≪これから『ST赤と白の捜査ファイル』を見るところです。でも先に書きかけていた必殺の感想をやっと書き終えたので、先にアップさせてくださいね。 ≫
7月27日は「必殺仕事人」の日。
いつもは2月にやっていたのに夏に持ってきたのはなんでかなー?
やっぱりメンバーの変更があって物語を練り直したからかなと邪推なんかして見たりしました。
「必殺仕事人2013」の感想は→ こちら
でも、その感想は薄っぺらで2014年の時に再放送をやるだろうから、その時に追記しようと思っていたのですよ。
だけどやった再放送は2012年度版でした。それと言うのも2012年に登場してきた安倍川の仙吉が再び登場してきたからですね。
その高橋秀樹さんの仙吉。
言っていましたね。
「ひとーつ・・・・・・
ふたーつ・・・・・・」って。
桃太郎侍が懐かしいね。
こういうさりげないパロディが良いのよね。
冒頭のエピソードも良かったですね。
木村祐一演じるやくざが、渡辺さんの事は調べつくし、かなりえげつない事をやっていますねと言う。
だけれど彼の並べ立てたことは、職をかさに着て団子屋から団子をせびる、仕事はやらないで芝居小屋に入り浸るなど同心として職務怠慢のダメな所のみ。
こんな同心だったら抱え込むのは簡単だと思っていたと思うのですが、千両箱の小判を見せつけ好きなだけ持っていけ、その代わりこのシマで起きたことは知らぬ存ぜぬでいて欲しいと言います。
―これからは裏と表が手を組んで・・・・・。
何気なく言っていたこのセリフですが、これ意外と今回のテーマだったかも。
裏と表の混濁。それが起きた時にはどうなってしまうのかと。
小判の上に投げられたビタ銭。
「これで何が買えると思う?」と小五郎。
「こんなもんで何が買えるって言うんです?」
「お前の命さ。」
そして決して目の前の小判には手を出さない。
そう。泥棒ではないんですよね。お金はあくまで仕事料。
それが悲しいくらい少ないのも、悪党の命だからなんだって、そんな感じがしてしまったりもするんです。
大雨の夜の辻で、仕事人に感謝のありがとうを言う少女。
仕事を終えた小五郎が橋の上で、その少女とすれ違います。
お菊から貰った傘を差し、鈴の音がしゃんしゃんと嬉しげで・・・・・・・・。
小五郎は思わず耳を澄ますのです。
と、ここで市原悦子のナレーションでOPが入るんですね。
ああ、やっぱり仕事人は最初と最後だなって、私、思ってしまうのです。
お芝居は冒頭3分が勝負。「仕事人」はドラマだけれど、そこん所をよく分かってて力入れて撮ってるって感じるんです。
作り方が美しい。
そしてその後の悲しい少女の末路も含めて、オープニングのエピソードは良かったなと思ったと言うわけなのです。
真ん中のお話は、まあまあと言う感じです。
政府公認の仇討屋と言うものが出来て、人々は簡単につまらない怨みで依頼すると言う恐ろしい現象が起き、そして利益に走る仇討屋はたいして裏も取らずに冤罪で人を殺してしまう。
でもおかみの狙いはクズ同士の殺し合いで江戸の一掃を図ると言うもの。
だから少々の冤罪被害者などが出てもお構いなしと言う所だったのです。
それは開国を画策する家門橋ノ介が外国の用人に国を見せるために考えた大掃除。
ありえない話なんだけれども、お話としては面白いかなと思いました。
「仕事人」は意外と世相繁栄なんだけれど、これはあまりそんな感じではなかったように思います。逆に珍しいかな、そういうの。
岡田義徳の家門は天才でありながら狂気の人と言う感じで良かったです。
でももっと狂っていても良かったかな。
・・・・って書いていて、自分で怖くなったのでやめますが、近頃必殺は良い人顔の人が悪人をやるので、そこも面白い所なのかもしれませんね。
後はまあ、とっても可愛そうな人がいてと言う所なんだけれど、その可哀想な人が〈おつうー佐々木希〉小五郎の家族と絡んでいるのもまとまりがあって良かったな。
と、真ん中のお話は私的には意外と印象が薄いんです、いつも。
やっぱり必殺シリーズは、毎回書いてるかもしれませんが、照明とセリフの美学ですよね。
「ひとおもいにと言うのは無理かもしれません。・・・・は初めてなもので。」
セリフは美しかったんだけれども・・・・.
このブログ記事、おとといの真夜中に途中まで書いていたんです。
でもちょっと怖くなってしまったんです。上記にも「怖い」という言葉を入れてしまい、りゅうのセリフも伏字を使ってしまいました。
と言うのはですね、必殺はその伏字の部分を描く娯楽作品です。
前に「BORDER」の感想の中で
>虚構の世界で人間の奥にある残酷と悪を発散し、そしてリアルの世界では正義を貫くと言うバランスを保つと言うのが人間の技の一つであると思っているのです。
と書いたのですが、そこにはしっかりと建てわけが出来るBORDERがあるんですよね。だから私は必殺には美学を感じるんです、いつもは。
だけれど、リアルの世界でその境界を混濁させる恐ろしい出来事が起きると、時にはその建てわけがの意識が鈍って恐ろしく感じたりするのかもしれません。
リアルの世界で起きたその境界を混濁させる恐ろしい出来事―
佐世保の女子高校生の人を殺して解体してみたかったと言う事件は、ドラマ自体は楽しんで見ていながら、その諸々のシーンを切り取って真夜中に感想を書いていた私に、境界を混濁させその手を止めさせるに十分な恐怖があったのでした。
それは「初めてのおつかい」ならぬ「初めてのこ。。」にゆえにリアリティを持たせたかったのか、りゅうのその仕事は、夫が「まんまじゃんか。」と言わせるようなものだったのでした。
「最初だからじゃないの。次に登場するときは何か決め技をもって登場してくるんじゃないの。」と、その時は言いました。
でももし、それが決め技ではなく
「ひと思いは無理かもしれません・・・・・」と言うキメ台詞で来るのなら、それは止めてもらいたいなあと私は思います。
私的願望ですが、必殺は居合の小五郎以外は、みな少々荒唐無稽であってほしいと思うのです。
それからもう一つ言わせて頂ければ、役者の降板は製作者側の都合なのですから、見てる側にその不自然さを押しつてはいけないと思うのです。劇中で何か説明ありましたっけ。席をはずした時にあったのかしら。
仕立て屋は今どこにどうしているのか、どうしたのか、その説明はあったのでしょうか。一言で良いんですよね。見逃していたのかもしれないので、もしそうならすみません。
ちなみに田中聖さん、「サンブンノイチ」は良かったですね。
知念君が新メンバーに選ばれたときに、若い人ばっかりのジャニーズドラマなんだなあと、ちょっとテンションが下がったのですが、よく考えてみれば東山さんは既に47歳なんですよね。
なんかちょっと驚いてしまいます。いつまでも若いですよね。
でも中年になったからこその渋味と役の深みが出てきたように思います。
最後はやっぱり渋くて、ラストを決めました。
「中之島様の腹の中を調べに来ました。ああ、やっぱり思った通り真っ黒でございましたよ。」と去って行く小五郎。
やっぱりセリフと照明が素敵でした。
また2015年、お待ちしています。m(__)m