持ちが悪いですよね。
このホテルにはバスタブもない事ですし、珍しくジャンケンにも勝った事だし、たまには最初にチャッチャと入っちゃおっとと思いました。
なーんとなく先の展開の予想がついてきましたか?
シャワールームはガラスの壁と扉と見た目はお洒落。そしてちゃんと扉も閉まります。でも前日の床がぐっしょりと言う記憶も新しかったので、用心してお湯は扉の方には行かないように注意を払って使用したのです。だけどもう一つ不具合がありました。床にお湯がなかなか流れて行かないのです。足首までとは言いませんが、シャワールームにお湯がわずかながら溜まって行くような感じに気持ち悪さを感じていました。と言っても、自分が使用したお湯ですので洗い流してシャワールームを出てみると、信じられない事が起きていました。お湯がシャワールームの外の床に滲み出ていたのです。
「えっ !? 嘘~!!」
と、私は叫んでしまいました。だってあんなに注意して入ったのに。
もしかしたらシャンプーをしている時にうっかりしちゃったのかしら。
それでチェックしてみると、扉の外側の淵の所は何も濡れていなかったのです。これはやっぱりシャワールームの仕切りの下から滲み出てしまっているお湯なのだと判明しました。
それではシャワールーム内に流れきれないで溜まっているお湯もこちら側に出て来てしまう事になってしまうかもしれません。
とりあえず使用したバスタオルで床を拭いて対応しました。もっと髪などの水分のケアをしたかったけれど、なんたってバスタオルはもう一枚あるので大丈夫だと思ったのです。
そこから出て二人に状況を告げました。
そこでまずは添乗員さんに、このアクシデントを告げようと電話を入れましたが出ません。
仕方がないので、シャワールームのお湯がはけるまで二人は待ってみる事にしました。だけど一人が使用した分のお湯さえ流れきると言う事にはならなかったのです。更にしょうがないので、二人は気持ちが悪いなと思いながらもそのまま使用し、そして最後に足をさらに洗って出てくると言う作戦で行く事にしたのです。
最後だった星子さんが言いました。
「バスタオルでトイレ横の排水講まで道が出来てた。」
滲み出てきたお湯の量はけっこうあったので、けっきょくは一人二枚のバスタオルを使って床を拭く事になったのです。もちろん床掃除なんかは私たちの仕事ではないので、足でキュッキュと床を拭きギューッと適当に横に寄せるじゃないですか。それを三人でやっていたら、図らずも水が流れる道が出来ていたのです。
三人で滲み出てきたお湯と格闘したので、トイレはその後も快適に使用できました。
ただ綺麗で普通に素敵に思えたホテルのバスルームはバスタオルの山と化し、なんか残念なホテルになってしまいました。
考えてみれば前日のホテルでも、今時バスマットがぐっしょり濡れる程の失敗をする人なんか要るわけない事で、染み出る量の違いがあっても、きっと似たような事が起きていたのかも知れません。
翌朝の朝食時、たまたま添乗員さんの隣になった私たちは、昨晩の「バスルーム洪水事件」を報告しました。
するととんでもないことが分かりました。
私たちが添乗員さんに電話した時に彼が出なかったのは、他の部屋の洪水事件の対応に追われていたからだったのです。しかもその部屋では溢れ流れたお湯がバスルームの外まであふれ出て入り口のドアの所まで流れてしまったのだそうです。
「大変でした。」と彼は言いました。
それを聞いて、私はハッとしました。
バスタオルは6枚あって本当に助かったのです。
あの「なんでだか言葉が通じない事件」または「アメニティグッズリッチ事件」は、意味があった事なんだと思えたのです。
バスタオルが三枚余分に持ってこられた時には、「なんで~?」と笑いあっていた私たちでしたが、ささやかなことながら見えない力に守られているように感じ、また助けられたなと、私は思ったのでした。
※ ※ ※
「そのアクシデントで助けられたのか ?」 の冒頭
私はこう書きだしました。
『世の中には、ポジティブ思考の人とどちらかと言うとネガティブ思考の人がいるのではないかと思われます。
思うに、私も含めてポジティブ思考の人たちは、ささやかなアクシデントが複数起きた時、掛け算でもしくは割り算で思考するタイプなのではないでしょうか。』
ではネガティブ思考の方は、マイナスを足し算、引き算で考えるタイプなのかと言うと、そうとばかりは言えないと思います。
確かにマイナスにさらにマイナスを足したら、さらにマイナスは大きくなるわけですが、引き算は違います。
例えば
(-10)-(-8)=-10+8=―2
更に例えば
(-10)-(-12)=-10+12=+2
引き算はマイナスをプラスに変える力があるのです。
思考の選択肢を考えるならば、ポジティブ思考はネガティブ思考の三倍です。ゆえに世の中にはポジティブ思考の人の方が圧倒的に多いのだそうですよ。
えっ?
「インド旅行記」と関係がないじゃんと思いましたか。
良いのです。
なんたってインド人が「0」を発見したから、数学の道はおおいに開けたのですから。
二枚とも1日目に泊まったホテルのお庭です。
お庭は素敵そうだったのに、朝が早くてお散歩も出来ず。ちょっと残念だったかも。