「豊洲汚染土壌コアサンプル廃棄差止め訴訟」第二回口頭弁論が本日12/9無事、終わりました。
まずは、ひとこと。「よっしゃ!」
なぜ、「よっしゃ!」なのか。
①後ほど説明しますが、私たちの主張の中にある難しい論理構成が、裁判官に通じたこと。
②裁判官が、事実関係を明らかにするようにと明言されたこと。
③結局、裁判官から受けた感触がよかったこと。
これらが、あげられます。
道が開けました!!
今回の裁判は、論理構成が難しいのです。
だれもが、「コアサンプルを再検証のために保存すべきである。」とお感じになると思います。
しかし、裁判の形で、もし、廃棄されれば、どのようなことが起こり、重要なのかを立証するのが難しいのです。
その難しさとは、
もしこれが、
「工場ができる」⇒「健康被害が生じる」⇒「工場を建てるのをやめなさい」
「道路ができる」⇒「景観がだめになる」⇒「道路建設をやめなさい」
など、
直接損害が発生する事態を、人格権に基づいて差止めすることは、論理を立てやすいといいます。
今回は、
「コアサンプルを廃棄する」⇒「土壌汚染対策がおろそかになる」⇒「健康被害が生じる」⇒「コアサンプルを廃棄してはならない」
となっています。
間に、ひとつ段階(「土壌汚染対策がおろそかになる」)が入っているのです。
だからこそ、10/7第一回口頭弁論で、(私は、決算特別委員会に出て、裁判の傍聴には出席できていないので、現場を見てはおりませんが、)裁判官は、そっけなく、「差止めを請求する理由を充実させなさい。」といったのでしょう。もし、同じ内容を第二回の本日、繰り返していれば、裁判を、本日で閉めてしまう勢いがあったといいます。土俵に上がる前に門前払いを食らってしまう可能性が大いにあったのでした。
第一回口頭弁論終了後から、二ヶ月間、論理の補強に弁護団の皆様は、必死に努められました。
論理補強に、梓澤弁護団代表とご一緒に11月初旬、和歌山大学を訪問したことは、結果として意味をもてたのではないかなと少しだけ自負しています。
⇒ブログhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/28636ce0c2b7615cf2d0e32a76feda40
そして、本日、梓澤先生率いる弁護団は、その難しい論理をクリアされました。
「鮮やか!」でした。
裁判官の態度が、第一回目と今回第二回目で、まったく異なっていました。(と、両方を傍聴された人が述べています。)
その論理をクリアした方法とは、
東京大学の主任教授内田先生の契約に関する著書から導き出されました。
どのように論理を補強しようかと瞑想していた梓澤先生が、ぱっと目を開いたとき、その書物が目に入ってきて、「これだ!」と論理を手に入れられたと、先日、「第6回築地市場を考える勉強会」の場で語っていらっしゃいました。
密接で、継続的な契約関係を結んでいるものの間には、信義則にのっとり、信頼関係を保障することが当然に必要であるということになる。
もし、その信頼関係が裏切られるので張れば、損害賠償のみならず、損害を拡大しないこともあわせてやめることが求められる。
密接で、継続的な契約関係とは、大家と借主の賃貸借関係などをいうが、行政法に基づく、区画指定を仲卸は受けており、今回は、大家:東京都、借主:仲卸となる。そして、東京都は、公共的な仕事を、借主である仲卸にお願いする関係になっている。
よって、安全なところで、安全な環境の下、働く配慮義務が東京都には生じおり、これ以上の損害の拡大を防止する意味でも、コアサンプルは廃棄してはならないという論理構成となっています。
口頭弁論後の、弁護士会館5階会議室で開催された報告会で、梓澤先生は、不明な点が以下に示すようにあるため、
①土壌に関して
有楽町層がちきんとした調査で確認されているかを明らかにされなくてはならない。土壌の液状化も起こらないと証明されなければならない。
②土壌汚染対策法に関して
土壌汚染対策法に、今は適用になっていないからといって、土壌汚染対策法上調査すべき項目が、豊洲土壌でなされていないことは、信義則上あってはならない。そのことをコアサンプルで調査すべきであり、そのためにも廃棄されてはならない。
③専門家会議に関して
専門家会議で約束された協議会の設置や都民とのリスクコミュニケーションがなされていない。
これらの争点について、なるべくわかるように明らかにされる必要があると、裁判官も認識し、裁判で明らかにされるであろうと述べていらっしゃいました。
私も、この裁判で期待することのひとつは、都民や中央区がどんなに東京都に要望しても実現することのできなかった、土壌汚染の現状とそれに対しての土壌汚染処理技術に関する「リスクコミュニケーション」を、法廷という公開の場で持つことでした。
ぜひ、技術会議で提案された技術・工法の実行可能性などについて、東京都は、この法廷の場で明快に説明責任を果たしていただきたいと思います。
さらに、突っ込むなら、この裁判が、日本の環境行政のあり方を方向付ける重要判例となり、この国に、「環境民主主義」が芽生えるきっかけとなればと思っています。
今回は、弁護団がすばらしい論理構成を打ち立ててくださいました。
ただ、これだけだと、やはり、第一回目と同じ印象だった可能性もあります。
論理構成を打ち立てた弁護団の後ろに控える、大幅に増えた総勢210名の原告の存在、そして、本日も、50人程度の傍聴席を満杯にして、あふれた人が20名程度おられるほど注目度の高まり、これらの後押しがあっての本日の成果に結びついたのだと思っています。
写真は、口頭弁論後に弁護士会館5階で開催された報告会の風景。
40-50名が集まって、梓澤先生による裁判のご報告と闊達な意見交換がなされました。
今後、原告団をますます増強していく方向性が示されています。
次回第三回口頭弁論に向け、大いに準備して臨んで行きたいものです。
2/25もよろしくお願い申し上げます。
弁護団の皆様、原告団の皆様、仲卸や中央区民、都民の皆様、傍聴に来られた皆様、本日は本当にお疲れ様でございました。
千代田区民や千代田区議の皆様も来られていらっしゃいました。今後とも連携をしていければと思っています。ありがとうございました。
梓澤先生が「スリリングな一日」と報告会で、まず第一声、申されていました。実際、梓澤先生が乗られた列車がダイヤが乱れ、2時間の遠回りをされてようやく到着。法廷が、15分遅れで開始できたこととともに、裁判自体がスリリングだったということです。
私も、初めて法廷で裁判を目の当たりにしましたが、道が開けたことで、とても興奮しています。
「法は、人を守るために存在しています。」梓澤先生と出会い、このことを確信しています。
*第二次提訴を含めた訴状(全27ページ)をご希望の方は、ご連絡をください。お渡しいたします。(kazuki.kosaka@e-kosaka.jp)