道路建設関係の業界団体と意見交換をする機会がありました。
昨今の建設業界は、アベノミクス効果で仕事が激増してウハウハかと思いきや、そんな一過性の好況を喜んでいるどころではありません。
民主党政権下で激減された公共事業予算のために、泣く泣く機械を手放したり採用を手控えたり社員を減らしたりして急場をしのいでいたところに、反動的な仕事の大幅増加があっても、社員、機械、資材などの不足でこなしきれない事態が増えているのです。
地域に安定して地域を守り地域を発展させる仕事があればこそ、人々はそこに根ざして暮らしてゆくことができます。
少子高齢化による高齢者福祉ばかりが「富の再配分」としてクローズアップされますが、地域を維持し地域を守り、地域を発展させる仕事だって富の再配分によって行われなくてはならないと、私は思います。
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業界としては、現在の状況にもそうした苦労を抱えていますが、今後襲ってくる担い手の確保問題も頭痛の種。
建設業といえば、「きつい」「汚い」「危険」「苦しい」など、3Kとか4Kとかいわれる代表的な職種と思われていることでしょう。
そしてそういう状況では次世代の若者はこの世界に入ってはくれず、仕事環境の改善が急務です。収入もしっかりとした水準を保ちつつ、休暇や社会保障などの福利厚生もしっかりとさせるのはもちろんですが、それに加えて、「公共事業悪玉論」のような風説がまかり通る現状を打破したいというのが、皆さんの一致した意見です。
今日お会いしたある建設業者の社長さんは、「利益が出たというけれど、社員の給料も上げましたし、新しい機械への設備投資もしました。これも国がそうしろということだと思うから、精一杯の協力をしたつもりです」と言っていました。
「でもそうしないと新しい社員も来てくれないのじゃありませんか」
「おっしゃる通りです。それに、自社の社員だけじゃなくて下請けへの配分だってちゃんとしないと仕事を受けてくれません。真面目じゃなくちゃだめですよ」
まじめな会社なので大丈夫だと思いますが、これからも地域を守ってください。
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さて、業界からの要望の中には、「きっちりと休みを取らせたいので十分な工期の設定をお願いしたい」というようなことが言われましたし、また「現場でのコミュニケーションを活性化して欲しい」というようなこともありました。
今はある土曜日は現場をあげて休もうという運動をしています。現場が動いていたら、個人の休暇なんか取りづらいのです。そのためにも、ぎりぎりの工期ではそういうゆとりを失ってしまいます。
いろいろな面を考えながら少しずつ建設業を魅力と誇りある職業にしてゆかないといけません。
まだまだ時間はかかるかもしれませんが、着実にそこを目指しましょう。