「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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法定及び任意の「成年後見制度」のさらなる普及啓発を!!

2011-02-21 11:16:05 | マニフェスト2011
 2000年4月介護保険制度とともに、高齢者福祉を支える車の両輪として成年後見制度が始まりました。
 成年後見制度は、認知症等判断能力が不十分になった場合、現在のような契約社会では社会生活が成り立たなくなります。そういった場合でも、本人にかわって契約するのが後見人であり、契約することを通して、法律的に言えば、本人の権利を守り、福祉的に言えば、本人の生活をサポートする制度です。
 すでに判断能力が低下し、物事の是非について判断することが難しくなってしまった方のために家庭裁判所を通じて後見人などを選任する制度「法定後見制度」と、認知症になる前からあらかじめ自らの意思で後見人となるひとを選任しておく「任意後見制度」があります。
 
 制度の利用者として想定されるのは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者で、それぞれ約200万人、50万人、300万人にも上っていますし、先進国では、総人口の約1%が潜在的利用者と言われています。ところが、介護保険のサービス受給者が約400万人に達する一方で、成年後見制度の利用件数は、法定後見で約17万件、任意後見で約4万件しかありません。

 成年後見制度が広がらない理由として、「法は家族に入らず」というように家族のことは家族で処理するのが日本の前提で、法的に広範な代理権を設定する成年後見は風土になじみにくいところがあります。結局、後見人が選定されるべき状態であっても、多くの場合、後見人という法的立場を持たない親族等が実質的に契約を代行しているか、あるいは放置されていることが考えられますが、法的には許容し得ない状況であると言えます。

 とはいえ、孤立した高齢者が増加するとともに、中央区の認知症高齢者数は、約900人(在宅のみ)であり、東京都愛の手帳交付者数で知的障害者324人、精神障害者保健婦福祉手帳交付者数で精神障害者407人となっています。
 区民の皆様の成年後見制度利用に対する需要をきちんと把握し、対策を取らねばならないと考えます。

 判断能力が不十分な高齢者で親族がいない場合に、親族にかわって区長が審判請求を行う「区長による成年後見開始申立事務」や、成年後見人等に対する後見報酬等の費用を負担することが困難なひとに対して経費を助成する「中央区社会福祉協議会成年後見制度費用助成事業」もありますが、利用されていないのが実情です。

 成年後見制度利用者約17万人のち成年後見人の3分の2は親族、残りの3分の1のほとんどが弁護士、司法書士、社会福祉士など専門職が担っていると言われています。
 今後の制度利用の進展に備えるため、また、団塊の世代をはじめ地域貢献の場としても有意義である「市民後見人」を本区も積極的に養成すべきと考えます。

 
親亡き後の障がいのある子の生活が不安である場合に、親だけでなく第三者を入れて複数の後見人を立てることで解消できること

亡くなったあとの葬儀や遺言の執行をお願いしたいときに、任意後見制度が役立つこと

任意後見制度の悪用・濫用されることがあり、財産没収の被害に遭わないようにすること

* 「区長による成年後見開始申立事務」や「成年後見制度費用助成事業」のあること

 上記内容も含め、成年後見制度の普及啓発を積極的に進めていかねばなりません。


*参考文献:WEDGE 最新号
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