こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

新・異世界分岐点

2006-11-08 00:00:00 | 未分類
眉村卓さんの短編集『新・異世界分岐点』を読みました。

『血ィ、お呉れ』は、テレビの無い時代。黄昏時に起きた駅から長屋までの路地での不思議な物語です。
不気味だけど、命には関わらない・・・近代化される前、物の怪や不気味なものの居場所が無くなって
濃縮された場所だったのかとも感じました。

『夜風の記憶』は、講演会のために学生時代に住んでいた大阪に戻った時の出来事です。
大学時代の友人と旧交をあたためることができ、学生時代のアルサロでのバイトを懐かしんでいるうちに、
そのアルサロであるところのフロリダにたどりつきます。
日常からちょっとずれた、不思議な出来事でした。

『超能力訓練記』は、文字通り潜在的に超能力を持つ人を訓練し、その才能を開花させるという物語です。
主人公の横山が空腹時に神経が極度に鋭敏になるので、もしやと思い東京への出張のついでに
超能力協会というところを訪ねます。訓練の結果、空腹時だけとはいえ超能力を身につけ
S市へ帰った横山の知ったこととは?
本社に転勤になるまで、こういう環境で過ごさねばならないなんて、とても気の毒です。

『エイやん』は、妻を亡くした浦上が幼い頃住んでいた悪い思い出しかないN区を
さまよってみようと訪ねたときの話です。
この体験のおかげで、浦上は自分のアイデンティティを取り戻します。
お前も頑張れと励まされているように感じました。

『芳香と変身』は、香りによって若返ってしまった男の話です。
第二の人生を送ると言えば聞こえはいいが、生きていくためにはあらゆる問題が立ちはだかるのです。
あんまり、幸せじゃなさそうですね。

『マントとマスク』は、正義の味方の物語です。
そう!正義の味方にも日常があり、肉体の衰えがあるのです。
おかしくも、切ない物語でした。

コメント
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