今年もいよいよ最後の一週間となった。
この一年を振り返って印象に残ったフレーズを探してみたが、9月7日付の日経新聞「経済教室」にその答えがあった。
「経済教室」は学識経験者たちによる経済を取り巻く話題について書いてもらうのだが、幅広いテーマを分かりやすく教えてくれるので人気のコーナーだ。
この日は関西大学の林宜嗣(はやしよしつぐ)教授による『地方行政、守備範囲を見直せ』というタイトルの記事だった。
サブタイトルは、『「最少経費で最大効果」実現が真の財政再建』、『投入し原料に基づく政策効果評価は間違い』、『行政サービスごとのコスト計算や開示必要』とある。
行政の真っただ中にいる我々にとっても常にそうありたいと努力をしている目標でもあるが、時として力不足のこともあり、忸怩たる思いだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/15/e234fbf286d4c7f5afad91dc299d5d43.jpg)
◆
記事の中で林先生は、「財政を再建させるには行政の守備範囲の見直しが不可欠だ」と言う。
かつては担い手がいなかったために行政が行っていた事業も、様々な社会経済状況の変化によって守備範囲から外したり、関与の在り方を見直したりすべきものも存在する。
そしてそのための具体的な方策として五つの実践項目を挙げている。
◆ ◆ ◆
一つ目は成果(アウトカム)重視の評価をすること。
自治体の成果は正確に把握しにくいという宿命を持っているが、だからといって予算や職員や施設の規模などの《投入する資源の量》で評価してはならない、と林教授は言う。
◆
二つ目は受益者を正確に把握すること。
ある施設の利用者数を見た時に年間延べ1万人が利用しているとしても、100人が100回利用しているのか、1万人が年に一度利用しているのかには大きな差がある。
税金の公正な利用という点では後者が勝っていると言える。MOOのフィットネスセンターの議論も論点はそこにあったと言えるだろう。
◆
三つ目は具体的ん政策目標を設定すること。
「活力のあるまちづくり」などというような抽象的な目標ではなく、行政サービスの満足度指数など数値化された目標が望ましいのである。
◆
四つ目は行政サービスごとのコストを計算して、その情報を開示すること。
住民にコスト情報を与えられていなかったり、わかりにくい形での資料説明では行政サービスの改善にはつながらない。
◆
五つ目は自治体間比較が可能な事務・事業評価システムを構築すること。
住民が自分たちが住む自治体の評価するうえでも、同程度の自治体における行政指標を比較しやすいものとして作成することが望ましいというのである。
◆ ◆ ◆
そして、今年一番印象に残ったフレーズは四つ目の行政サービスごとのコスト情報を開示するということ、の下りの中にあったこの一節だ。
《「行政需要」という言葉が使われるが、需要とは「支払う意思を伴った欲求」であり、対価を負担する意思を持たないものは単なる欲求でしかない》
我々はしばしば住民ニーズとか社会の要求という言葉を安易に使いがちだが、そこに要求する人たちが支払う意思があるかどうかを注視しなくてはならない。
ちゃんと対価を払うから作ってほしい、というのであれば立派な行政ニーズだが、ただ欲しいとか、税金で賄ってほしいというのは行政ニーズとは呼ばない、というのは卓見である。
財政再建は市役所だけではなく市民の理解があってこそであるし、その成果はのちの世代へのプレゼントとなるべきものだ。
なお一層、心を強く持ってしっかりとした行政を進めたい。
この一年を振り返って印象に残ったフレーズを探してみたが、9月7日付の日経新聞「経済教室」にその答えがあった。
「経済教室」は学識経験者たちによる経済を取り巻く話題について書いてもらうのだが、幅広いテーマを分かりやすく教えてくれるので人気のコーナーだ。
この日は関西大学の林宜嗣(はやしよしつぐ)教授による『地方行政、守備範囲を見直せ』というタイトルの記事だった。
サブタイトルは、『「最少経費で最大効果」実現が真の財政再建』、『投入し原料に基づく政策効果評価は間違い』、『行政サービスごとのコスト計算や開示必要』とある。
行政の真っただ中にいる我々にとっても常にそうありたいと努力をしている目標でもあるが、時として力不足のこともあり、忸怩たる思いだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/15/e234fbf286d4c7f5afad91dc299d5d43.jpg)
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記事の中で林先生は、「財政を再建させるには行政の守備範囲の見直しが不可欠だ」と言う。
かつては担い手がいなかったために行政が行っていた事業も、様々な社会経済状況の変化によって守備範囲から外したり、関与の在り方を見直したりすべきものも存在する。
そしてそのための具体的な方策として五つの実践項目を挙げている。
◆ ◆ ◆
一つ目は成果(アウトカム)重視の評価をすること。
自治体の成果は正確に把握しにくいという宿命を持っているが、だからといって予算や職員や施設の規模などの《投入する資源の量》で評価してはならない、と林教授は言う。
◆
二つ目は受益者を正確に把握すること。
ある施設の利用者数を見た時に年間延べ1万人が利用しているとしても、100人が100回利用しているのか、1万人が年に一度利用しているのかには大きな差がある。
税金の公正な利用という点では後者が勝っていると言える。MOOのフィットネスセンターの議論も論点はそこにあったと言えるだろう。
◆
三つ目は具体的ん政策目標を設定すること。
「活力のあるまちづくり」などというような抽象的な目標ではなく、行政サービスの満足度指数など数値化された目標が望ましいのである。
◆
四つ目は行政サービスごとのコストを計算して、その情報を開示すること。
住民にコスト情報を与えられていなかったり、わかりにくい形での資料説明では行政サービスの改善にはつながらない。
◆
五つ目は自治体間比較が可能な事務・事業評価システムを構築すること。
住民が自分たちが住む自治体の評価するうえでも、同程度の自治体における行政指標を比較しやすいものとして作成することが望ましいというのである。
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そして、今年一番印象に残ったフレーズは四つ目の行政サービスごとのコスト情報を開示するということ、の下りの中にあったこの一節だ。
《「行政需要」という言葉が使われるが、需要とは「支払う意思を伴った欲求」であり、対価を負担する意思を持たないものは単なる欲求でしかない》
我々はしばしば住民ニーズとか社会の要求という言葉を安易に使いがちだが、そこに要求する人たちが支払う意思があるかどうかを注視しなくてはならない。
ちゃんと対価を払うから作ってほしい、というのであれば立派な行政ニーズだが、ただ欲しいとか、税金で賄ってほしいというのは行政ニーズとは呼ばない、というのは卓見である。
財政再建は市役所だけではなく市民の理解があってこそであるし、その成果はのちの世代へのプレゼントとなるべきものだ。
なお一層、心を強く持ってしっかりとした行政を進めたい。