「1/11 じゅういちぶんのいち」という漫画をご存知でしょうか。
元々は集英社の『ジャンプSQ.19』で連載が始まったサッカー漫画で、原作は中村尚儁(なかむらたかとし)さん。現在コミックで8巻が出ています。
この手の漫画は、娘が最新の情報を知っていて買ったのを借りて読んでいるもの。
物語は、主人公でサッカーの天才少年である安藤ソラを中心に展開されますが、基本的には一話完結かまたは二話完結スタイルで、彼だけではなく彼を取り巻くサッカーチームの中の一人一人の物語の積み重ねで構成されています。
【以下、ややネタバレ注意】
主人公の安藤ソラは、子供の時に近所では敵なしのサッカー少年として過ごします。そんな仲間の一人に、"ツヨシ"という子供がいました。
ツヨシはとてもサッカーが下手なのですが、一番上手なソラになついていて、あるときこう話しかけます。
「…前からずっと思っていたんだけどさ…、ソラくんならきっと、プロのサッカー選手になれるよ」
その言葉を嬉しく思ったソラはそれをきっかけに街のサッカークラブに入り、ドリブルに磨きをかけてチームのエースになって行きます。
しかし中学校に入ったころから身長が伸びなくなり、試合でもドリブルで相手を抜けなくなり伸び悩むようになりました。
そして中学校最後の試合で、日本代表候補のエースを有する相手チームに大差で敗れ、ついに自分の思い上がりを自覚しサッカーを止めようと思うようになりました。
そんな彼の引退試合に一人の若い女子中学生が現れます。彼女の名は若宮四季と言い、サッカー女子全日本代表に選ばれた天才選手なのでした。
不意に現れた彼女との会話の中で、彼女自身が小さい時にサッカーをやって感じたことが「サッカーには仲間がいるということ」だということを知り、ドリブル一辺倒で自己中心的だった自分の目が覚め、「サッカーは一人でやるものじゃない」ということに気が付きます。
しかしそんなソラが家に帰った時にテレビのニュースで、アメリカンリーグに移籍が決まって渡米した若宮四季が飛行機事故で一週間前に亡くなっていたことを知ります。
そしてそれを見ていた母親から、「この子あの四季ちゃんじゃない?ほら苗字が男の子みたいだった…、そう津吉(つよし)さん、津吉四季ちゃんよ」と言われ、初めてあの下手くそだったツヨシが女の子で、その後天才サッカー少女に変貌していたことを知るのです。
そこから彼は涙ながらに、「自分には才能が足りないんじゃない、それを認めて補おうとする努力が足りないんだ」と考えます。
そのことをツヨシこと若宮四季はわざわざ教えに来てくれたのでした。
そこから彼はサッカーに真に目覚めて努力を積み重ねます。
進学した高校は公立の進学校で部活動に力が全く力が入っていませんでしたが、そこで休部寸前のサッカー部再興に向けてソラが動きだし、その情熱に打たれた仲間が一人、また一人と集まり始めました。
この「1/11 じゅういちぶんのいち」は、そんな過程の中での一人一人の成長の物語であり、スポーツを通じて努力することの尊さと感動が余すところなく描かれている素晴らしい作品になっています。
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作品の中ではどこか主人公の安藤ソラはいまマンチェスターUに移籍した香川真司を思わせますし、若宮四季なら今回U-17ワールドカップで優勝した女子選手たちにもモデルになりそうな子がいそうです。
さてこの漫画、この春映画が公開。4月26日から札幌ではディノス札幌で上映予定となっています。
大人気コミックの映画化ですが、コミックと共にご覧になってみてはいかがでしょうか。
【映画1/11】 http://1-11movie.com/