薬物依存は、たいへん難しい経過をとります。
だからこそ、子どものころからの健康教育の最重要の論点のひとつと考えます。
中央区医師会の学術講演会が令和元年5月29日開催され、
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所
薬物依存研究部 部長
病院 薬物依存症センター センター長 であられる 松本俊彦先生のご講演「向精神薬乱用・依存を防ぐために臨床医にできること」を拝聴し、
薬物乱用・依存に対する取り組みの重要性をひしひしと実感することができました。
実は、松本俊彦先生は、中央区の中央区自殺対策協議会の会長を務めてくださっておられたとのことです。
主に大人の事例でしたが、
子どもにも関連する話もございました。
ご講演を拝聴しながら、薬物依存関連で、子どもに伝えて行くべき健康教育の内容として、以下のことを考えました。
内容・詳細については、今後詰めていきます。
〇薬物依存に陥る経緯、経過
〇薬物依存にならないために、最初が肝心
〇市販の風邪薬、一般の飲料水のカフェイン類など注意すべきもの
〇一般的な、ストレス、うつ病、不安の知識と対処法、ストレスマネジメント
〇薬物への勧誘への断り方、相談先
など
松本先生が、中央区の自殺の状況が特徴的であると述べられていたのが、気懸かりであったため、直近の自殺の実態調査報告書を見ておきます。
下線をひいたあたりに特徴が読み取れます。
また、ご講演の内容でもありましたが、薬物依存と自殺の関連が中央区でも読み取れます。


************************
中央区 自殺未遂者実態調査報告書
平成27年(2015年)2月
中央区自殺対策協議会
https://www.city.chuo.lg.jp/kenko/hokenzyo/kokoronokenko/utujisatutaisaku/chuokujisatutaisakukyougikai.files/houkokusyo0424.pdf
2. 本調査から見えてくる中央区の自殺未遂者対策の課題と提言
今回の調査から、予備調査を踏まえた中央区自殺対策協議会の様々な活動が一
定の成果を上げている可能性が示唆されたが、他方で、今後の課題についても明ら
かにされたと考えられる。中央区の自殺未遂者への支援としては、主に次の3点にまと
めることができるであろう。
(1) 適切な精神科治療を支える療養環境づくりを推進
精神科受診が単に自殺の手段・方法へのアクセスを高めることになってしまわない
ように、過量服薬や向精神薬乱用を防ぐことに資する関わりが必要である。すでに中
央区では、調剤薬局を対象とした調査等、薬剤師がゲートキーパーとして、その専門
性を発揮できるような取り組みが始められている。今回の調査で確認されたように、そ
の取り組みは一定の成果を上げているが、区内の精神科治療を支える関係機関が、
共通の認識・目標を持ち、これをいっそう推進していく必要がある。
(2) 自殺を考える女性たちを救えるような支援の展開
一般に男性の自殺死亡率は景気や雇用などの社会経済的要因に大きく影響される
のに対して、女性の自殺死亡率はこうした社会経済的要因の影響を受けにくく、むし
ろ精神障害の要因、あるいは恋愛や結婚、夫婦間の問題、子育て、介護といった要因
による影響が大きいといわれている。本調査でも、中央区における自殺未遂者の典型
像として、「家庭問題や男女問題に悩む 20~50 代の女性」、「単身生活をする女性、
おそらくは未婚、もしくは離婚・別居する女性」といった姿が浮き彫りにされている。こ
れまでわが国の自殺対策はもっぱら「働きざかりの男性」に焦点を当てたものであり、
女性の自殺対策に関する知見・経験はきわめて限定されているが、今後、早急に中央
区における「女性の生きづらさ」に関する情報収集を進めたうえで、追いつめられた女
性たちに届く支援を展開していくことが求められるであろう。
(3) 地域支援を担う関係機関の連携強化
再企図の危険性がことに高い自殺未遂者に対して、精神科通院に加えた何らかの
支援を提供することも考慮すべきである。Fleischmannらの研究では、自殺未遂者に対
して、年 3 回程度のアフターケアを行った群は、何もケアしなかった群に比べて、1 年
半後の自殺既遂による死亡率を下げることを明らかにしている 4)。また Kawanishi らの
研究でも、自殺未遂者に対して、ソーシャルワーカーや心理士による退院後の療養支
援や生活の調整といった、非精神医学的な支援を付加することが、半年以内の再企
図を有意に減少させることを明らかにしている 3)。平成 26 年 7 月より、東京都が、救急
医療機関等に搬送された自殺未遂者を適切な支援先に繋ぐ「東京都こころといのち
のサポートネット」を開設した。地域支援の重要性が高まる中、社会資源を開発し、そ
れを担う関係機関が連携を強化していくことが大切である。再企図の危険性が高い自
殺未遂者、たとえば、自殺未遂歴があるうえに、今回の自殺未遂後も希死念慮などが
継続し、しかも退院後に独居生活を余儀なくされている事例に対して、何らかのきめ細
やかな支援が提供されることを検討すべきであろう。
だからこそ、子どものころからの健康教育の最重要の論点のひとつと考えます。
中央区医師会の学術講演会が令和元年5月29日開催され、
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所
薬物依存研究部 部長
病院 薬物依存症センター センター長 であられる 松本俊彦先生のご講演「向精神薬乱用・依存を防ぐために臨床医にできること」を拝聴し、
薬物乱用・依存に対する取り組みの重要性をひしひしと実感することができました。
実は、松本俊彦先生は、中央区の中央区自殺対策協議会の会長を務めてくださっておられたとのことです。
主に大人の事例でしたが、
子どもにも関連する話もございました。
ご講演を拝聴しながら、薬物依存関連で、子どもに伝えて行くべき健康教育の内容として、以下のことを考えました。
内容・詳細については、今後詰めていきます。
〇薬物依存に陥る経緯、経過
〇薬物依存にならないために、最初が肝心
〇市販の風邪薬、一般の飲料水のカフェイン類など注意すべきもの
〇一般的な、ストレス、うつ病、不安の知識と対処法、ストレスマネジメント
〇薬物への勧誘への断り方、相談先
など
松本先生が、中央区の自殺の状況が特徴的であると述べられていたのが、気懸かりであったため、直近の自殺の実態調査報告書を見ておきます。
下線をひいたあたりに特徴が読み取れます。
また、ご講演の内容でもありましたが、薬物依存と自殺の関連が中央区でも読み取れます。


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中央区 自殺未遂者実態調査報告書
平成27年(2015年)2月
中央区自殺対策協議会
https://www.city.chuo.lg.jp/kenko/hokenzyo/kokoronokenko/utujisatutaisaku/chuokujisatutaisakukyougikai.files/houkokusyo0424.pdf
2. 本調査から見えてくる中央区の自殺未遂者対策の課題と提言
今回の調査から、予備調査を踏まえた中央区自殺対策協議会の様々な活動が一
定の成果を上げている可能性が示唆されたが、他方で、今後の課題についても明ら
かにされたと考えられる。中央区の自殺未遂者への支援としては、主に次の3点にまと
めることができるであろう。
(1) 適切な精神科治療を支える療養環境づくりを推進
精神科受診が単に自殺の手段・方法へのアクセスを高めることになってしまわない
ように、過量服薬や向精神薬乱用を防ぐことに資する関わりが必要である。すでに中
央区では、調剤薬局を対象とした調査等、薬剤師がゲートキーパーとして、その専門
性を発揮できるような取り組みが始められている。今回の調査で確認されたように、そ
の取り組みは一定の成果を上げているが、区内の精神科治療を支える関係機関が、
共通の認識・目標を持ち、これをいっそう推進していく必要がある。
(2) 自殺を考える女性たちを救えるような支援の展開
一般に男性の自殺死亡率は景気や雇用などの社会経済的要因に大きく影響される
のに対して、女性の自殺死亡率はこうした社会経済的要因の影響を受けにくく、むし
ろ精神障害の要因、あるいは恋愛や結婚、夫婦間の問題、子育て、介護といった要因
による影響が大きいといわれている。本調査でも、中央区における自殺未遂者の典型
像として、「家庭問題や男女問題に悩む 20~50 代の女性」、「単身生活をする女性、
おそらくは未婚、もしくは離婚・別居する女性」といった姿が浮き彫りにされている。こ
れまでわが国の自殺対策はもっぱら「働きざかりの男性」に焦点を当てたものであり、
女性の自殺対策に関する知見・経験はきわめて限定されているが、今後、早急に中央
区における「女性の生きづらさ」に関する情報収集を進めたうえで、追いつめられた女
性たちに届く支援を展開していくことが求められるであろう。
(3) 地域支援を担う関係機関の連携強化
再企図の危険性がことに高い自殺未遂者に対して、精神科通院に加えた何らかの
支援を提供することも考慮すべきである。Fleischmannらの研究では、自殺未遂者に対
して、年 3 回程度のアフターケアを行った群は、何もケアしなかった群に比べて、1 年
半後の自殺既遂による死亡率を下げることを明らかにしている 4)。また Kawanishi らの
研究でも、自殺未遂者に対して、ソーシャルワーカーや心理士による退院後の療養支
援や生活の調整といった、非精神医学的な支援を付加することが、半年以内の再企
図を有意に減少させることを明らかにしている 3)。平成 26 年 7 月より、東京都が、救急
医療機関等に搬送された自殺未遂者を適切な支援先に繋ぐ「東京都こころといのち
のサポートネット」を開設した。地域支援の重要性が高まる中、社会資源を開発し、そ
れを担う関係機関が連携を強化していくことが大切である。再企図の危険性が高い自
殺未遂者、たとえば、自殺未遂歴があるうえに、今回の自殺未遂後も希死念慮などが
継続し、しかも退院後に独居生活を余儀なくされている事例に対して、何らかのきめ細
やかな支援が提供されることを検討すべきであろう。