お酒の匂いをプンプンさせて、万さんの立ち寄る先が “keiさんのとこ”。
夕御飯の支度に忙しい傍に寄って来て、上がり框に腰掛ける。
専用の一升瓶で、さらにコップ酒。
人恋しいのか毎夕keiさん、keiさんと言って、顔を見せてくれる。
あちこちにいたという女性の話や、わが半生のご披露が始まる。
家には帰りを待つ、老いた母が一人。
腕にはシールなどではない、カラーの装飾を施した植木職人さんだ。
相づちを打って、打って、打って。
へぇ~、へぇ~、へぇ~と感嘆詞で受けて。
私って聞き上手?演技派?
万さんは充分気持ちよくしゃべった様子。
「また来てくださいねー」と送り出して、何年が経ったかしら。
罪な相づちだったろうか、お酒がもとで亡くなった。
嫁が怒るから「keiさん、ボタンつけて」と、大きな犬に引っ張られて散歩するUさんがやってきた。
針と糸を持って来て並んで座る。Uさんの口からぽろぽろこぼれる胸の内。
すべてを拾い集め、糸に通し、こぼれないようしっかりと玉結び。これで大丈夫。
私がニコニコ黙って聞いていると、胸のつかえをおろして帰られる。
私はどこへしまおう。“すべてを胸に収めて”…、ちょっとつらい時もある。
小耳にはさんだオモシロイコト、しゃべりたくなってしまうことが…。
「ふ~ん」「ふ~ん」「そうですよね~」と聞いているばかりの未熟な聞き役に、荷物を預けて帰られる。
裏切ったらいけません…、「貝」になれとか?
しまいきれないから、そっと流してしまおう。
悩みの捨て所、それを拾い上げる私の悩みはだれに捨てよう。
夕御飯の支度に忙しい傍に寄って来て、上がり框に腰掛ける。
専用の一升瓶で、さらにコップ酒。
人恋しいのか毎夕keiさん、keiさんと言って、顔を見せてくれる。
あちこちにいたという女性の話や、わが半生のご披露が始まる。
家には帰りを待つ、老いた母が一人。
腕にはシールなどではない、カラーの装飾を施した植木職人さんだ。
相づちを打って、打って、打って。
へぇ~、へぇ~、へぇ~と感嘆詞で受けて。
私って聞き上手?演技派?
万さんは充分気持ちよくしゃべった様子。
「また来てくださいねー」と送り出して、何年が経ったかしら。
罪な相づちだったろうか、お酒がもとで亡くなった。
嫁が怒るから「keiさん、ボタンつけて」と、大きな犬に引っ張られて散歩するUさんがやってきた。
針と糸を持って来て並んで座る。Uさんの口からぽろぽろこぼれる胸の内。
すべてを拾い集め、糸に通し、こぼれないようしっかりと玉結び。これで大丈夫。
私がニコニコ黙って聞いていると、胸のつかえをおろして帰られる。
私はどこへしまおう。“すべてを胸に収めて”…、ちょっとつらい時もある。
小耳にはさんだオモシロイコト、しゃべりたくなってしまうことが…。
「ふ~ん」「ふ~ん」「そうですよね~」と聞いているばかりの未熟な聞き役に、荷物を預けて帰られる。
裏切ったらいけません…、「貝」になれとか?
しまいきれないから、そっと流してしまおう。
悩みの捨て所、それを拾い上げる私の悩みはだれに捨てよう。