今朝の日経新聞に、"新社会人『上司との酒は仕事』"という記事が載っていました。
これは宝酒造が新社会人と上司に対して行ったインターネットアンケートの結果で、調査は新社会人の男女100人と、その先輩・上司に当たる30歳代と50歳代の男女100人の合計600人に訊いたものだそう。
アンケートの結果は、新社会人が上司からの飲み会の誘いに応じる理由(複数回答)で最も多かった答えが「酒を飲みに行くのも仕事」という答えで61.9%、次いで「上司や先輩の考え方を知りたい」が49.2%でした。
一方で、上司や先輩に、若手社員が飲み会の誘いに応じる理由を聞いたところ、「(若手社員が)酒を飲む雰囲気が好きだから」が53.8%で最多。「酒を飲みに行くのも仕事」は31.0%で、新社会人の答えとは約二倍の開きがあった、としています。の約6割が上司や先輩からの飲み会の誘いについて「酒を飲みに行くのも仕事」と考えているとのこと。
上司からの飲み会の誘いを若手社員が断っても「仕事に影響しない」と考える上司や先輩が61.3%だったのに対して、新社会人は26%と意識の差が歴然となった、とも書かれていました。
新入社員と上司・先輩との間には意識の差があるというのはそれはそれで面白いのですが、これを新社会人も(仕事だから仕方ないけど、そうおもわせては気分を害するだろう)と考えて、「いやあ、先輩と飲むのは楽しいっすねー」と演技しているんだとすると、なかなかのものです。
上司や先輩はそういう新社会人の演技を見抜けていないと言うことではないかと(笑)。一方、上司・先輩陣営も、(いやいや、こちらもわかっているんだけど、それを言っちゃあお終いよ)と思って騙されたふりをしているのかも知れません。
まあそこまで化かし合いをつきつめると、アンケートの結果ってなんなの?と思わずにはいられませんが。
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先日職場内での職員アンケートの結果について同じような若手とベテランの間の意識差が出て議論になった場面を思い出しました。
ひとつめはOJT(=On the Job Training:働きながらの教育訓練)についてなのですが、そのアンケートで「あなたはこれまでの人材育成の取り組みにおいて、何が不十分だと思いますか」という問いに対して複数回答で答えてもらったところ、「日常業務を通じた指導(OJT)」がダントツ一位の1760票あまりとなりました。
二位が「地域活動への参画」1270票ということを考えると、普段の仕事の中ではOJTが足りないと痛切に感じているというわけです。
ところがこれを、回答者の役職でクロス集計してみると、課長以上の人たちは、「十分与えられていると思う(18.3%)・ある程度は与えられていると思う(65.7%)」と8割以上がポジティブに考えているのに対して、主任・一般職では「十分(9.1%)。ある程度(56.0%)」とその率が下がり、逆に「全く与えられていないと思う」という回答は課長以上が0.1%に対してこのクラスでは5.9%にのぼります。
管理職は十分だと思っていても、若手職員は不十分と思っているという意識の差です。
しかし、目に見えてわかる研修参加の機会のあるなしならともかく、日常の業務の中ではちょっとした質問一つを上司は(これもOJTだ)と思っているのに部下はそれに気がつかない、という意識の違いもありそうです。
やはりある程度、目に見える形で研鑽を深める機会や場をセットすることが必要かも知れません。
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二つ目は、やはり職員に対するアンケートの中で、「『わが組織は社会的使命・役割を果たしている』という評価を受けていると思いますか」という問いに対する意識の差です。
この問いに対して、課長以上では84%の人たちが「とても評価されている・ある程度評価されている」と答えたのに対して、それが若くなるほど数字が下がり、主任・一般職員では51.7%に下がります。
逆に、「あまり評価されていない・全く評価されていない」という回答は、課長以上で15.5%に対して、主任・一般職員が47.6%となっていました。
このことをどう考えるか、ということが議論になったのですが、私はこれは意識差というよりは実体験の差ではないか、と思いました。
課長以上ならば、自治体の首長さんや部長さんなどのほか、大学の先生や各種団体との付き合いがあり、そうした人たちとの対話の中で、様々な声を聞く機会があることでしょう。そしてそうした実体験が「ある程度は評価されている」という実感に繋がっているのに対して、若手となるとなかなか外の人たちとコミュニケーションを取る機会も少ないことが考えられます。
だからといって、若手を会合の席に連れ出すのは難しいですから、私は上司・先輩が外で得た外部からの評価や批判を、もっと自分の言葉で物語として発信することが良いのではないか、と思います。
それもいちいち課内ミーティングで全員を集めてするほどではないので、ちょっとした飲み会の挨拶だったり乾杯での一言だったりで良いのです。
そうしたときに、誰々さんからこういう話を聞いて嬉しかった、というような体験や思いを伝えることが良いのです。
だから、飲み会のちょっとした挨拶を馬鹿にしてはいけません。その短い一言の中にもチームを鼓舞してモチベーションを上げるような効果をもたらすよう努力をするべきです。
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ある学校の先生が言っていました。「子供たちは教師が良いか悪いかを冷徹に見抜きます。それはなぜなのか、ということは言えないけれど、教師が本気かどうか、真剣かどうか、ということはいとも簡単に見抜くんです」
形ばかり黒板に文字を書いても、真の教師にはなれないようです。ここにも教師と子供たちとの間に意識差がありそうです。
意識の差を小さくすることに努力するよりも、それは結果だと割り切って、日頃の職務を一所懸命にやりましょう。