この時期の人事異動で、北海道から本州へ転勤になる知人の送別会をしました。
こちらにいる間は、北海道の観光を産業としてとらえるような調査研究をしてくれていて、とても参考になりました。
北海道を去るにあたって、なにか言い残したことはありませんか、と訊いたところ、結構手厳しい反応が返ってきました。
曰く、
「子供の時に一度過ごして、その後三度にわたって通算十年は北海道に住んでいましたが、仕事を通じて感じたことは、北海道の人たちは発展とか変化をしたいと全く思っていないということです。このままで衰退するならそれでもいい、と言うような人が社会のリーダーの中に多いようにずっと思っていました」
「随分厳しいですね」
「本当にそう思っているんです。北海道がまだ発展途上なので、まだまだ国家として基本的なインフラに投資をしなくてはいけないというのは理解します。でもそれならば、投資されたあかつきにはちゃんと国家に利益を返してくださいよ、と言いたい。そういう自覚があるのかなあ、と思うとちょっと怪しいのではないかと(笑)」
「国にちゃんと利子をつけて返せるように頑張ります」
「お願いしますよ。それとやはり教育と人材育成は大きな課題になると思います」
「初等中等教育の都道府県別順位が低いのは自覚しています」
「自覚だけじゃダメなんです。他の都府県だったら議会でも大変な問題になって早急な対応が求められると思います。それが『仕方がないんだ』と、何となく許されているのが道内の自治体の姿ではありませんか」
「耳が痛いですね」
「私が危惧するのは、ここに仕方なく住んでいる人はそれでも良いかもしれないけれど、教育レベルが低いと分かったら、道外の人たちは家族を連れて来やしないということです。教育がネックになって北海道が避けられるようなことになれば、人材なんて集まらない島になってしまうという心配をしています。それが現実にならないでほしいと思います」
やはりよその人だと北海道のことが地元民よりもよく、それも歯がゆく見えているのかもしれません。
「最後に一言言わせてください」
「はい」
「北海道の人たちは、"フロンティアスピリット"と良く言いますね。あれは"開拓者魂"だと多くの人たちは思っていることでしょう」
「もちろんそう思っています」
「でも"フロンティア"には"辺境"という意味もあるんです。そしてスピリッツは魂でもありますが、根性とも言えます。するとこれは"辺境根性"とも訳せるのではないでしょうか。かつてある人にそう言ってみたら大受けでしたが、そんな狭い根性でなく、本当に未来を開拓する魂で臨んでほしいと思います」
厳しくも温かいまなざしのエールだと思って、がんばろうと思います。
お世話になりました。