東京勤めで久しく会っていなかった知人が訪ねてきてくれました。
今は東京で某コンサルタントの一員として働く彼ですが、面白い話はありますか、という問いに、「オリンピック関連の話題で東京は大いに盛り上がっています」とのこと。
それはコンサルタントだから設計業務などが増えて余計にそう感じるのでしょうね、と言ったところ、「建設関連だけではありません。日本を大きく変える一つのきっかけがオリンピックだ、というムーブメントを創り上げようと、官民が連携してすごい動きになっています」とのことでした。
北海道はまだ余り盛り上がっていないという話をしたところ、「このムーブメントを地域の未来に取り込まないのはとってももったいないことです。もっと東京にアンテナを張って、動きを積極的に取り込まないと取り残されますよ」と真顔で非常に心配をされました。
東京では今何が起きているのでしょう?
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「先日三菱総研さんが主催する、『レガシー共創協議会』というものに出席してきたんです」とその知人は言いました。
「レガシー共創協議会ですか?レガシーってLegacy(=遺産)ってことですか?」
「そう、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されますね。そのことをきっかけにして、さまざまにある日本社会の課題をオリンピックまでに、そしてオリンピックの後も継続して解決していこう、というムーブメントを皆で一緒に作ろうという集いです」
随分壮大なプランですが、日本が今抱えている諸課題としては、例えば「安全・安心」「世界中に日本のファンを作る」「課題解決先進国」「全員参加社会」「健康水準の向上」「スポーツ・芸術文化の浸透」などがあげられると言います。
これらを解決するためには、防災や公共事業、情報化の推進、住まい、医療、金融・投資、自治体のまちづくり、スポーツ・芸術文化の振興など、これまでそれぞれの立場で推進していることをさらに進めることしかないのですが、それを敢えて『(新)東京オリンピックの遺産(=レガシー)』として加速させ、冠をかぶせることで大きなムーブメントのパッケージを作り上げようというのです。
知人は重ねてこういいました。
「北海道では最近白老にアイヌ民族共生の公園ができると聞きました。少数民族の問題や多民族共生と言うのは今日世界的な課題ですから、それなどもこのレガシーにカウントできるのではないかと思うんです。しかし東京で見ていると、それに地元や北海道が盛り上がって『よーし、やってやろう』という機運が全く感じられないのです」
「確かに、新幹線などに比べるとまだまだという感じですね」
「新幹線よりはずっと世界を相手にできるコンテンツだと思いますがねえ」
「なるほど」
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話はさらに冬季オリンピックにまで飛躍します。
「小松さん、前回の東京オリンピックの8年後に札幌で冬季オリンピックが開催されましたよね。あれが札幌を世界都市にした大きなイベントでした。私の夢にしかすぎませんが、今回の東京オリンピック2020の8年後に冬季オリンピックはどうでしょう。それだけの国家的世界イベントが来れば新幹線は自動的についてくるし、空港や新しいまちづくりにも波及して来るに違いありません」
「国が動かざるを得ないような仕掛けをどんどんしろ、ということですか」
「そうです。日本中が東京オリンピック2020の尻馬にどう乗っかるかと知恵を絞っているその時に、公共事業が大変だ、なんて了見の小さなことを言っているなんて小松さんらしくないですよ」
「ははは。しかし、おっしゃる言葉から、東京の熱波が伝わってきました。まだまだ北海道はそういう生き馬の目を抜くような世界の中での行動が遅いですね」
東京でもっとも熱い企業や団体の集まりのホットな話題に、知人は北海道の相対的な遅さが我慢ならないようでした。
そういう仕掛けができるような仕事って面白そうですね。
東京の人たちからもっと情報を取ってきて北海道の振興に生かしてほしいものです。
どうやらすごい時期を迎えることになりそうだ、ということだけはわかりました。
【レガシー共創協議会】
http://www.mri.co.jp/news/press/teigen/015342.html