以下は、昨年6月の第二回定例会本会議の一般質問です。
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小坂議員:
次のテーマに移ります。
テーマ四、美しい中央区のまちづくりのために景観計画の策定と景観審議会の設置の必要性についてです。
東京は、戦後、日本の復興を牽引し、政治、経済、文化などの諸機能が高度に集積する大都市に発展し、都市に活力がもたらされ、利便性が向上、都民の生活は豊かになりました。経済的な繁栄を手にした一方、経済性、効率性を優先させる余りに、自然や歴史を感じさせる町並みの減少を招き、江戸開府以来築かれてきた貴重な都市の蓄積を失い、建築物の形態や色彩に町並みとしての統一感がなく、高速道路が川を覆い、低層のまちづくりに突如として超高層の建築物がそびえ立つというふぞろいなまちになってしまっています。
東京都は、一九九七年、景観条例を制定し、二○○六年、東京都景観計画を策定しました。国も、二○○四年、景観法を制定。その第二条では、良好な景観は、国民共通の資産であり、現在、そして将来の国民が享受できることや、地域の自然、歴史、文化等と人々の生活、経済活動との調和した土地利用を通して、整備や保全が図られねばならないとしています。
中央区には、水天宮や住吉神社、築地本願寺など神社・仏閣、銀座や日本橋問屋街や築地市場・場外市場など商業集積地、日本橋川、隅田川、朝潮運河、東京湾、浜離宮のウオーターフロント、一九二三年の関東大震災後に復興事業として建てられ、現在も小学校として使われている七つの復興小学校や歌舞伎座などの歴史的建造物、一九三三年築の聖路加国際病院の礼拝堂と一九二七年築のカトリック築地教会、そして大正十五年、一九二六年に建てられた明石小学校を一体とした明石町の旧居留地の歴史的町並みなど、景観や町並みを形成する資産がまだ多数残っています。成熟期を迎えた都市東京にふさわしく、美しく風格ある町並みの再生に向け、その先駆けとして、都心中央区から景観形成の取り組みを進めていく必要性を感じます。
そこで、三点御質問いたします。
一、区は、都心中央区の美しい景観を守る取り組みをどのように行ってきたのでしょうか。今後、どのように進めていくお考えでしょうか。
二、中央区の景観審議会を設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。
三、中央区の景観計画を策定すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
中央区長:
次に、景観についてであります。
町並みなどの景観は、まちの個性や特色であり、貴重な地域資源であります。良好な景観形成は、都市の風格、品位にもかかわる課題であり、地域と一体となって取り組むことが重要であります。本区は、これまでも名橋日本橋を含む日本橋川再生への取り組みや区内のほぼ全域に地域の建てかえルールとして地区計画を導入するなど、地域とともに、まちの景観形成に努めてきております。また、銀座デザイン協議会や晴海デザイン会議などで地域にふさわしい景観やデザインについて協議し、開発事業者を指導しております。さらに、このたび制定したまちづくり基本条例では、開発計画に対する景観への配慮と地元協議を義務づけておりますので、景観行政は、さらに前進するものと考えております。
次に、景観審議会の設置についてでありますが、東京都景観条例に規定されている景観審議会の役割については、地元での協議を行うことにより、本区の都市計画審議会で十分対応可能であると考えております。また、景観計画については、この計画で定めなければならない建物の高さや壁面の位置の制限などの事項は、既に地区計画の内容として定めております。
小坂議員:
景観に関しては、確かに晴海のデザイン協議会なりが出されております。ただ、私が申し上げたいのは、個々の地域で出すのではなくて、それはまちの、その地域の考え方を示すということで、それはとても大事な協議会であり、そのデザイン協議会を私は否定しません。それは地域の声で上がってきた。その地域の声で上がってきたものを、景観審議会なるものを、景観に関してのことが理解できる座長を選び、それで審議会を立て、公開の場で討論すべきであると私は考えます。決して、都市計画審議会がそれをできるとは考えませんが、いかがでしょうか。改めて景観審議会をつくるべきだと考えます。
また、区では景観計画は、高さ制限とかをやっているとかいうことですけれども、景観とは高さだけではないはずです。景観とは、その町並みの美しさがあるわけであり、築地の地域であれば、こういう建物を残していこう、明石の地域であれば聖路加と明石小学校とカトリックの教会と、一体としたそのまちの雰囲気を守っていこうとか、その地域独自の、もっと、高さで割り切れない景観があるはずであり、景観イコール高さ制限ではないので、もっと景観に関しての規定をつくるべきであり、景観計画はぜひとも策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。
矢田区長:
それから、景観審議会ですか。あの港区も景観審議会があるんですよ。本区はないけれどもね。ところが、あんなにょきにょきしたものが、国会の裏に大きなビルをつくって、これが景観に合うのかというのが大騒ぎになりましたけれども。だから、景観審議会をつくる、つくらないが、では景観にいいものができるか、できないかではなくて、私たちのやっぱり心じゃないでしょうかね。
都市計画審議会には議会の代表者も入られているわけですから、そこで十分御審議いただけるわけでありますから、そう幾つも幾つも審議会ばっかりつくっても、有効に活用されればいいけれども、それがそうじゃないんだ、体裁だけ整えたなんていう批判が来てもいけませんしね、やっぱり実態を見て、そして、先ほど来、答弁させていただいているように、この中央区が首都東京の核であるわけですから、それにふさわしい気品と風格あふれるまちをつくっていかなければならないということは、常に申し上げているところでありまして、議会の皆様方もそういうことで、これまでもまちの景観について御審議いただいてきたもの、こういうふうに思っているわけであります。