高山義浩先生の論考を掲載します。
重要な指摘がなされており、沖縄以上に感染の広がりを見せる東京都に考え方は当てはまると考えます。
1、科学との協調による政策決定、決定された政策を科学者に追認を求めてはならない。
2、一律の外出自粛ではなく、クラスターが疑われる地域における外出自粛と営業自粛
3、全校休校は不要。具体的には、同じクラス、同じ部活、同じ学童クラブの出校停止
4、校内で感染経路不明の子どもが複数出ているような状況では、全校休校やむなし
5、明らかに流行している地域からの渡航は避ける。そのジャッジは政府や当該自治体が判断。
********高山義浩先生2020.7.26*********************
沖縄県では、新型コロナウイルスの再流行がはじまっており、残念ながらコントロールを失いつつあるようです。
今月の前半は、県外からの渡航者や渡航者と接触のある方について適切に診断していたので、ある意味、予定通りの展開でした。ただ、このところ、渡航歴との接点が明らかでない症例が増えてきています。つまり、市中感染が始まっていると考えられます。
どこから県内に侵入したのか・・・ その経路は2つしか考えられません。ひとつは、本土から(へ)の渡航者。もうひとつは、すでに200人を超える流行にまで発展している在沖米軍。
もちろん、両方の可能性があるわけですが、県内流行のタイミングと中部地区からの感染事例が続いているところをみると、米軍のメガクラスターが移行しているのではないかと考えざるをえません。これは今後の対策に関わる問題であり、県内感染者から分離されるウイルスの遺伝子型を解析することをお勧めします。
もし、本土と一致するのなら、渡航者からの感染拡大と考えられます。観光客の受け入れや県民の県外渡航について再検討が求められますね。逆に、多くがアメリカで流行している型と一致するのなら、米軍における感染対策の強化を一層求めていく必要があります。観光への嫌疑は晴らされます。
ともあれ、いま不安定な状況が続いていることは明らかです。しかも、「GOTOキャンペーン」が始まってしまいました。多くの観光客が沖縄を訪れはじめています。このまま続けて良いのか、市中流行の原因になっていないか、米軍と観光と両睨みでの対策が求められます。
かなり慎重に、沖縄県における戦略を組み上げる必要があります。思い付きやその場しのぎの施策は事態を混乱させるだけです。政治のリーダーシップが不可欠ですが、サイエンスとの協調なくして新型コロナ対策は上手くいきません。
那覇空港での抗原検査しかり、やや噛み合ってないことが出てきているので、仕切り直していただければと思います。専門家に決定事項の承認を求めるのではなく、一緒に考える姿勢をとっていただければと・・・。
あと、数日で判断を要します。単純に人口10万人あたり何人ということで判断できることではありません。
感染経路不明の症例がどれくらい出たか? 感染者の年齢のバラツキの程度はどうか? 地理的な広がりはどうか? また、約900人の基地従業員に対する検査がおこなわれましたので、そこでの陽性者の数も重要な判断基準になります。
しかし、状況としては厳しいですね。クラスターが疑われる地域については、いったん外出自粛と営業自粛をしていただいて、感染がゼロになるまで封じ込めた方がいいと私は思います。それぐらい感染が広がっている地域があります。自粛の準備をはじめてください。早めに自粛した方が、静まるのも早いですから・・・。
なお、4月のように、全県一律の判断をするべきではありません。地域ごとの流行状況を分析して、もっと自粛対象を絞り込めるはず。たとえば、北部、宮古や八重山では感染者が確認されていません。多くの小規模離島も同様です。流行している本島からの渡航を自粛することが重要で、発生していない地域が自粛する必要はないはずです。
ず~と私は言い続けていますが、全校休校の必要はありません。これが私の考えです。濃厚接触者をリストアップして、その子どもたちを休ませればよいことです。具体的には、同じクラス、同じ部活、同じ学童クラブなどが挙げられます。
感染している可能性のない子供たちまで、教育の機会が与えられなくなるのは過剰な対応です。学校に限りませんが、この流行は何度も繰り返されることを理解して、もっと自粛対象を絞り込んでいかないと続けられませんよ。
ただし、校内で感染経路不明の子どもが複数出ているような状況では、全校休校やむなしと考えます。なお、そうした事態に備えて、どの学校もオンライン授業の体制を整えてください。
明らかに流行している地域からの渡航は避けてほしいと思います。ただ、そのジャッジは沖縄県がすることではありません。政府や当該自治体が判断すべきことで、いちいち沖縄県が他県を名指しして「来ないで下さい」と言うのは変ですね。
一方、観光との関連が疑われるクラスターが県内で多発するようなら、観光スタイルを再検討するために、いったん、すべての観光を止めるというのは考え方としてはあると思います。そうならないように、各事業者は感染対策を徹底していただければと思います。
なお、たとえば中部地区で外出自粛、営業自粛を求める事態になっても、恩納村など観光客向けのホテルまでもが営業を自粛する必要はありません。県民が外出自粛の一環として、ホテルを訪れることを自粛すればよいことです。
市内のレストランは営業を自粛しているので、観光客が訪れることはできません。こうして、事実上、地域との交流を遮断すれば、観光客の安全を守ることができるはずです。