こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

憧れの少年探偵団

2012-01-16 00:00:00 | 未分類
秋梨惟喬さん『憧れの少年探偵団』を読みました。

桃霞小学校五年生の歌川時雄は、江戸川乱歩の少年ものに憧れて、少年探偵団を結成した。

と言っても、リーダーシップをとっているのは、時雄の幼なじみの鳥井未菜美。
名探偵は転校生の月岡芳人であり、時雄はワトソン役でしかない。
さらに、武道に秀でた勝川章とパソコン使いの司馬遷太郎を加えて、五人で活動中だ。

物語は、事件ごとに語り手が変わり、それぞれの内面を知りつつ読んでいけるのが面白いです。
小学生といってあなどれません。
それぞれの立場で、有能な探偵たちなのは間違いありませんから。

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さざなみの国

2012-01-15 00:00:00 | 未分類
勝山海百合さん『さざなみの国』を読みました。

孤立した集落で育った少年さざなみは、都の李氏の息子でもあった。
むらが衰退していく最中、さざなみは、むらを出て父の元に行くように言われ、
行商人に道案内を頼む事にした。

無事、李氏の家で、小波を名乗るようになった少年さざなみ。
長じて、大きな忠誠心を試されることになるのですが、
それまでは、基本的には穏やかで満ち足りた日々を過ごします。

それだけに、妻・桑折のその後が痛々しく感じますし、甘橘姫の心中も複雑だろうと思います。

果たして、さざなみの人生は何だったのだろうと思いました。
確かに、最初の目的は果たしたのですけど。

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しらない町

2012-01-14 00:00:00 | 未分類
鏑木蓮さん『しらない町』を読みました。

門川誠一は、映画監督を夢見ながらアパートの管理人のバイトをしている二十九歳の男である。
ある日、彼が管理している棟で、帯屋史朗という老人が死亡していた。
遺品の引き取り手がいないため、門川が整理をしていると8ミリフィルムを見つける。

そこには、行商のためにリヤカーを引く女性の姿が映っていた。
その映像に惹かれた門川は、ドキュメントを撮ることに決め、
映像が撮られた場所とゆかりの人々を訪ねるのだが。

読んでいるうちに、私も帯屋氏の人生を追う好奇心にとりつかれていきました。
なぜか、彼の人生を知りたくなったのです。

戦争の陰のある彼の、孤独に見える人生。
しかし、様々な人の話を聞くうちに、そうじゃない事が分かってきました。
とても、いい話です。

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海馬亭通信

2012-01-13 00:00:00 | 未分類
村山早紀さん『海馬亭通信』を読みました。

やまんばの村・由布は、十五歳の十月に、家を出たきり帰ってこない人間の父を捜しに、
風早の街に下りてきた。

元ホテルの下宿『海馬亭』の風変わりで温かい住人との交流に、心温まります。

また、それらの出来事の十五年後の物語が、少年を主人公に途中まで収録されています。
そこにも由布らしき登場人物が現れます。

続きは三月発売らしいので、少年と『海馬亭』の住人たちにその後を、楽しみにしています。

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魚神

2012-01-12 00:00:00 | 未分類
千早茜さん『魚神』を読みました。

かつて、政府によって一大遊廓が作られながら、様々な公害や人害に晒され、
すっかりさびれて本土からも見捨てられた島。

そして、そんな土地で捨てられていた白亜とスケキヨ。
彼女らを拾った婆は、ある程度まで育て上げると、白亜は遊廓に、スケキヨは裏華町に売ってしまった。

対でいるのが当たり前だった二人が、再びめぐり合うまでの物語です。
主人公である少女・白亜が、自ら感情の振り幅を無くしているせいなのか、
あれだけの出来事が起きながら、読み手としても淡々と読んでしまいました。
淫靡で歪みながらも、純粋な物語です。

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