京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 斑鳩の里に

2013年10月31日 | こんなところ訪ねて

友人と二人、西の京・斑鳩の里を訪ねて一日を過ごしました。塔の美しい寺が多い斑鳩の地。今日はぜひ法起寺も訪ねてみようと二人の意見は一致です。のどかな田園風景に溶け込んで小さな三重塔が建つ姿をぜひこの目で、とは長年の思いでした。

修学旅行生であふれかえった法隆寺。やはり五重塔の存在感は大きく、しかも簡素で美しい。
「木は鉄を凌駕する」「木との対話」…。「法隆寺の鬼」と称せられた方が西岡常一さんです。昭和9年から始まった法隆寺の大修理に一宮大工として最初から携わり、金堂・五重塔の完成まで、祖父・父と三代に渡る棟梁として修理に専従。法輪寺の三重塔、薬師寺金堂・西塔の再建なども棟梁として手掛けられました。「宮大工西岡常一の遺言 鬼に訊け」という映画がありました。

  「法隆寺 夢殿本尊秋季特別開扉」
10月22日から始まっています。聖徳太子の等身と伝えられる救世観音像が公開。入口のガラス戸越しに目を凝らして、拝観しました。法隆寺に伝わる百済観音像は、百済観音堂に居場所を得、ガラスケースに入って照明があたっています。「観賞」の対象になってしまっているかのようで、何やら冷たさを感じてしまいました。これまでに何度か拝観してきていて、初めての思いだったような…。これも、人の目の不思議さとでもいうことになるのでしょうか。


夢殿からは20分ほど。目の先に法輪寺(推古天皇622年に創建の古刹)の三重塔を望んで歩きます。

そして、この寺の前を右に進むうちに境内の木々の中に法起寺の塔が姿を現し始めました。

古めかしいお堂、礎石だけになった鐘楼跡もある法起寺の三重塔です。ここの創建は推古606年とかで更に古く国内最古、間近にして小ぶりなものでした。法隆寺と共に世界文化遺産を構成しているのだそうです。白い山茶花が花びらを散らしていました。
日本文化発祥の地である斑鳩の里。優しく聳える塔のある風景。1400年にも及ぶ歴史を刻んできた土地であることに、少しばかり思いを巡らせての小旅行となりました。
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  13センチ

2013年10月27日 | 日々の暮らしの中で

小さな靴。サイズは13センチです。Jessieが日本にやってきた1歳6カ月頃に、置いて帰ったまま。時々、思いつけば取りだして新しい風に当ててやります。今、彼女は8歳になりました。これまでいったい何足の靴を履き替えているのでしょうか。
一年一年、毎年会っていたわけではありませんから、時には印象に残っている写真を通してになりますが、その年その年のJessieの姿を思い浮かべられる気がします。

成長の早さに驚きつつ、あれよあれよと時は流れ去るのですが、笑顔だったりシーンなどはちゃんと脳裏に焼きついています。あの時の!と、瞬時の姿。少女らしく成長しながらも、残していってくれるJessie像があるのです。

 【…… 小さな靴は おいてある / 花を飾るより ずっと明るい】 高田敏子さんに「小さな靴」という詩があります。

少し幼稚になった、古くささも感じるJessieのものと一緒に、タイラーのためにも食器を揃え、待っています。幼い子のアニメの柄が身辺に増え、小さなものもカラフルで、もう実に非日常。自然と頬も緩んできます。好き嫌いなく食べてくれるのでしょうか。
何事も鼻歌まじりで…、そんな一日、よく動きました。
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 めでたしめでたし

2013年10月23日 | 日々の暮らしの中で

「えいでんハイク」という、参加費無料、申し込みも不要、参加資格は「元気のある人」と条件?の付いたハイキングがありました。友人がこの案内を見つけてきて、行こうと話を持ちかけてきたのが9月末。
当日は雨でも降るんじゃないか…。 ウォーキングでさえ無縁の人が珍しい提案するものだと驚きつつ、11月初め、3人での参加を計画しました。でも内心では気乗りがしなくって、ずるい話、まだ先だからとテキトーに応じてしまっていたのでした。

叡山電車の修学院駅に集合の「きらら坂から比叡山へ、紅葉を求めて」コースは、山道で急なアップダウン有りの約6kmの行程のようです。距離に不安はないにしてもちっとも気持ちが入りません。正直なところ、面倒だなあとさえ感じていて…。それでも約束した以上は、と思う気持ちもあって、足慣らしをしなくてはいけないかなと思い始めた矢先、めでたく中止の運びとなりました。

中止の理由を思えばめでたしとは不謹慎ですが、ホッ!! 歩きだす前でさらにホッ!という二重の喜びです。 
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 「橋」を渡って

2013年10月18日 | 日々の暮らしの中で

新大阪駅の「南口レンタカー前」、この場所を確認し、迷うことなく行きつける順路をインプットするための下見を目的にして、7月5日京都駅4番線ホームに立った。高野山夏季大学に参加を決めた1歩の踏み出しが、今につながっているのかもしれない。

知ってみれば、なんでもない行程だった。けれど行きつけてない上に、億劫な大阪行きという先入観を持つ身には、はるかな旅でもある。一人でも行けるやん! と思えて自信になった。気分良し。これを機に、これからもチャンスはつかもうと「大阪」への気持ちは確実に前を向いた、気がする。

こうして京都を離れるのもいいものだなと、1時間あまり電車に揺られながら感じていた。少女のような?冒険心と好奇心(なんて言うだけでも気恥しいし、大げさ過ぎるけれど)を持って、大阪への旅を思い付き、充電し始めている。
「大阪のノリも結構面白いよ。一期一会で楽しんで下さい」と、友の言葉もありがたかった。趣味や目的を同じくする新しい多くの仲間との出会い。自分に与えられることが許されたこの時間に、豊かさを感じることはとても楽しい。小さなちっぽけな劇場でも、主役は私、だからかな。

旅の終わりは乗車駅より一駅手前で降りることにしている。違うルートで帰ればよくて、鴨川にかかる三条大橋の上から北山を望みたもとで弥次さん喜多さんに「帰りました」と声をかける。穏やかな見慣れた風景にほっとひと息をつく。

日常から非日常へ、1時間ほどかけて橋を渡るうちに心の準備を整え切り替えていくのだ…。
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 暮らしの中の美

2013年10月14日 | 展覧会

この世を美しくしたいと願った人は、誰もが使う日常の器具を「民具」と呼び、暮らしの中に美へのまなざしを向けていきます。「普段遣い」「勝手道具」と呼ばれる、生活になくてはならない雑器に「用の美」を見出した柳宗悦。「柳宗悦展 ―暮らしへの眼差し― 」が12日から滋賀県立近代美術館で始まりました。

京都の朝市で売り手のお婆さん達から初めて聞いた「下手(げて)」「下手物」という俗語を、やがて「民芸」という二字に造り変える経緯が『京都の朝市』にあります。
貧しい「下手」と蔑まれる品物には、奢る風情もなければ、華やかな化粧もない。安くて、ざらにある平凡極まる作品だが、その中には高い美が宿っている。用途から自ずと生まれてくる美があるというのです。日々見慣れてしまうがゆえに見ようとせず、その美が見捨てられてきた長い月日。「習性に沈む時反省は失せる。まして感動は消えるであろう」(『雑器の美』)と言っています。

「心偈(こころうた)」、心の遍歴の覚書だそうですが、自筆による書で「今見ヨイツ見ルモ」「見テ知リソメ知リテナ見ソ」とありました。
美しいものが見えるようになるためには、〈今見る想いで見ること〉。〈自由な眼と心の働きの大切さ〉が説明されてありました。美しさの理解への基礎は直観を置いて他にないと言ってますから、知識で見ないということです。

宗悦25歳、庶民の伝統と暮らしに基づいたものだと感銘を受けたというわずか13センチほどの朝鮮陶磁器(染付秋草文面取壺)。素朴なほほ笑みの木喰仏。「木喰五行菩薩は甲州が産みし永遠の誇りなり」、で始まる保存への趣意書の生原稿。鹿皮の上で防染し藁や松葉をいぶして染めたという茶色の渋い風合いが美しいのは庭師の親方が着た袢纏だとありましたが、印象に残った展示品でした。

展示会に先立ち、私は柳宗悦の書き残したものを数作読んでしまいました。思索のあとを知るのもベンキョーになります。よかったのかまずかったのか…。


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 秋の日

2013年10月12日 | 日々の暮らしの中で

落ちてころげたまるい小さい木の実を、ポケットいっぱいころころに詰め込んで帰りました。けれど、見せたい子がまだやっては来ません。箱にしまっておきましょうか。

クルミの木が落葉樹だと知らなくて、ひと月余りの内にまあ見事に虫にやられたものだと驚いていたのです。惜しげもなく葉を落としてしまい、その葉に守られるように生っていた実もすっかり姿を消していました。私は見て楽しんでいただけ。そんな呑気者がいるから世はうまく回るのです。さっさと実りはいただかれ、お持ち帰りとなったようです。


こんな外来種の困りもののような草に秋日が射していました。ハッとさせられる、これがまた歩く楽しみです。
出会いは幸せの導火線、と占いにありました…。
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 「野菊が好き」

2013年10月10日 | 日々の暮らしの中で

桜の木のもとに、30センチにも満たないほどの草丈で咲いているのを見つけました。

まさに「名も知らぬ小草花咲(さく)野菊哉」(素堂)でしたが、野紺菊に入るのかなと調べてみました。
菊は秋を代表する花のひとつですが、豪華なイメージとは程遠い野菊。こうしてひっそりとした風情で咲く、控えめな可憐さに美しさが感じられます。

〈私はなんでも野菊の生まれ返りよ〉〈民さんは野菊のような人だ〉17歳の民子と15歳の政夫とが交わす声が聞こえるようです。
仲のよい二人。一事件を経るたびに二人の胸に湧いた恋の卵が大きくなっていくのです。陰暦の9月13日、今夜が豆の月だという朝、二人して山畑の綿を採りに行く場面での会話です…。

やはり「後の月」の日には『野菊の墓』を読むことにしましょうか~。
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花びら一枚残して…

2013年10月08日 | 日々の暮らしの中で

台風の影響か、朝からどんよりした雲が空を覆い、降りそうで降らないまま夕方に。気温も高目で蒸し暑かった。
ひんやりとした風が吹き抜けて降り出した霧雨が肌に心地よい。
空き地に波打つように揺れるいっぱいのコスモス。なかなか逞しい花でもありながら、奥においてあるブルドーザーのごっつさとは対照的に優しげに見える。やはりこの繊細な華やかさに魅かれるのかもしれない。ちょっぴりさびしげな姿にも、か。

誰か、恋占いでもして帰ったのか。一枚だけ花びらを残して「好き」で止めた彼女がいるのかな?
どうしたって「嫌い」で終わってしまう8枚の花びらなのに、なぜかいつも「好き」からそっと占いだすことになる。「好き」で終わるために「嫌い」から始めることもおそらくないだろう。「好き」であることを求めるから、始まりはいつも「好き」。
花ことばは「乙女の心」だそうな。「女の心」じゃ、初々しい、秘めた恋心の甘美さには距離があるのかしらねえ…。

〈八枚の花びらを持つコスモスのいつでも「きらい」で終わる占い〉万智さんが詠う。
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笑顔ほころび、好日~

2013年10月04日 | 日々の暮らしの中で


ピンクのヘルメットをかぶって自転車の後部に座ったJessie。胸に名札をつけて愛用のリュックを背負っていました。幼稚園への短期入園がかない、ルンルン気分の楽しい毎日を送った日々が思い出されます。
2008年5月の初登園の日。「ジャジャーン! 見てや~、ほらっ!!」、パッとふたを開けて見せてくれたものはからっぽのお弁当箱でした。「うわ~っ!きれい~!」 にこーっとした目がこちらを見ていたのでした。
        

         飼育員ではありません              こちらが飼育員でした                            
愛らしさあふれる幼子の振るまいは、今度はTylerが楽しませてくれそうです。保育所の丘になったグランドを走っていてつんのめってしまたのだとか。「カールおじさんみたいやろ」と母親は笑います。2歳記念の写真も、まっかなお鼻のタイラー君となってしまいました。
                                        
忘れかけてしまっていたような、じわじわとした喜びがこみ上げてきます。
 
                                  
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 期待を胸に…

2013年10月02日 | HALL家の話
「ランドセル持っていくわ」そう言って電話を切ったJessieでした。

今日10月2日は彼女の8回目の誕生日。Jessieの従兄弟・アザヤのお母さんが、Australia Zooで“一日飼育係”としての体験をプレゼントしてくれたのだそうです。学校はいま2週間のホリデー。
Jessieはカンガルーのウンチを拾うことから、動物の餌やりなどのお仕事だったとか。申し込み者はグループに分けられて、活動をしたそうです。

 
2010年2月、タイラー君はまだ生まれる前ですが、私もここでワニのショーを見たり木の上にコアラを見上げるなど楽しい時間を過ごした思い出があります。

一方、誕生日に合わせて、こちらからもJessieには良い知らせをプレゼントできたのです。地元の幼稚園で何度か短期入園の形でお世話になってきましたが、弟が生まれる4か月前の'11年5月14日以来のこと、今回は小学校での体験修学の希望がかなったのです。2学年修了には少し早く、11月上旬、親子3人で帰国してきます。
  

2歳になったTylerからは「Have a good day!」の言葉を聞かされてびっくり仰天したばかり。
「ランドセル持っていくわ~」と口にしたJessieも、このあと日に日に期待を膨らませていくのでしょう。あれこれ不安に思うより、楽しく過ごしてくれたらそれでいいのです。
日本に来る前には、漢字検定試験を受験するとか。まっ、いろいろやってみなはれ、といったところです。




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