
12月議会の一般質問二日目。
釧路駅周辺のまちづくりについて関心を持って質問をする議員さんが多い。
駅周辺整備については平成19年に一度検討がなされ、連続立体による鉄道高架案(Aプラン)と駅舎を橋上化する案(Bプラン)という二つの計画案を示して市民アンケートなどを行った経緯がある。
しかしこの時は、大きな事業費と釧路市が負担する金額がAプランで約150億円、Bプランで約90億円と莫大なものだったために当時の市役所の財政体力では難しいとして棚上げになったのだった。
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ところがそれを先の釧路市長選において蝦名市長の公約集からそれらしき記述を拾い上げて新聞がかき立てたことで大きな話題となったのだ。
今日の質問も、「いつからどのようなイメージでやるのか」、また「防災面を強調するのか釧路の顔としてやるのか」といった具体的な質問が多かったが、まだ市長を含めて市役所として具体的なイメージを持っているわけではない。
市長のイメージも、平成19年当時は釧路の顔として再整備をしてはどうか、という声に押されて検討をしたものの財政体力がネックになっていたが、6月に道から示された新しい津波シミュレーションを見て、改めて地域の顔という意味だけではなく、地域住民の防災力強化という視点で駅再整備をもう一度検討してみる必要があるのではないか、ということ。
JRの駅舎が老朽化しているし駅周辺寂しくなってしまっていることは周知の事実だが、投資に見合うメリットがはたして出るのだろうか。
また、平成19年当時の事業メニューに比べてその後防災面での補助の強化など新しいメニューがあるのか、ということなどは道庁ともよく情報交換をしなくてはならないし、もちろんJRとの意見交換も欠かせない。
そういう意味での駅周辺開発の再検討なのだが、期待する向きは待ちに待った感じなので力が入っている。
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旭川の鉄道高架化とそれに伴う駅舎改築、さらに駅周辺の区画整理などを引き合いに出して、「時間はかかるが効果は大きい」という主張もあるが、旭川の事業だってメリット・デメリットもまだ最終判断が出ているわけではない。
区画整理の土地は売れなくては市の負担が大きくなるし、土地の値段が下がれば損をするかもしれない。
そもそも区画整理は価値上昇局面で高価を発揮するが、デフレ経済下ではいかに危険かは周知のことではないか。
この期に及んで新しい遊休地を生み出したら開発しようという民間の動きは追従してくるのだろうか。
新しい市街地を生み出して、既存の商業力とのバランスは取れるのか。
結局区画整理をきっかけにして、空き地が増えてしまうのではないか…など心配は多い。
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しかし同時に、駅周辺整備が進めば釧路の顔ができて賑わいが創出されるかもしれない。
駅周辺に高い場所ができることで津波からの避難がよりスムースになるかもしれない。
今は線路を超えて南北を行き来するのに駅から離れた跨線橋を使っているが、これが解消されるかもしれない。
市が乾坤一擲で行う大投資事業については、税金として負担をすることになる市民にも審判を仰がなくてはいけないかもしれない。
いずれにしても、前回にも増して情報提供により市民の関心を喚起して、市民の意思を取り入れる形での決着が必要になるだろうし、少なくても財政再建途上での着手はタイミングとしても難しい。
まずは情報収集と関係者との意見交換から始めるべきだろう。落ち着こう。