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労働法:就業規則を理解することの大切さ ぜひ、ご自身の就業規則のご確認を!

2013-04-09 05:46:20 | シチズンシップ教育

 働く人全員にとって、最も大事なことの一つは、就業規則に関する理解だと思います。

 労働法で就業規則について学び、その重要性について、目からうろこが落ちる思いをしました。

 大切なものですから、皆さん、ぜひとも、ご自身の就業規則をご確認ください。



 以下、就業規則について、労働法の講義を参考に書きます。


就業規則 菅野 126 頁~、下井 81 頁~

(1)意義
多数の労働者が協働する事業においては、労働条件を公平・統一的に設定し、かつ職場規律を規則として設定することが、効率的な事業経営のために必要となる。事業経営の必要上、職場規律や労働条件に関する規則類を制定したものが「就業規則」

(2)労働基準法上の規制等


*****労働基準法 関連する9章89条~93条及び106条 全文 抜粋*****
第九章 就業規則

(作成及び届出の義務)
第八十九条  常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二  退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
(作成の手続)
第九十条  使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
○2  使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。
(制裁規定の制限)
第九十一条  就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
(法令及び労働協約との関係)
第九十二条  就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
○2  行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。
(労働契約との関係)
第九十三条  労働契約と就業規則との関係については、労働契約法 (平成十九年法律第百二十八号)第十二条 の定めるところによる。


(法令等の周知義務)
第百六条  使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第十八条第二項、第二十四条第一項ただし書、第三十二条の二第一項、第三十二条の三、第三十二条の四第一項、第三十二条の五第一項、第三十四条第二項ただし書、第三十六条第一項、第三十七条第三項、第三十八条の二第二項、第三十八条の三第一項並びに第三十九条第四項、第六項及び第七項ただし書に規定する協定並びに第三十八条の四第一項及び第五項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。
○2  使用者は、この法律及びこの法律に基いて発する命令のうち、寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則を、寄宿舎の見易い場所に掲示し、又は備え付ける等の方法によつて、寄宿舎に寄宿する労働者に周知させなければならない。



(3)就業規則の効力   菅野 134 頁
ア 労働基準法  92 条
 法令・労働協約の優越性

****労働基準法92条*****

(法令及び労働協約との関係)
第九十二条  就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
○2  行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。
****************


イ 労働基準法  93 条
 最低基準効→労働契約法12条へ

****労働基準法93条*****
 (労働契約との関係)
第九十三条  労働契約と就業規則との関係については、労働契約法 (平成十九年法律第百二十八号)第十二条 の定めるところによる。
****************


****労働契約法 12条*****
(就業規則違反の労働契約)
第十二条  就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
*****************

⇒個別の同意(労働契約)は無効であり、従来からの就業規則の定めによることが定められています。


ウ 労働契約法 7条

****労働契約法 7条*****
第七条  労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
****************

1労働契約規律効

就業規則が合理的な労働条件を定めるものである限り、労働条件はその就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、法規範性が認められてきたが(判例法理:秋北バス事件最大判43.12.25)、この判例法理の内容を、「事実たる慣習」といった媒介法理を用いずして立法化したもの。


2要件
・就業規則を周知させていたこと
⇒実質的にみて、事業場の労働者集団に対して当該就業規則の内容を知りうる状態においていたことであって、労働者が実際に知っていたかどうかは問わない。

・合理的な労働条件を定めていること
⇒就業規則が定める労働条件それ自体の合理性。




エ 就業規則の変更における労働契約規律効(労働契約法 8条 9 条、10 条)

*****労働契約法 9条 10条*****
(労働契約の内容の変更)
第八条  労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。


(就業規則による労働契約の内容の変更)
第九条  使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない
第十条  使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度労働条件の変更の必要性変更後の就業規則の内容の相当性労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
********************

1合意による変更の原則

 労働契約法8条⇒合意による労働契約の変更ができる。

 労働契約法9条⇒原則:労働契約の変更については、合意による

2合理的変更

 労働契約法10条⇒合意による労働契約の変更の原則の例外:合意によらなくても就業規則の変更が合理的なものである限り、就業規則の適用がある。


3合理性の判断要素

 労働契約法10条

 1)労働者の受ける不利益の程度(第四銀行事件:ア就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度)

 2)労働条件の変更の必要性(第四銀行事件:イ使用者側の変更の必要性の内容・程度)

 3)変更後の就業規則の内容の相当性(第四銀行事件:ウ変更後の就業規則の内容自体の相当性、エ代償措置、その他関連する労働条件の改善状況)

 4)労働組合等との交渉の状況(第四銀行事件:オ労働組合等との交渉の経緯、カ他の労働組合又は他の従業員の対応)

 5)その他の就業規則の変更に係る事情(第四銀行事件:キ同種事項に関する我が国社会における一般状況等)


『労働法』 菅野和夫著 144ページ



【判例】
秋北バス事件 最大判昭和 43.12.25 民集 22 巻 13 号 3459 頁 百選 21

大曲市農協事件 最3小判昭和63.2.16民集42巻2号60頁

第四銀行事件 最2小判平成9.2.28民集51巻2号705頁 百選23

みちのく銀行事件 最1小判平成12.9.7民集54巻7号2075頁 百選7版28

以上
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労働法:個別的労働契約における「労働者」と「使用者」

2013-04-09 05:23:49 | シチズンシップ教育

個別的労働契約における「労働者」と「使用者」 菅野 109 頁~、下井 15 頁

(1)「労働者」概念

⇒労働基準法9条

****労働基準法9条*****
(定義)
第九条  この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
****************

 2つの指標

1)使用される者⇒「使用従属関係」

2)賃金を支払われる者⇒「賃金」

  賃金とは⇒労働基準法11条

****労働基準法11条*****
第十一条  この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
*****************



【判例】
横浜南労基署長事件:最1小判平成 8.11.28 労判 714 号 14 頁、百選1
               ⇒「労働者の判断基準」の検討有り

藤沢労基署長事件:最 1 小判平成 19.6.28 労判 940 号 11 頁



(2)「使用者」概念 菅野 117 頁~
・使用者概念も労働者概念同様に多義的である。
・具体的検討(労契法上の使用者の問題)

 使用者とは⇒労働契約法2条2項

*****労働契約法2条*****
(定義)
第二条  この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。
2  この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。
*******************


ア 社外労働者と受入企業の関係

※黙示の労働契約の成否による処理

【裁判例】
サガテレビ事件:福岡高判昭 58.6、労判 410 号 29 頁 百選 2

イ 親子会社における関係

※法人格の否認法理による処理

以上

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著作権法を考える手順の1つ目、著作物とは?

2013-04-09 04:30:18 | シチズンシップ教育

 著作権法は、次の4つの手順にしたがって分析して行きます。
 条文も、その順で並んでいます。

1著作物であるかどうか?

2著作者は?

3権利内容は?

4救済はどうやって?


 まず、1著作物であるかどうかの検討について書きます。

 2条1項1号に規定されています。


***著作権法 2条抜粋****
(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  著作物 思想又は感情創作的表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
****************

 著作権法で保護される著作物であるための4つの要件が記載されています。


 <4つの要件>
1思想又は感情性、2表現性、3創作性、4文芸、学術、美術又は音楽の範囲



『知的財産紛争処理手続きの概要と検討課題』 小林幸夫著


 それぞれを見て行きます。

1思想又は感情性:対象物に著作者の「思想又は感情」が含まれている必要がある。

1)程度の高い低いは読み込まなくてよい。

2)否定される例

 ア自然物、コンピューター自動生成物
  人間の主体的な創作活動の成果といえない場合

 イ事実 株価等のデータ、自然科学上の事実、歴史上の事実
  人間の思想、感情といった主観的要素を含まない客観的な存在として社会的に取り扱われるため。

  事実を素材として扱ったものでも、事実の表現過程に執筆者の創意工夫が凝られたものは著作物である。

 ウ書式 船荷証券、契約書面などの書式
  作成者の個人の思想、感情を表現したものとはいえない

3)著作権法10条2項で念のための規定を置いています。

*****著作権法10条2項のみ抜粋******
2  事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
************************


2表現性:著作者の思想、感情が、外部から認識可能なように表現されなければならない。

1)外部的な認識可能性
  著作者の思想、感情が外部に認識可能な形で表現されていることが必要。

  「物への固定」は不要。
  例えば、その場限りで行われる即興漫才や即興演奏のようなものも、創作性があれば著作物として保護される。

2)思想、感情を個別具体的に表現したものであること
  著作者が自らの思想、感情を混入して個別具体的に表現したものをいい、そのような表現を生み出すもととなった思想、感情それ自体は著作物として保護されない。
 ⇒「表現・アイデア二分論」
   例えば、プログラムの著作物を作成するために用いられる言語、規約、解法にはプログラムの著作物の保護が及ばないとされるが、言語、規約、解法がプログラムを表現するもととなる「アイデア」に過ぎないため、それ自体は著物として保護されない。
   このことは、10条3項で改めて規定を置いて明らかにしています。

****著作権法10条3項のみ抜粋*****
    3  第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一  プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二  規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三  解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
**********************

3創作性:創作的に表現されたものであること

1) 例えば、児童の作文やお絵描き、日記や書簡のように、目新しさもなく、また独創性に乏しいものでも著作物として保護される。

 cf.特許法では、 新規性・進歩性のような高度なレベルを要求
  特許法2条1項
****特許法 2条の一部*****
(定義)
第二条  この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
******************

2)創作性が否定される例

 ア既存の著作物の模倣

  既存の著作物をそのまま忠実に模倣した場合、その模倣物には模倣者の独自の創作性が表現されていないから、当該模倣物は既存の単なる複製物であって、模倣者の著作物としては保護されない。

  もっとも、既存の著作物を模倣する場合でも、元の著作物を忠実に再現するのではなく、模倣者自身の独自の創作的表現を付加したものは、模倣者の著作物として保護を受けることができる。

 イ不可避的表現・ごくありふれた表現(merger理論)
 
  誰がやってもほほ同じような表現になるであろうという場合には、その表現に著作者の個性が表れていないとして創作性が否定される。


 
4文芸、学術、美術又は音楽の範囲:表現が文化的所産であること


 以上、4つの要件にあてはまるかどうかで、著作物かどうかを判断します。


5なお、著作権法10条1項に著作物の例示が書かれています。

 おせっかいな条文であって、無視してもよいと思います。
 この例示に書かれているから、即、著作物とは、決して思わないで下さい。
 前述の1~4を検討し、著作物かどうかを判断して下さい。

*****著作権法10条1項のみ抜粋*****
(著作物の例示)
第十条  この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一  小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二  音楽の著作物
三  舞踊又は無言劇の著作物
四  絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五  建築の著作物
六  地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七  映画の著作物
八  写真の著作物
九  プログラムの著作物
*****************************

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