
ちょっと遅くなりましたが、地元釧路新聞に掲載された12月7日付の『巷論』欄への投稿です。
飽きるとダメ、慣れるとダメ。いつも新鮮な気持ちで入たいものですね。
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よく「地元の人ほど地域の良さを知らない」と言われ、また逆に「よそ者ほど地域の良さに気付いている」と言われる。本当だろうか?
私自身、釧路へ来てからフライフィッシングを始めてその魅力に取りつかれた一人である。本州の友人から、「小松さんはフライフィッシングの聖地にいるんですから釣りに行かないのはもったいない」と言われたのだが、釣りをして初めて川から見る地元の風景良さに気づいた。
しかしそうかといって、釧路の人たちが全員釣りキチというわけでもない。要は関心のある人には素晴らしい土地柄も、関心のない人には価値が感じられないということだ。
外部からの継続的な刺激に対しては二通りの反応があるそうだ。一つは「飽きること」で、もう一つは「慣れること」だ。この違いは、良い刺激に対しては「飽きる」で、悪い刺激には「慣れる」と言う表現を使う。
良い風景や美味しい料理には飽きるが、ごちゃごちゃした風景やまずい料理には慣れるのだ。
地元に住んでいる限りはいくら良い風景や環境に恵まれていても見慣れるうちにその良さに飽きてしまい、それに対してよそから来た人には全てが見慣れない感動の塊というわけだ。
この飽きと慣れの呪縛から抜け出す方法は二つある。一つは刺激から一度離れてみることで、釧路から離れて旅をしてみるのが良いだろう。
もう一つは地元にいても新しい刺激を得るような挑戦をすることだ。町中のレストランを食べ歩き、山に登り、馬に乗り、動植物を眺め、釣りをしてボランティアに生き甲斐を見出そう。自分の殻に閉じこもっているなんてもったいない。地域の中には自分ができる役割は多くのことがあるはずだ。
理想が現実に押しつぶされそうになったら「精神の慣れ」を疑おう。慣れたり飽きたりしたことを自覚した時こそ人生の分かれ道だ。迷わずに新しい道を歩み出してみよう。