こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

月読

2005-11-04 00:00:00 | 未分類
太田忠司さん『月読』を読みました。

タイトルだけ見た時は、月読命が関係あるのかと思っていましたが、舞台はパラレルワールド。
この世界では、人が亡くなる時に心にかけていたことが、形あるもの、
あるいは香りや温度といった五感に訴える形になって残るのです。
それを月導(つきしるべ)と呼び、月導を解読できる特殊能力者を、月読と呼びます。
月導のために、この世界の科学の進歩は遅れており、人類は月に到達しておらず、
パソコンも普及していません。

舞台となる結浜市では、連続婦女暴行事件が発生していて、ついに殺人事件まで発生します。
その事件の被害者は、刑事、河合寿充の従妹であったため、河合は、被害者の隣人の月読、
朔夜の力を借りて事件を追いかけます。

同時に、高校生絹来克己、その親友の也寸志、也寸志の恋する香坂炯子の3人の物語も描かれていて、
河合の事件と関わっていき、朔夜の物語にもなります。

苦く、やりきれない物語のはずなのに、読後感は前向きでさわやかな感じでした。

細かいところは、巻末の太田忠司論がありますので、そちらでどうぞ。

スペシャルインタビューも収録されており、今でも漫画ベストワンが三原順さん『はみだしっ子』
おっしゃってくださるのは、とてもうれしいです。
ただ、ツクヨミが小説にないからいいだろうと『月読』というタイトルに決めたらしいのですが、
タイトルにこそないものの、森岡浩之さん『月と炎の戦記』『月と闇の戦記』
ツクヨミノミコトが出てくるんですが、ご存知ないのでしょうね。
まぁ、タイトルの問題ではないし、どうでもいいことです。

それはともかく、発売が今年の1月30日で、買ってもいたのに、今頃読んでいるなんて、
太田さんに申し訳ない気分です。

コメント
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