京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 「愛して生きる」

2012年10月30日 | 映画・観劇

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」本場フランス版です。

舞台の両サイドにある日本語字幕スーパーを横目に筋を追って台詞を理解し、官能的ともいえるダンスと迫力のある音楽にのった見事な声量による歌唱に感動しながら、楽曲の美しさ…、舞台のすべてを楽しんできました。
とは言っても、2010年に宝塚歌劇団上演の日本オリジナルバージョンも観ておらず、少年少女文学全集などといったものではるか昔に原作を読んだだけの記憶しかない「ロミオ&ジュリエット」の世界です。

モンタギュー家とキャビュレット家、両家の対立の構図は青と赤のライトで照らし出され、最終章は運命の恋に落ちたロミオとジュリエットの悲しい結末へと導かれていきます。
二つの貴い命が失われて初めて、両家は人として理解し合って生きていくことの大切さを知るのです。原作の解釈が違うのかお国柄なのか、それはわかりませんが、展開の仕方は大胆で、心情的な背景、人間関係を丁寧に描く部分は省略気味です。若い二人に好意的だったロレンス神父が、聖職者として人の話に耳を傾け諭し導く立場にありながら救えなかった自らの無力さを歌いあげます。彼も神父である前にひとりの人間、私たちは祈ろう、神に許しを請い、自らを捧げて生きようという彼の歌唱に涙が出そうになほど引き込まれました。

嫉妬・憎み合い・対立、過ちを犯しながら悩みを抱えて、それでも人は生きて行くわけです。が、そうした人間の業のようなものを前にしても、「愛ほど素晴らしいものはない」と歌いあげられる思いは、今も昔も大きく変わらないものだと思えるのでした。許されながら生きている…、のでしょうか。

 
新装なったJR大阪駅、大阪ステーションシティの時空広場に大阪在住の友人が案内してくれました。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする