こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

擬態 カムフラージュ

2007-08-18 00:00:00 | 未分類
ジョー・ホールドマン氏『擬態 カムフラージュ』を読みました。

M22星団、生物が発生するにはあまりにも過酷な宇宙で、それでも発生した生物は、
どんな成分・性質・生態の生き物にも体を変えることができるようになった。
そんな生物のひとつが、百年前に地球へとやってきた。
その<変わり子>は、その後、様々な海洋生物へと姿を変えて過ごしてきたが、
1931年、初めて陸に上がり、近場にいた人間に成り代わって、人として生活を始めた。

そして2019年、海洋工学の専門家ラッセルは、海軍提督ハリバートンから奇妙な仕事を依頼された。
太平洋の深海で発見された百年以上前から海底にあったとみられる卵型の人工物体を、軍や政府と関わることなく調査したいというのだ。

しかしそれは、これまでに発見されたどんな物質よりも重い謎の金属でできており、
いかなるドリルやレーザーを使っても構造を調べるどころか、傷ひとつつけることができなかった。

この物体が<変わり子>の曖昧になっている記憶を呼び覚まし自らの出自を知る手がかりになると直感した
彼(彼女?)は、若い女性に変身しラッセルの調査チームに入り込んだ。
だが地球にはもう一体、異星生命体<カメレオン>がおり、この人工物体に興味を抱いていた。

初めは、人間としてはあまりにも異質で、何度もスプラッタな光景を繰り広げていた<変わり子>が、
人として多種多様な経験をし、様々なことを学び取ろうとしていくところは、かなり興味深く感動的です。
そして、初めは嫌悪感を抱いていましたが、政府機関に追われるようになる頃には、
<変わり子>を応援し、心配するようになっていました。
海外SFとしては短く読みやすいし、読者をぐいぐい引っ張っていってくれ、
女性にも共感してもらえるラストが待ち受けています。
かなりおすすめです。

コメント
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