「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

感染状況2020.3.27正午:有症状1212(+72)入院837(+63、重症度確認中203)人工呼吸器等56(+0)死亡46(+1)退院331(+11) クルーズ船除く

2020-03-27 23:35:55 | 新型コロナウイルス感染症:感染の広がり状況

3/27(金)小池都知事、選手村をコロナ患者の一時滞在施設にと提案

3/26(木)夕刻、都知事、首相へ都の緊急要望。
          国は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、「新型コロナウイルス感染症対策本部」設置
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sidai_r020326.pdf
      首都圏一円「移動自粛」 5都県知事が共同で要請。

3/25(水)夕刻、都知事「感染爆発の重大局面」の緊急記者会見。

3/24(火)東京五輪、1年間程度延期へ。

●PCR陽性率(一日のPCR検査実施人数に占める陽性者の割合)
注:ある一日の単発の陽性率であり、ひとつの目安です。日々変化します。

3/23(月)43/112⇒38.4%、3/24(火)39/4090⇒0.93%、3/25(水)65/909⇒7.2%、3/26(木)98/1650⇒5.9%、3/27(金)⇒96/1834⇒5.2%
3/16(月)33/43 ⇒76.7%、3/17(火)15/3416⇒0.4%、3/18(水)44/203⇒21.7%、3/19(木)39/453⇒8.6%、3/20(金)36/3943⇒0.9%、3/21(土)53/119⇒44.5%、3/22(日)39/128⇒30.5%
3/14(土)40/859⇒4.7%、3/15(日)63/107⇒58.9%、
全体でみると
3/23(月)1089/20340⇒5.4%、3/24(火)1128/24430⇒4.6%、3/25(水)1193/23521⇒5.1%、3/26(木)1292/25171⇒5.1%、3/27(金)1387/27005⇒5.1%
3/15(日)777/13026⇒6.0%、3/16(月)809/13068⇒6.2%、3/17(火)824/16484⇒5.0%、3/18(水)868/15354⇒5.7%、3/19(木)907/14901⇒6.0%、3/20(金)943/18844⇒5.0%、3/21(土)996/18963⇒5.3%、3/22(日)1046/20228⇒5.2%

●入院を必要とするかたの増加:
3/23(月)674(+22)⇒3/24(火)693(+19)⇒3/25(水)743(+50)⇒3/26(木)774(+31)⇒3/27(金)837(+63)
3/16(月)550(+15)⇒3/17(火)556(+6)⇒3/18(水)579(+23)⇒3/19(木)590(+11)⇒3/20(金)614(+12)⇒3/21(土)650(+36)⇒3/22(日)652(+2)
3/9(月)345(+9)⇒3/10(火)362(+17)⇒3/11(水)392(+30)⇒3/12(木)434(+42)⇒3/13(金)468(+34)⇒3/14(土)497(+29)⇒3/15(日)536(+39)

●そのうち重症度の確認中のかた:
3/23(月)187(+4)⇒3/24(火)185(-2)⇒3/25(水)203(+18)⇒3/26(木)202(-1)⇒3/27(金)203(+1)
3/16(月)194(+4)⇒3/17(火)182(-12)⇒3/18(水)187(+5)⇒3/19(木)175(-12)⇒3/20(金)182(+7)⇒3/21(土)185(+3)⇒3/22(日)183(-2)
3/9(月)121(+19)⇒3/10(火)120(-1)⇒3/11(水)161(+41)⇒3/12(木)166(+5)⇒3/13(金)158(-8)⇒3/14(土)161(+3)⇒3/15(日)190(+29)

●退院したかたの増加
3/23(月)247(+12)⇒3/24(火)263(+16)⇒3/25(水)272(+9)⇒3/26(木)320(+48)⇒3/27(金)331(+11)
3/16(月)139(+5)⇒3/17(火)144(+5)⇒3/18(水)161(+17)⇒3/19(木)184(+23)⇒3/20(金)193(+9)⇒3/21(土)198(+5)⇒3/22(日)235(+37)

●今までに重症から軽~中等症へ改善したかた:
3/23(月)19(+0)⇒3/24(火)20(+1)⇒3/25(水)20(+0)⇒3/26(木)24(+4)⇒3/27(金)26(+2)
3/16(月)13(+0)⇒3/17(火)13(+0)⇒3/18(水)16(+3)⇒3/19(木)17(+1)⇒3/20(金)17(+0)⇒3/21(土)18(+1)⇒3/22(日)19(+1)

●人工呼吸器等(死亡に伴う減少を赤字)
3/23(月)54(-3)⇒3/24(火)55(+1)⇒3/25(水)57(+2)⇒3/26(木)56(-1)⇒3/27(金)56(+0)
3/16(月)41(+5)⇒3/17(火)46(+5)⇒3/18(水)46(+0)⇒3/19(木)49(+3)⇒3/20(金)50(+1)⇒3/21(土)55(+5)⇒3/22(日)57(+2)

●死亡者数
3/23(月)41(+5)⇒3/24(火)42(+1)⇒3/25(水)43(+1)⇒3/26(木)45(+2)⇒3/27(金)46(+1)

●致死率 
3/22(日) 49/1813⇒2.7%、36/1046⇒3.4%
3/15(日) 31/1515⇒2.0%、22/777⇒2.8%

*************
厚労省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10521.html

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新型コロナウイルスと闘う日本の医療従事者と医療を守ろう 「新型コロナウイルス感染症に関する専門家有志の会」2020.3.24

2020-03-27 18:54:06 | 各論:新型インフルエンザに備える

 感染症の第一人者の先生方が、感染症から医療崩壊を防ぐために署名活動をされています。

 解説:新型コロナと闘う日本の医師らから、"日本に住む全ての市民"への「お願い」https://www.buzzfeed.com/jp/sumirekotomita/message-from-corona-figthter-docs
    
 
 
*********署名内容******
https://www.change.org/p/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E4%BD%8F%E3%82%80%E7%9A%86%E6%A7%98%E3%81%B8-%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%81%A8%E9%97%98%E3%81%86%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%BE%93%E4%BA%8B%E8%80%85%E3%82%92%E5%AE%88%E3%82%8D%E3%81%86?platform=hootsuite

日本の医療従事者と医療を守るため、新型コロナウイルス感染症を食い止める行動をとりましょう!

2020年3月24日、首都圏の医療機関では、新型コロナウイルス感染症の重症患者が急激に増え始めています。このことは、私たちが行動を自粛してきたつもりでも、その効果が十分ではなかったことを意味しています。

また、3月に入って海外から帰国・入国した人たちの感染例が急増しています。今後もしばらくは、続々と駆け込み帰国者・入国者が増えるでしょう。このことは、2月までの比ではない感染拡大が、日本国内で起きる可能性があることを意味しています。

日本の医療従事者は、新型コロナウイルス感染症に果敢に挑み、多くの人々を救っています。しかし、今、首都圏では感染者が毎日増え続けており、人工呼吸器などが症状の重い患者さんで埋まってしまう可能性が高まっています。そうなると、本来、日本の医療水準であれば救えたはずの命が救えなくなります。その上、医療従事者を身体的にも精神的にも、極度に疲弊させることになります。

今、私たちにできることは、次のようなことです。

  1. 毎日の生活の中で、3つの条件が重なる場(密閉空間+密集場所+密接場面)に近づくことを徹底的に避けること
  2. 一度に多数の感染者を生むかもしれない行動(屋内で50名以上が集まるイベントへの参加、家族以外の多人数での会食など)を徹底的に避けること
  3. 風邪症状(咳や咽頭痛など)がある場合には、外出を控え、まずは自宅で療養すること
  4. 海外から帰国・入国した方は、その日から2週間は人との接触をできるだけ避け、健康観察を怠らないこと。体調に異変があったら、近隣の帰国者・接触者相談センターに相談すること
  5. 大規模イベントに参加した人は、その後2週間は人との接触をできるだけ避け、健康観察を怠らないこと。体調に異変があったら、近隣の帰国者・接触者相談センターに相談すること

新型コロナウイルス感染症に対して、死亡者を最小限に抑えることに貢献してきた日本の優秀な医療従事者と、日本の素晴らしい医療を私たちの力で守りましょう。

【受診の目安】次の症状がある方は(1)(2)を目安に「帰国者・接触者相談センター」にご相談ください。
(1)風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている。
 (解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
(2)強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合
 センターでご相談の結果、新型コロナウイルス感染の疑いのある場合には、専門の「帰国者・接触者外来」をご紹介しています。マスクを着用し、公共交通機関の利用を避けて受診してください。
なお、現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気の方が圧倒的に多い状況であり、 インフルエンザ等の心配があるときには、通常と同様に、かかりつけ医等に御相談ください。
 〇帰国者・接触者相談センターから受診を勧められた医療機関を受診してください。複数の医療機関を受診することはお控えください。
〇医療機関を受診する際にはマスクを着用するほか、咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえる) や手洗いの徹底をお願いします。

「新型コロナウイルス感染症に関する専門家有志の会」は、各地で対策に携わっている人々の集まりです(五十音順)。

今村顕史 がん・感染症センター 都立駒込病院感染症科 部長
大曲貴夫 国立国際医療研究センター 国際感染症センター長
岡部信彦 川崎市健康安全研究所 所長
小坂 健 東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野 教授
尾身 茂 独立行政法人地域医療機能推進機構 理事長
押谷 仁 東北大学大学院医学系研究科微生物分野 教授
釜萢 敏 公益社団法人日本医師会 常任理事
河岡義裕 東京大学医科学研究所 感染症国際研究センター長
川名明彦 防衛医科大学内科学講座(感染症・呼吸器)教授
賀来満夫 東北医科薬科大学医学部特任教授
鈴木 基 国立感染症研究所 感染症疫学センター長
田中幹人 早稲田大学政治経済学術院 准教授
舘田一博 東邦大学微生物・感染症学講座 教授
中島一敏 大東文化大学スポーツ・健康科学部健康科学科 教授
中山ひとみ 霞ヶ関総合法律事務所 弁護士
西浦 博 北海道大学大学院医学研究院衛生学教室 教授
武藤香織 東京大学医科学研究所公共政策研究分野 教授
吉田正樹 東京慈恵会医科大学感染症制御科 教授
脇田隆字 国立感染症研究所所長
和田耕治 国際医療福祉大学大学院公衆衛生学教授

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岩田健太郎先生 論説2020.3.27

2020-03-27 18:11:24 | 各論:新型インフルエンザに備える

 

 感染症の第一人者のひとり、岩田先生の論説を共有致します。

***********岩田健太郎先生 論説**********
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=3393241917372402&set=a.205231519506807&type=3&theater

これから書くことはほとんど、これまでも繰り返し申し上げてきたことと変わりない。が、同じ質問は繰り返し受けているので、再度申し上げる次第である。なお、海外からも同様の問い合わせが多いので本来であれば英語でも同じ内容の文章を用意すべきだが、時間の関係で割愛させてください。Chromeかなにかでそれぞれ母国語に訳してお読みいただけると幸いです。なお、本稿は特に感染症学の基礎知識やジャーゴンを知らなくても読めるように工夫はしているが、それなりに難解な内容だ。その点はご容赦いただきたい。

日本のCOVID-19報告数が諸外国に比べて非常に少ないことに内外から注目が集まっている。あれは本当なのか。検査数が少なすぎて、実際の感染者数を見誤っているのではないか、という指摘がある。

 しかし、この指摘はいろいろなレイヤーにおいて間違っている。そもそも、日本はCOVID-19の全数把握を目指していない。行政検査であれ、保険診療であれ、国は基本的に入院が必要な重症患者を診断、入院、隔離させることを念頭において検査戦略を練っている。「把握できていない」のは当然で、把握するつもりはないのである。それは悪いことではない。というか、事情は大なり小なりどこの国でも同じで、米国であれ欧州各国であれ、アジアであれ、「全数把握」を目指している国はどこにもない。WHOもそんなことは求めていない。もっとも、そのわりに日本は帰国者無症状者にPCRをやってみたり、無症状な検査陽性者を入院隔離させてみたり(軽症者は自宅じゃなかったの?)、プリンシプルにおいて首尾一貫していない。だから、「なにがやりたいかよくわからない」わけで、人々は不安になる。リスコミにおける失敗と言えよう。

 韓国と日本の違いは、「結果」であって「目的」ではない。感染者が一所で急増した韓国ではその地域と周辺の検査を重点的に行わねばならなかった。日本でも万の単位でそういう現象(オーバーシュートと呼んで良い)。が起きれば検査数は増えるだろう。状況が違うときに、その状況を観察せずに検査数だけで是非を議論するのは、サッカーの試合をみずに「あのチームはスライディングタックルを50回もやっていたのに、このチームは1回しかやっていない」と難じるようなものである。スライディングしなくてよい試合(例えば、ずっとボールを握っているとき)には、0回だって「間違い」ではないし、もちろん50回だって間違いではない。

 全数把握ができていない疾患など山のようにある。日本ではインフルエンザの「全数」把握はしておらず、定点観測である。それで疫学上、感染対策上、十分な情報が得られているからそれでよいからだ。日本で毎年風邪が何例発生しているか、正確に把握したデータはない。レセプトデータを見ればわかるじゃないか、というのも間違いで、多くの風邪患者は(ぼくのように)受診せずに自然に治るまで待っている。医療に限らず、経済学でも政治学でもデータはサンプリングから母数を推定するのがほとんどで、「全数」は非効率的な状態把握法なのだ。

 日本においてイタリアやスペイン、ニューヨーク市のような惨状は起きていない。重症患者で医療崩壊、手術室をICUとして使ったり、死体の山の置き場に困ってスケートリンクに死体を積み上げるという現象は起きていない。「感染者数」が把握できていなくても、日本の現状が(東京を含め)、諸外国よりもずっとよくコントロールされているのは事実である。

 さて、それでも「じゃ、実際のところどうなのよ」という関心もあろう。推計はある。例えば、西浦博先生らのグループが行った推計では、日本の軽症患者は報告されている数の倍くらいではないか、と見積もっている。捕捉率は0.44, 95%信頼区間0.37-0.50というものだ。

https://www.medrxiv.org/…/1…/2020.03.09.20033183v1.full.pdf…

 この推計は中国のデータを基盤にして行われた研究だが、そもそも中国のCOVID-19のデモグラフィックと日本のそれが同じであるという必然性は必ずしもない。また、もととなる研究は無症状者や入院不要の軽症者が含まれていないので、それを基盤に推計した感染者数は必然的に過小評価となる。もっと猜疑的になれば、「そもそも突然変異で日本と中国のウイルスは別物なんだ」という説だって存在していけないことはない(ぼくはそうは思わないが)。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2002032

 このことは、当該論文自体の価値そのものを貶めるものではない。モデルでは、常に既存のパラメーターを援用せねばならず、そのパラメーターが外的に妥当であるかはしばしば証明できない。前提となるパラメーターが妥当でなければ、予測も当たらない。モデルはモデルである限り、シンプルにされた世界を前提とする。簡略化のないモデル、というのは形容矛盾である。数理モデルのこうした「前提」にイチャモンを付けるのは、例えばAという疾患を対象にランダム化比較試験をしたときに、「Bという疾患については分からないじゃないか」と文句を言うようなもので、業界の仁義に反する意味のない揚げ足取りである。

 しかし、論文の読み手は別である。ある種の仮説を前提にした数理モデルは、学問的に内的に妥当性を担保していればよいが、それを現実世界でどうアプライするかは現実世界の住人たる読み手の責任だ。Aという疾患を対象にしたRCTの知見をBという疾患に使ってはならないように、数理モデルの制限や限界を理解し、現実世界にアプライするときに十分注意するのは当然だ。例えば、当該論文を読んで、3月26日時点の「東京の感染者は累計だいたい500人だ」と断定するのは間違っている。

 人は間違う。モデルも間違う。間違うことはさしたる問題ではない。問題は、間違いに気づき、修正を加えることだ。すでにロンドンのインペリアル・カレッジのグループは、感染のピークを緩やかにすればいい、という当初の見積もりが「間違っていた」と認め、かなりアグレッシブにこのウイルス感染と戦わないと早晩ICUが破綻すると予測を改めている。

https://www.sciencemag.org/…/mathematics-life-and-death-how…

 西浦博先生は日本で数少ない感染症数理モデルのプロであり、その能力が傑出しているのは関係諸氏の知るところだ。しかし、多くの人達が数理モデルそのものを理解していないこともあって(ぼくも数理モデルのプロではないので、その知見のすべてを把握しているとは言えないと白状せねばならない)、彼の知見やコメントは神格化されやすい。数理モデルの中身が多くの人には完全にブラックボックスなために、まるで神社のおみくじのような神託が出てくるように見えてしまうのだ。日本の感染対策のポリシーの多くが西浦理論に依存している。それで概ね間違いはないのだが、日本あるあるの問題として、プランAが破綻したときのプランBがないことにある。西浦先生は優れた学者である。神ではない。故に間違える可能性とそのプランBを持っている必要がある。無謬主義に陥りやすい官僚や政治家が科学を神託と勘違いしないか、大いに心配である。反証可能性が担保されてこそ科学は科学的でありつづけることができるのだ。

 数理モデルは演繹法の活用産物である。演繹法は帰納法やアブダクションで補完するのが、学問の基本であり、臨床医学の常識である。演繹法的にどんなに正しく見えても蓋を開けてみれば違っていた、ということはこの業界ではよくあることなのだ。ヘーゲルやマルクスのような巨大な知性でも演繹法オンリーでは間違うのである。

 モデルを使うな、といっているのでは決してない。ぼく自身、モデルを用いて論文を書く。しかし、モデルは無謬ではなく、そこには前提たる仮定があり、仮定はしばしば間違っている。グラム染色を活用するとは、グラム染色にできないこと、分からないことを知悉していることであり、グラム染色万能論者にグラム染色は使えない。同じことだ。英国でも数理モデルは活用されているが、だからこそその結語には非常に懐疑的で、常に反論、異論が起きている。健全で科学的な態度である。

https://www.theguardian.com/…/coronavirus-exposes-the-probl…

 日本の「今」は感染がうまくコントロールされている状態で、それは最悪時の武漢や、現在のイタリア、スペイン、フランス、英国、ニューヨークに比べてずっとよい状態である。問題は、それが「これからもずっとうまくいく」ことを保証しないことである。

 懸念されるのは東京だ。感染報告が増えたことだけが問題なのではない。クラスターを形成できない、トレースできない感染者が増えているのが問題である。そして、その陽性患者数に比べて検査数がずっと少ない。47人の感染者を捕捉するのに100人未満(陽性者の検査日が不明だが、おそらくこのへんだろう)しか検査していないのは少なすぎる。繰り返すが、すべての感染者を把握する必要はない。が、感染の流れ、動き、クラスターが見えなくなっているのは困る。よって、東京では検査の閾値を下げねばならない。検査の閾値は状況によって変化する。韓国の例で説明したとおりだ。厚労省の「基準」にこだわっていると現象そのものを見誤る。すでに関西では味覚異常、臭覚異常を根拠に感染者が見つかっており、そこからクラスターが検知された。こうした臨床医のアスチュートな感性はもっと活用したい。東京都の「どこ」が検査数を下げている障壁なのかは分からないが、その障壁は即座に取り払う必要がある。

https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

 感染のピークを下げて横にずらす、という皆が見ているこの概念図。これとて演繹法の産物であり、本当に正しいかどうかは分からない。前述のように、英国の試算ではすでにこれでは足りない、と考えられている。横にずらした被害が、単に「やたら長い被害」になってしまう可能性もある。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55991750T20C20A2CZ8000/

 そして、ここが肝心なのだが、ピークを下げるという理念が、「ピークを下げなければいけない」という観念になり、「ピークは下がっているはずだ」という確信になり、「ピークは起きていないんだ」という自己暗示に転じてはいけないということだ。プランAに固執する日本あるあるの失敗のパターンで、ダイヤモンド・プリンセスでは「二次感染が起きてはいけない」が「起きているはずがない」に転じてノーガード下船を許してしまった。ピークが起きてはいけない、がピークなんて見たくない、にならないように現実を見据える必要がある。たとえ、それが我々の見たくない不都合な真実であったとしても。

 繰り返す。演繹法は帰納法で補完するのがこの業界の常識だ。とはいえ、PCRは偽陰性が多くて感染の状態を把握する力に乏しい。「なんでも検査」が間違っているのはそのためだ。しかし、免疫グロブリンIgM、IgGを測定する血清検査であれば、「集団における感染の状態」はより正確に把握できる。これとて、無謬ではない。早期感染は見逃すので、個々の症例には使いにくい。HIV早期感染を見逃すのはこのためである。個々の事例に抗体検査が有用かどうかは、未だ検証を待たねばならないが、ポピュレーションベースで疫学調査をするのには向いている。ざっくり言えば、今東京で「感染が蔓延している」のか、それは杞憂に過ぎないのかを確認できる。前例はあって、ロンドンの血清検査で09年パンデミックインフルエンザが従来予測の10倍起きていたことが血清検査でわかっている。抗体検査はアウトブレイクのあとで事後的に行うことが多いが、慢性的パンデミックになりつつあるCOVID-19については、「今」こそが検証のポイントといって良い。

https://www.sciencedirect.com/…/arti…/pii/S0140673609621267…

英国はさらにアグレッシブだ。家庭で抗体検査を行い、「感染者である」とわかればそれを自宅での自己隔離の根拠に使おうというのだ。ロックダウンが起きている中で、検査陰性は「自己隔離不要」を意味しないため、その戦略に穴はある。が、考え方としては「感染全体を抑え込みたい」というもので、検討の価値はあると思う。

https://www.theguardian.com/…/uk-coronavirus-mass-home-test…

 東京でどのくらいの感染が起きているか、帰納法的確認は必要であり、有用だ。その結果がどうなるかは預言者ではないぼくには分からない。が、どんな結果が出てきても、それを受け入れ、場合によっては自説を曲げ、プランBに移行することにも躊躇しない態度が科学者には必要だ。科学者は、首尾一貫していないことにかけて、首尾一貫していなければならないのだ。形式においては朝令暮改であっても、プリンシプルやプロフェッショナリズムにおいて曲げてはならないのだ。事実に誠意を。

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新型コロナウイルス感染症に対応した小学校,中学校,高等学校 及び特別支援学校等における教育活動の再開等に関するQ&A(3月 26 日時点)文科省事務連絡

2020-03-27 18:07:35 | 各論:新型インフルエンザに備える

学校再開のガイドラインのQ&Aです。2020.3.26  https://www.mext.go.jp/content/20200327-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf

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日本公衆衛生学会 新型コロナウイルス感染症対策についての声明(第 2 報) -流行拡大阻止と爆発的流行に備えた医療体制整備の要望- 2020.3.27

2020-03-27 17:21:29 | 各論:新型インフルエンザに備える

日本公衆衛生学会: https://www.jsph.jp/covid/files/seimeidainihou.pdf

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感染状況2020.3.27正午:有症状1212(+72)入院837(+63、重症度確認中203)人工呼吸器等56(+0)死亡46(+1)退院331(+11) クルーズ船除く

2020-03-27 00:08:01 | 新型コロナウイルス感染症:感染の広がり状況

3/27(金)小池都知事、選手村をコロナ患者の一時滞在施設にと提案

3/26(木)夕刻、都知事、首相へ都の緊急要望。
          国は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、「新型コロナウイルス感染症対策本部」設置
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sidai_r020326.pdf
      首都圏一円「移動自粛」 5都県知事が共同で要請。

3/25(水)夕刻、都知事「感染爆発の重大局面」の緊急記者会見。

3/24(火)東京五輪、1年間程度延期へ。

●PCR陽性率(一日のPCR検査実施人数に占める陽性者の割合)
注:ある一日の単発の陽性率であり、ひとつの目安です。日々変化します。

3/23(月)43/112⇒38.4%、3/24(火)39/4090⇒0.93%、3/25(水)65/909⇒7.2%、3/26(木)98/1650⇒5.9%、3/27(金)⇒96/1834⇒5.2%
3/16(月)33/43 ⇒76.7%、3/17(火)15/3416⇒0.4%、3/18(水)44/203⇒21.7%、3/19(木)39/453⇒8.6%、3/20(金)36/3943⇒0.9%、3/21(土)53/119⇒44.5%、3/22(日)39/128⇒30.5%
3/14(土)40/859⇒4.7%、3/15(日)63/107⇒58.9%、
全体でみると
3/23(月)1089/20340⇒5.4%、3/24(火)1128/24430⇒4.6%、3/25(水)1193/23521⇒5.1%、3/26(木)1292/25171⇒5.1%、3/27(金)1387/27005⇒5.1%
3/15(日)777/13026⇒6.0%、3/16(月)809/13068⇒6.2%、3/17(火)824/16484⇒5.0%、3/18(水)868/15354⇒5.7%、3/19(木)907/14901⇒6.0%、3/20(金)943/18844⇒5.0%、3/21(土)996/18963⇒5.3%、3/22(日)1046/20228⇒5.2%

●入院を必要とするかたの増加:
3/23(月)674(+22)⇒3/24(火)693(+19)⇒3/25(水)743(+50)⇒3/26(木)774(+31)⇒3/27(金)837(+63)
3/16(月)550(+15)⇒3/17(火)556(+6)⇒3/18(水)579(+23)⇒3/19(木)590(+11)⇒3/20(金)614(+12)⇒3/21(土)650(+36)⇒3/22(日)652(+2)
3/9(月)345(+9)⇒3/10(火)362(+17)⇒3/11(水)392(+30)⇒3/12(木)434(+42)⇒3/13(金)468(+34)⇒3/14(土)497(+29)⇒3/15(日)536(+39)

●そのうち重症度の確認中のかた:
3/23(月)187(+4)⇒3/24(火)185(-2)⇒3/25(水)203(+18)⇒3/26(木)202(-1)⇒3/27(金)203(+1)
3/16(月)194(+4)⇒3/17(火)182(-12)⇒3/18(水)187(+5)⇒3/19(木)175(-12)⇒3/20(金)182(+7)⇒3/21(土)185(+3)⇒3/22(日)183(-2)
3/9(月)121(+19)⇒3/10(火)120(-1)⇒3/11(水)161(+41)⇒3/12(木)166(+5)⇒3/13(金)158(-8)⇒3/14(土)161(+3)⇒3/15(日)190(+29)

●退院したかたの増加
3/23(月)247(+12)⇒3/24(火)263(+16)⇒3/25(水)272(+9)⇒3/26(木)320(+48)⇒3/27(金)331(+11)
3/16(月)139(+5)⇒3/17(火)144(+5)⇒3/18(水)161(+17)⇒3/19(木)184(+23)⇒3/20(金)193(+9)⇒3/21(土)198(+5)⇒3/22(日)235(+37)

●今までに重症から軽~中等症へ改善したかた:
3/23(月)19(+0)⇒3/24(火)20(+1)⇒3/25(水)20(+0)⇒3/26(木)24(+4)⇒3/27(金)26(+2)
3/16(月)13(+0)⇒3/17(火)13(+0)⇒3/18(水)16(+3)⇒3/19(木)17(+1)⇒3/20(金)17(+0)⇒3/21(土)18(+1)⇒3/22(日)19(+1)

●人工呼吸器等(死亡に伴う減少を赤字)
3/23(月)54(-3)⇒3/24(火)55(+1)⇒3/25(水)57(+2)⇒3/26(木)56(-1)⇒3/27(金)56(+0)
3/16(月)41(+5)⇒3/17(火)46(+5)⇒3/18(水)46(+0)⇒3/19(木)49(+3)⇒3/20(金)50(+1)⇒3/21(土)55(+5)⇒3/22(日)57(+2)

●死亡者数
3/23(月)41(+5)⇒3/24(火)42(+1)⇒3/25(水)43(+1)⇒3/26(木)45(+2)⇒3/27(金)46(+1)

●致死率 
3/22(日) 49/1813⇒2.7%、36/1046⇒3.4%
3/15(日) 31/1515⇒2.0%、22/777⇒2.8%

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厚労省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10521.html

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