昨夜の夜は八雲町上の湯の「銀婚湯」という旅館へ泊まりました。
連休の中日ということで何とか予約が取れましたが、GW中の他の日は満室だそう。今日秘湯の宿として大人気で、今最も予約の取りにくい宿の一つです。
秘湯の定義自体は難しいですが、北海道には「日本秘湯を守る会北海道の会」というのがあって、八つのお宿が登録されていますが、ここ銀婚湯はその一つ。
【日本秘湯の会北海道の会とは(8軒の宿あり)】
http://www.hitou.or.jp/hymbrrsv/hymbr_list.html
この銀婚湯、その昔は掘立小屋ほどの山湯を、大正時代に川口福太郎氏がここで湯の大量湧出に湯を掘り当てたそうですが、ときあたかも大正天皇の銀婚の佳日にあたるというので、銀婚湯と命名したとのこと。
今では銀婚式を迎えた夫婦をはじめ、秘湯の湯を求めて多くの方が訪れる人気の湯宿となりました。
こちらの温泉には源泉井戸が5本あるそうで、送湯管がつまるのをふせぐためにわずかに水を混ぜている以外は基本的に源泉かけ流しの温泉です。
お宿の方に、お湯の温度調節はどうするのですか、と訊いてみたところ、「お湯の温度は水を入れたりしての調節は一か所だけで、そとの露天風呂などは全部湯量で調節しています」と言われました。
つまり、熱い源泉は少しだけ浴槽に流入されるようにして、浴槽の広さで冷める温度と入れるお湯の熱量をバランスさせているのだそうです。
このこだわりが秘湯らしいですね。
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さて、こちらには男女別の大浴場があるほかに、広大な敷地内に点在する野趣あふれる野天風呂が5カ所あります。
途中にも現地にも電気がなくて暗いために夜は利用できないお風呂です。
昨夜は宿に6時近くともう遅く到着したので内湯しか入ることができず、今日の朝早く起きて再挑戦です。
外のお風呂までは玄関を出てから5~10分ほど歩かないとつかないために、現地での入浴を短時間にしても往復だけで時間がかかってしまいます。
しかも全てが一度に一組だけに木製の鍵を渡されて他の人は入れないシステムで、お湯に入り終えたら一度フロントまで戻って係の方に空いているお風呂の鍵を借りて次のお風呂へ向かわなくてはなりません。
朝5時半に起きて最初に向かったのは一番奥にある"トチニの湯"というところでしたが、早朝の冷え込む中トボトボと歩いてついたのは、木をくりぬいた浴槽で眼前には川が広がるなんとも野趣に富む風情。
【川向うへはつり橋で】
【見よ、この野趣あふれる浴槽を】
お湯の暖かさも冷えた体に丁度よく、最高の気持ちにさせてくれました。
こんなお風呂が他にも、「どんぐりの湯」「もみじの湯」「かつらの湯」「杉の湯」とあり、いずれも木の名にちなんだ造形があしらわれています。
【どんぐりの湯】
【かつらの湯】
【杉の湯は奥の小屋の中】
なかでも「もみじの湯」にはすぐよこに紅葉の大木があり、秋になるとこの紅葉が浴槽に漂う計算がされています。季節ごとに様々な楽しみ方ができる深いおもてなしと言えるでしょう。
【もみじの湯:紅葉の葉が落ちたらきれいでしょうねえ】
結局、朝3時間をかけて5つの野天風呂全てを貪欲に制覇しましたが、どれも味わい深いお風呂でした。
よく大きな大浴場の中に、様々な名前の浴槽をたくさん作って変化にとんだお風呂という売りのホテルなどがありますが、こちらはいちいち服を脱いだりまた着たり、そしてまた歩かねばならないという手間のかかる湯めぐり。
最初は随分面倒くさいシステムだと思いましたが、そうではなくて、これこそが湯へ向かう途中の時間までワクワクさせる楽しみなのだと思い直して、その仕掛けの絶妙さに改めて感心したのでした。
お料理も美味しくてこれまた大満足。
北海道の秘湯と言うと、ただひたすら山の中にありそうな気がしますが、そうではなくて、そうしたお湯+ちゃんとしてお宿の組み合わせが良いのです。
銀婚式ならずとも、仲睦まじいご夫婦ならばぜひ泊まってみてほしいもの。本当にお勧めです。
【銀婚湯】 http://www.ginkonyu.com/