「狂言ライブ」がどのようなものなのか、楽しみにしていた。
ライトを浴びて元彌さん登場。能舞台ではなく、中ホールでの上演だったために演者は目と鼻の先だった。むろんホールは小さくとも3間4方の舞台は変わらない。美しい男前だった。
室町期に始まり600年の歴史がある狂言だが、和泉流は今年573年目を迎え、その二十世宗家が和泉元彌さんということになる。
来年1月に初舞台を踏む3歳の男児と9歳の女児が登場してきた。次代を担う二人だが、セリフの稽古の様子を再現して見せてくれた。
600年前の日常の侍ことばがそのままに「口伝」で、口真似によって今日まで継承されてきているという純粋喜劇の凄さ。抑揚をつけての言葉の難しさはお経にも通じそうだ…。決められたとおり、型どおりに真似る。だから余計に個性が出ると。
狂言の歴史や舞台構造、「ことば・うごき・しぐさ」についての解説、演じ方の実演。そして上演される「鬼瓦」と「盆山(ぼんさん)」」の楽しみ方があらかじめ解説された。
ことばや仕草から目には見えないものを見て、目の前の舞台に自分の想像の世界を作って観てください、と言うお話だった。
ワークショップでの狂言体験は、会場全体で真似をすることにトライ。
抑揚をつけて「ビョー ビョー ビョー」、これは600年前の動物のうなり声とのことだが、さてこれは何の動物でしょう?
「さらば さらば」などいっそう難しいが、4回も大声出しての練習となった。
狂言鑑賞の層や輪を広げたい狙いがあるのだ。小中学生の参加者もいた。とても親しみやすくわかり易い解説だった。だがそのために、セリフに耳を傾けながら、お先走りでクスクス笑いを感じるという楽しさは奪われてしまったような気がする。
「あることないこと書かれてつらい時期もあったが、乗り越えてここまで来た。笑いと笑みを絶やすわけにはいかない」とは節子ママでした。 『笑う門には福来る』