7月30日、ツアー2日目。酒田のホテルから羽黒山五重塔参拝のために50分もかけて向かった。
雲を戴き、長く裾野をひいた鳥海山の秀麗な姿。もちろん初めて目にする山で、白くぽつぽつと残雪が光る。左裾が象潟だとか。「庄内平野は百万石の米どころ」、青田の広がりがは本当にみごとだ。
随神門をくぐり(ここから始まる表参道は、2446段の石段)、継子坂を下って、須賀の滝を右手に見て、神橋を渡ると左手に樹齢1000年の爺杉。ここを過ぎてすぐ、一の坂入口に五重塔が建つ。「ここから先には絶対に行かないで」と言い渡されて、この間300m、歩いてわずか10分。
久木綾子さんが描いた『羽黒山五重塔仄聞』の、お気に入りの描写があれこれ浮かんでくる。ここか! ようやく来たなあ~、とひそかに感動!!
継子坂は一歩ずつを大事に踏みしめて、はやる気持ちを抑えながら五重塔に近づくことを楽しんだ。この神聖な空気感、霊気は、熊野古道を歩いていて感じたものと重なってくる。
自分もたくさんの観光客の一人ではあるが、その波が引くのを待って、〈浄海坊たち山伏や宮大工たちが雪解けの冷たい水に足をひたし、塔を荘厳するという心意気で臨んで造られた溝〉を、塔の周囲に確かめて歩いた。夏草が茂っていた。参道の脇に合流すると、あとは祓川へ、ちょろちょろと小さな流れの音が耳に入る。
樹齢300年から500年、およそ600本の羽黒山杉並木の中に、静かなエネルギーに満ち、力強く佇む姿は心惹かれる。もう一度ここを訪れてみたい、と短すぎる見学時間に心残りもあった。ツアーだから仕方がない面はあるのだけど。
山頂までは1700m、徒歩60分の行程になるようだが、戻って、有料道路をバスで羽黒山山頂にある三神合祭殿へ。日本最大の茅葺建物だそうだ。鏡池の前から見る合祭殿のケバケバシサというか立派さというべきなのか…。圧倒された。
月山では一気に八合目までバスで上がってしまって、弥陀ヶ原湿原を散策?、山ふところ深く入ることもなく、眺望を楽しむだけで終わってしまった。“月山”にやってきたという感慨はどこへやら、だったのが大いに残念。
ようやく、ようやくつかんだこの機会でした。3月末には、ほんのちょとのためらいで機を逃し、けれど、それがあってつかんだ今回の出羽三山巡りです。タイミングも大事ながら、決断への勇気、思い切りでつかめた結果だったと思われます。念願をかなえた、そんな二日間でした。