京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

10月もおわり

2016年10月31日 | 日々の暮らしの中で

山ぎわがオレンジ色に染まりだし、紫だちたる雲の細くたなびいている。
少し雲が多いか…。10月も最後の日の朝、それなら写真にとっておこうか、とただそれだけの思いでカメラを持ち出した。

買い物目的で街に出た。
なにやかやと用事ができること。



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「出会うのです」、と。

2016年10月29日 | 催しごと

「四十回記念 秋の古本まつり」が百万遍の知恩寺境内で始まった。暖かくして出たつもりだったのに予想以上の冷え込みに寒くって、時折ぽつぽつ暗い空からは落ちてくるし、傘を持たずに出たので気が気でもなく、境内の半分、東側の店舗は急ぎ足になってしまった。
寒いわけだった、今日の近畿地方には木枯らし1号が吹いた、と。

京阪出町柳駅に近い寺の掲示板で「人は自らの運命を作る」といった言葉を目にした。どう考えればいいのかなと思いながら、そのうち忘れてしまって、今出川通りを東へと歩いて知恩寺に向かう。京都大学の北側に位置している。
特別な探し物はなくって、どんな本に出会えるかという楽しみだけだった。


『梁塵秘抄漂游』(尾崎左永子)と右は『遠い日の歌』(谷内六郎文庫②)。
「古典に対しては無心に、先入観なく近づく」を流儀とされる著者が、短歌人としての眼からみながら「漂游」する『梁塵秘抄』。一方は1960年代の前半に書かれた画文59編が収められている。
…と「あとがき」から拾ってみた。本を選ぶときに「あとがき」を参考に内容を知る、また、読み始める前に「あとがき」から先に読む、という人は多いのだそうな。私もそうすることはよくあるが、購入後に「あとがき」を読んでから本文に入ることはまずない。楽しみが減るのではないか。

   

こうした本があることも知らずにいたが、どちらも興味津々、素敵な一冊である。そして2冊ともスピンが挟まったままの、未読のような綺麗さがまた嬉しい。

「本を読むのに、なんの手間もいらない。読みたい本のページを開けば、すむ。」という書き出しは「当りみかん」と題した出久根達郎氏のエッセイ。氏は著書『本と暮らせば』のあとがきで言われている。
「読むだけが、本ではない。そこにあるだけで、私たちは本から何らかのオーラを受ける。いろんなイメージが湧くし、思いがけぬアイディアを得る。電子書籍には、これが無い」「紙と活字と形とにおいとの色彩を持つ本だけが、人間の五感に訴えてくる」、と。
わかるなあ、好きな本に囲まれて暮らすのは、愉悦の極み、かも。いつか読むから、と買い置きしたくもなる。
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「コーディネートの秋」

2016年10月26日 | こんな本も読んでみた

18世紀に整備されたという鷺ノ森神社の参道で立ち止まり一息ついていると、はらはらと肩に触れて落ちた1枚。綺麗だとは言えない桜もみじは、もうおしまい。1.5センチほどの小さなどんぐりも3つ拾って、ポケットに入れて持ち帰った。そして、こんな句を見つけた。

      拾ひたる椎の実のある読書かな  千葉 晧史

『空にみずうみ』(佐伯一麦著)に続いて『還れぬ家』を読んでいるのだが、後先になってしまったのは著者、著書を知らなかったから。これもあと少し。明日からは読書週間が始まる。もう1作と思って、3作目に『鉄塔家族』を準備した。


私小説といわれる。「自分の内面をほじくり出して暴いていくのはあまり得意ではない。自分を取り巻いているものを書くことによって、自分というものを描けないかと思います。」「人間というのは80歳ぐらいの老人になっても矛盾のかたまりなわけだよね。私小説というのは自分も含めた人間の持つ、割り切れない矛盾を、そのかたまりのままにだせるんですね。こんな人間もいるんだから…と」「10で割ったら9余ってしまうようなものをどれだけ込められるのか」などと佐伯一麦さんは語っておられた。

「些細とも思える日常の出来事を通し、じわじわと生命の匂いが漂ってくる。外界のあれこれに興味を持ち、みつめ、いとおしむことができるのがまさに生の証なのだ。」
書評の一部だが、佐伯作品と私をつなげてくれた発端だった。

紅葉に劣らぬ美しさを見せるい赤い木の実。
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根強く繊細、優美にも

2016年10月24日 | 日々の暮らしの中で

「賀茂の河原も桂川の流域も、セイタカアワダチ草の強烈な黄一色に埋もれていた秋があった。今もあのすさまじい、鮮烈な風景は変わっていないだろううか」
馬場あきこさんが随筆の冒頭で記した一節だったが、出典によるとどうやら1988年に記されたものらしい。このときより以前の秋であろうし、今ではそんな鮮烈な黄一色の河原を賀茂川畔に見ることはない。
随筆の中では、能「井筒」での、「井筒」のほとりに立て添えた一叢のすすきに話が及んでいく。

ところで、「井筒」と言えば、高校時代に古典の授業で習った『伊勢物語』第23段が思い起こされる。

   筒井づの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに
  女、返し、
   くらべこし振分髪も肩すぎぬ君ならずして誰かあぐべき
   
幼い頃に井戸で背比べをした男と女(在原業平と紀有恒の娘)は、歌を詠み交わし続けて、かねてからの望み通り夫婦になったものの、男は通ってこなくなってしまい、女は頼みにしないものの恋しく思いながら日を過ごしている。
久しぶりに岩波の古典文学大系を開き、懐かしい物語の一段の原文に触れた。学生時代に購入したものだから、少し古臭い本のにおいがする。


久しぶりのウォーキングに出た。というのも…。
「7キロとちょっと、歩ける?」と聞けば、
「私を誰だと思っているの。5キロを走ったんだよ」と孫娘Jessieは威勢がいい。
「靴はトレッキングシューズというのを履いて、雨が降っても歩くんだわよ」
「行きたい!」というやる気満々の返事。

紅葉を愛でながら孫と一緒にハイキングが楽しめるように、今日から少しだけ真剣に歩いてみることにしよう。…と言い聞かせたのでした。
賀茂川の流れに映えて銀いろのすすきは、「もうまるでいちめん、風にさらさらさらさら、ゆられてうごいて、波を立てているのでした。」(『銀河鉄道の夜』)

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頼りない受け皿

2016年10月22日 | 日々の暮らしの中で
「いい匂い」
「あちこちこの花だらけ」
今朝、こんな会話を交わしながら家を出ました。


  「木犀の花はちぢむさく、古めかしい、金紙銀紙の細かくきざんだのを枝に塗りつけたやうな、何の見所もない花で、言わばその高い香気をくゆらせるための、質素な香炉に過ぎないのだ」  
と、薄田泣菫の「木犀の香」にあります。
10月も下旬。ちょうど今、こぼれんばかりに咲く金木犀の橙黄色の花が「香気」をあたりに漂わせています。
「あっ、この匂いは金木犀だ」とこの季節に初めて気づいたのは少し前の事でしたが、今や、孫娘の言うように確かに「あちこちこの花だらけ」で、こんなにも多くあったのかと知ることになります。


京都の太秦映画村で「ジュウオウイーグルと仮面ライダーエグゼイド2大ヒーロー握手会」が行われています。
大好きなエグゼイドと握手をすることを目的に、5歳児Tylerは昨日の夕方遅くから我が家にやってきました。母親と姉のJessieと3人で。
         
         

11時からと13時30分からと、2回とも列に並んで握手をしてもらいニンマリ、満足気でした。お面をねだられ、その面をつけたまま握手してもらおうとするので、カメラを構える方が大慌て!
大きなおなかをした娘はアトラクションに付き添えず、お化け屋敷、忍者屋敷など5回ほど私が代わって二人に付き添い、目が回る思いでした。体調が十分ではなかったせいかもしれません。なぜか朝から頭がぼんやり…。

明日のフットボールではTylerがキャプテンに指名されていて、年中さんのミニゲームがあるため1泊しただけで大阪へと帰っていきました。
彼からは「ああ楽しかった」という言葉が聞け、めまいがしそうだったのをこらえてよかった、よかった。
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地域の宝

2016年10月19日 | 展覧会

滋賀県は文化財の宝庫で、国宝・重要文化財の指定件数は全国で五指に入るそうな。
打出浜にあった琵琶湖文化館は1961年(昭和36年)に開設され、地域に根差す宝を守り、公開を続けてきたが老朽化もあって2008年3月に休館した。それでも収蔵品は増え続け、約9200点に達するという。滋賀県立近代美術館を再整備し、新生された美術館に収蔵品は引き継がれるとのことで、休館を前に企画展が10月8日から開催される。

こんな新聞記事を読んで、拝見の機会を待った。
駐車場付近にあった写真は神照寺蔵の国宝で、直径28.2センチの散華供養の花弁を盛る法具「金銀鍍透彫華籠(きんぎんとすかしぼりけこ)」と、その前に衣紋、立ち姿の美しい正法寺の重要文化財「木造帝釈天立像」。

神照寺の国宝は、昨年4月、観音の里を巡るツアーに参加した折に本堂内で拝見した。
百済寺の如意輪観音像は、もう何十年と前になるが両親を伴って公開時に参拝したことを思い出す。前期・後期で展示品の一部入れ替えがあるというので再度楽しみに出かけてみたい。絵画展にはとんと足を運ぶことのないワタシ、どういうことだろう…。 

   近江とは観音どころ神無月     阿波野青畝
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「君の名は。」

2016年10月17日 | 映画・観劇
とうとう一人で阪急電車に乗って、大阪から京都へやってくるようになりました。
今月初めに11歳になった孫娘Jessieの話です。14日金曜日、学校が引けてからのこと。

宝塚線で梅田駅までは母親に送ってもらい、阪急電車に乗り換えです。乗ってしまえば下車駅を間違えずに降りるだけ、とはいえ緊張もあるでしょうに。音楽を聴いたり本を読んだりしながら駅名を気にしていたとか。2両目に座らせたからと連絡を受け、烏丸駅のホームで待つこと10分。午後6時少し前、混み合う狭いホームに笑顔で飛び出してきました。
8日、10日と孫二人の運動会に足を運び、代休日を一緒にゆっくり過ごして帰ってきたばかりでしたが、満面の笑みでホームに降り立つ姿はまた別人のよう…。

         

友達の事、クラスの事、担任の先生の話、テストや宿題、読書の話しに、…電車で隣り合わせた「55歳くらいのおじさん」の事まで、次から次と、聞いているのも楽ではないと感じるほどの喋りようです。

予報通り、素晴らしいお天気に恵まれた土曜日。「鞍馬のお山に登ろうか」「比叡山延暦寺に行きたいけど、いかない?」と訊ねても首を振るばかり。結局、街へ出てショッピングに映画。


評判の作品ではあってもアニメだというだけで興味もなかった「君の名は。」。
11歳の子にはストーリの展開に追いつけない部分、「難しかったところがあった」ようですが、私にもぼんやり見ていた箇所があり、見終わってあれこれ話をしながら埋め合わせてみると、ラストがより印象的で納得。「以前どこかで会った気がする」という異体験の展開も、そんなことありかぁ~?と言う思いがほとんどの私にしては珍しく作品の世界に入り込めたたようです。

週末の行ったり来たりも、体力的にはそれなりに疲れを感じています。でもそんなそぶりを見せないように…。



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下校時には

2016年10月06日 | 日々の暮らしの中で

昨日の午後のこと。小さな頭を寄せ合って、まあ、ランドセルも投げ出して、何をしているのか。
登校時にはありえない、帰り道でのたのしいひと時を過ごしている二人。
「ザリガニみつけたーーーっ」

……だったようです。

      

知恵子ちゃんと園生ちゃんと真理ちゃん、たいていは一緒に帰る4人組でした。知恵子ちゃん、園生ちゃんの順に抜けていき、それからは真理ちゃんが右へ、私はそのまままっすぐ、家に向かって一目散でした。ランドセルがゴトゴト音を立てるんですよね。なりふりかまわず走ったような。
建物の影になったところにしゃがみこんでは四葉のクローバーを探したことが思い出されます。確か、暑かったので休憩していた日もあったはずです。

知恵子ちゃんは地元で公務員となって、二人は高校卒業後あたりに家族で転居したようで行方わからず。
同い年、どうしてるかなと目覚めた朝方のぼんやりした頭で思ったのでした。

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11年

2016年10月02日 | HALL家の話
10月2日、今日はJessieの11歳の誕生日でした。

昨日、お祝いの食事に出るので一緒にどうかと言葉をかけてもらったのですが都合もつかず、また会った時に改めてと…。
お祝いのメッセージを送って、健やかな成長をと心にかけていた一日でした。
              


廊下で耳にした産声、なんだかまだ耳に残っているような気もします。案内されてほどなく産室へ。父親、サラ、そして私、順番にだっこして写真を~。


こちらは退院してからのJessie。両親も若いです。11歳、もう11年か、と思う一方でこの世に誕生してまだ11年しか生きていないのだとも。
運動会に向けて応援やダンスに頑張る毎日のようです。何よりも健康で元気が一番かな。

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