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友人と二人、西の京・斑鳩の里を訪ねて一日を過ごしました。塔の美しい寺が多い斑鳩の地。今日はぜひ法起寺も訪ねてみようと二人の意見は一致です。のどかな田園風景に溶け込んで小さな三重塔が建つ姿をぜひこの目で、とは長年の思いでした。
修学旅行生であふれかえった法隆寺。やはり五重塔の存在感は大きく、しかも簡素で美しい。
「木は鉄を凌駕する」「木との対話」…。「法隆寺の鬼」と称せられた方が西岡常一さんです。昭和9年から始まった法隆寺の大修理に一宮大工として最初から携わり、金堂・五重塔の完成まで、祖父・父と三代に渡る棟梁として修理に専従。法輪寺の三重塔、薬師寺金堂・西塔の再建なども棟梁として手掛けられました。「宮大工西岡常一の遺言 鬼に訊け」という映画がありました。
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10月22日から始まっています。聖徳太子の等身と伝えられる救世観音像が公開。入口のガラス戸越しに目を凝らして、拝観しました。法隆寺に伝わる百済観音像は、百済観音堂に居場所を得、ガラスケースに入って照明があたっています。「観賞」の対象になってしまっているかのようで、何やら冷たさを感じてしまいました。これまでに何度か拝観してきていて、初めての思いだったような…。これも、人の目の不思議さとでもいうことになるのでしょうか。
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夢殿からは20分ほど。目の先に法輪寺(推古天皇622年に創建の古刹)の三重塔を望んで歩きます。
そして、この寺の前を右に進むうちに境内の木々の中に法起寺の塔が姿を現し始めました。
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古めかしいお堂、礎石だけになった鐘楼跡もある法起寺の三重塔です。ここの創建は推古606年とかで更に古く国内最古、間近にして小ぶりなものでした。法隆寺と共に世界文化遺産を構成しているのだそうです。白い山茶花が花びらを散らしていました。
日本文化発祥の地である斑鳩の里。優しく聳える塔のある風景。1400年にも及ぶ歴史を刻んできた土地であることに、少しばかり思いを巡らせての小旅行となりました。