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京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

「おーきに~」生きる喜びのため

2008年07月31日 | 日々の暮らしの中で
シャーシャーシャーシャーシャーシャーシャーシャー…
限りなく、いっせいに降るように、蝉の歌声「蝉しぐれ」。
今をわが世と短い寿命を謳歌している。
ファーブルの表現を借りるなら「セミは生きる喜びのために歌う」と言うことになるようだ。                               

鐘楼脇にある泰山木の根本、その地中には、数知れない蝉が眠っている。
夏も半ばを過ぎると、太い幹には地表近くから上に向かっておびただしい抜け殻が残っている。
昼間、近所の子供たちが虫かごと虫取り網を手にやってくる。
この小さな子たちが実際に蝉を捕まえることは容易ではありませんが、夏の恒例のシーンです。

お昼寝をして、あるいは、お気に入りの懐かしの時代劇ドラマなどを見たあと、ぶらっと立ち寄ってこられる近隣のおばあさんたち。
「おーきに~」と。
縁の階段に腰をおろし、ひとしきりおしゃべりしてから畑へ向かいます。
ナスにキュウリ、ピーマン・トマト…、収穫物でかごをいっぱいにしてまた立ち寄り、「あるか?」と。
喜んでいただく“おすそ分け”(いただきものが山のようになっているのですけれど)。
いっぷく後、夕飯の待つ我が家へと帰って行かれます。
「これで今日一日を生かさしてもろた」
「おーきに~」と。

暑さをぼやきながらも、こんな日常の繰り返しで夏が行きます。
シャーシャーシャーの声も控えめになり、軽い、カナカナカナの声は涼しげです。

  みん、みん、みん、みん、おうしいつくつく。
  かな、かな、かな、かな、おうしいつくつく。
          (「蝉の子守唄」より)
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ゴロゴロさんで思い出す

2008年07月28日 | 日々の暮らしの中で
「ゴロゴロさんが鳴ってるから、ちゃんとおへそをしまっておかないとられちゃうよ~」
「お空の上でけんかしてるのかな」

言われたり、子どもたちに言った記憶があります。急に雨が降り出すとき、涼しい風が吹き、ひやーっとすることがありますが、お腹を冷やさない用心でしょうか。

昼前から空が暗くなり出しました。雷鳴が大きくなり、やがてどしゃぶりの雨に。
真夏日続きで、程よい夕立かとの思いもどこへやら。
午後7時近く、雷も雨も止みました。

ピンクの小さめの自転車でしたから、小学校の3年生ぐらいだったでしょうか。
学校から帰った後、どこかへ遊びに出かけた娘。ゴロゴロとなり出したのでいずれ帰ってくるだろうと、玄関先で様子を見ていました。

ものすごい勢いで自転車で門の下まで乗りつけ、放り出すかと思いましたがスタンドも下ろして固定していました。
無言ですが、形相がちがいます。駆け込んできました。怖かったのです。
私に気がつくと、ただただものすごい力でしがみついてきたのでした。
「おかえり」といった声が届いたかどうか。

怖くて怖くて! 必死に自転車をこいでいたに違いありません。その小さな胸の内を思い遣ると、懐かしさを通り越しジーンとした熱いものを感じる「あの日」です。

ひやーっとした風と共に、急激な気温の変化に不思議とコンコン咳込んだりする弱さのある子でした。しかも人一倍怖がり。
異国で暮らしながら、スケールの大きな雨の降りように驚き、雷様のダイナミックな大喧嘩に耳をふさぐのは、あの頃のままのようです。

静かで涼しい夜になりました。

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こんな日はお昼寝を

2008年07月25日 | 日々の暮らしの中で
河原町通りにある書店にでかけた帰り道、草木も眠る、“午後2時”の静けさ。
いつもの道筋、賑やかな子供たちの声もない。
お昼寝だろうか。

風の通り道を求め、ごろりと横になる。
子どもを寝せようと一緒に横になって、ひと眠りしたのは親だけだったという、笑えるような懐かしさ。
体にまとわりついてくる幼い子が、疲れて眠りに落ちるまで、じっと我慢のお母さん。
「ねんね、ねんね」なんて言う声が聞こえてきそうです。

じゃれあうような時間を共に過ごすのも、生涯のうちのほんの“ひとこま”です。
言い知れぬ懐かしさとともに、感慨深く思い出すのは年月がたったからでしょう。

地下鉄のホームで、ベビーカーに座ったまま、激しく泣き続ける子。車内でもそれは続いていて。
両手に荷物を提げ、抱っこひもで寝入った赤ちゃんを連れたお母さん。
子は真っ赤な顔して、首が後ろにのけぞっていて。
幼い子にこの暑さはさぞかしこたえることだろう。
早く涼しいところで、体を自由にしてあげてと思わずにはいられない光景でした。

『京、25日連続真夏日』
見出しの文字に汗のしずくがかかっています。
市内は正午前に、35.4度。

      金魚の昼寝
  赤いべべ着た、
  可愛い金魚。
  御眼々をさませば
  御馳走するぞ。

  赤い金魚は
  あぶくを一つ。
  昼寝うとうと
  夢からさめた。
 
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石も木も光る

2008年07月24日 | こんなところ訪ねて
大暑に入って、気まぐれも高じ、ものずきにも午後の京都御苑に立ち寄る。
木漏れ日さえ避けようとベンチを選び、座った。

日を受けて透きとおる、青いもみじの葉が美しい。
蝉しぐれ、夏の風物のひとつとして、シャーシャーと聞こえくる響きが楽しくもある。
木陰の涼しさは、炎暑の下でご馳走だ。

汗がひき、風に涼しさを感じられるまでになって眠気さえ感じてくる憩い人の前を、埃をあげて車が通って行く。
御苑管理の車だ。行ったり来たり、そのたびに砂利みちの埃が舞い上がる。
カラスが鳴き、子雀が数知らずどこからともなく集まってくる。
   雀の子そこのけそこのけ……、車が通るよ、危ないよ~。

細く浅い、小さな流れに、パシャパシャと水しぶきをあげて裸の子供たちが走り回っている。こんなところで…。
園児ぐらいの子供たちと母親の、ちょっとした集団。
梅林の下にビニールシートを敷き並べ、涼を求めて。
蛤御門を背にして東を見れば、来月には点火される東山の「大文字」が眺められる。


砂利の照り返しもまぶしい。
    石も木も眼に光る暑さかな   去来

「大暑」の節気。、「極暑」と言うも、すでに酷暑、暑さも極み?。
本当の暑さは、最高気温の更新はまだこれからだけれど、もう充分。
気を抜けば、暑さにやられる。

    念力のゆるめば死ぬる大暑かな   村上鬼城



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元気が一番

2008年07月23日 | HALL家の話
  「アロ~ハ~」「ハ~~ィ、アロハロハ~」
  「ジェシー、おかあさん。はよう、でえへんの?」
  「なんやの、さっきは喜んでたのに」
  「あかんわ、受話器向けると向こうむくわ」
  「で-へんの?」
  「どこか行くの?ジェシー、どこいくの!?」
  「ショッピング」
  「どうしたの? 鞄に袋とかいっぱい詰めてるわ」

ここひと月ほど電話もなかったが、久しぶりに午後4時前だった。
特に用があるわけではない。20分ほど話して、「じゃあまたね。風邪引かないように、気をつけて」

キンディ(保育園)でのこと。
先生に日本語で話しかけてしまったが、わからないのでキョトンとしているのを見て、すぐ英語で言い直すということがあったという。
ちゃんと両言語をわかって使っているんだ!ってことで驚かれたらしい。
2歳9か月が過ぎた幼い子ですが、習得の過程からすれば自然のことなのでしょう。
先生でなくとも、驚きでしたが。
「この子がここにいるのは私たちの楽しみだわ」と、嬉しい言葉をいただいたという。

バレー、ジャズダンスのレッスンに行き出したそうな。楽しく体を動かして、ってところですか。
案外活動的かと感じています、ダディ似でしょう。トランポリンもバランスよく飛び跳ねて。

 体を動かすことは脳の発達にもよいのです。
 元気なことが何よりなのです。
 健康な体に、健全なこころも加味されて、“美しい”女の子に育って行くのです。

  

電話の向こうで、糸巻き巻き糸巻き巻き ひいてひいて トントントン と歌っていた。
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日常の中の非日常

2008年07月21日 | 日々の暮らしの中で
満面の笑みで、若い娘のような声をあげ、手のひらと手のひらを合わせて「元気だった~?」。
こうして、いつも再会を喜びあうことから始まります。

明日、KOZUねえさんと待ち合わせ、大阪へ。
四条、阪急乗り場の改札口で午後1時。

今回、6月7日から『「ゲキ×シネ」2008ツアー』として始まった5作品の最後の作品、「朧の森に棲む鬼」の上映があります。
“新感線×染五郎”の舞台をシネマで。
この作品に関しては、昨年10月、京都の映画館で上映していたのですが、ちょうど娘たちが来ており見逃してしまいました。
待ちに待ったチャンスです。

こう暑いと、ちょっと億劫にもなるところですが、なんのなんの、1ヶ月も前からのKOZUねえさんとの約束の日。
最近は少しお会いできる回数が減っていますが、そういう友からでしか得られないような、自分発見の機会が潜んでいます。

いっぱいおしゃべりしましょう。



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雲のらくがき

2008年07月20日 | 日々の暮らしの中で

じりじりとした陽射しが注がれる。
比叡山の上にも、むくむくとした雄大ないくつもの雲。

木陰になったベンチに腰を下ろし、南の空をみあげると、
「マミィちゃ~ん」って呼んで駆け寄る、“姫ちゃん”がそこに。

  
  本当だ、まさに夏の空は大きな落書き帳
    夏空へ雲のらくがき奔放に   (富安風生)

刻々とその形を変えながら流れゆく、雲をながめていた記憶がある。
雲にも命があるような、夏のエネルギーそのもの。

本日、37.4度を記録した。汗がにじむ。汗が流れる。
蝉の声が心地よく一息つかせてくれる頃、暑かった一日は暮れてゆきます。


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やい蛙、お前だってはだか

2008年07月19日 | 日々の暮らしの中で
       はだか           若山牧水 「金の船」大正9年
    裏の田圃(たんぼ)で
    水いたずらをしていたら
    蛙が一疋
    草のかげから ぴょんと出て
    はだかだ はだかだと鳴いた
    やい 蛙
    お前だってはだかだ

童謡として収められていますが、いったいどのようなメロディが付いているのでしょう。

アルファベットのY字型に、左から“賀茂川”、右側からの高野川が合流し鴨川となって河原町通りの東側を流れていきます。
合流する出町柳付近は、公園化された三角地帯。昼間は水遊び、夜は花火をと、これからの季節賑やかな場所です。
飛び石が設けられていて両岸を自由に往来できます。
川で興じる歓声が、橋の上のバスの中にまで届いてきそうな光景でした。

たんぼで、草の葉っぱでも浮かべて流していたのでしょうか。
それとも、何か動くものを見つけたのかしら。
暑さを凌ぐのに、裸は一番かも知れません。
かわいい、子供の丸裸ではないかもしれませんが。

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SHIROH

2008年07月17日 | 映画・観劇
「SHIROH」
島原の乱を題材にした劇団☆RX新感線のミュージカル。そのシネマ化の上映を観に大阪まで。

キリシタンや重税に苦しむ農民たち女子供含め、37000人が集結。逃亡者わずか20余人、たった一人の背信者(絵師 山田右衛門作 えもさく)を除けばみな殉教者として全滅したというのが“史実”であるらしい。
奇跡を起こす能力は失われているのに、聖人・神の子と流布される天草四郎(上川隆也)の苦悩が表現されていたが、山田寿庵(背信する絵師の娘 高橋由美子)が彼に向かって♪「あなたの弱さが好き」と歌う言葉が印象的だった。
随所にコミカルな一面が入り、笑いを誘う。
一つの舞台を作り上げていくことの喜びがあふれているようで、親しみを感じるものだった。

ただ、宗教観、キリシタンの人たちの「信仰」までは自分の考えが及ばなかった。殉教という観念もいまひとつ。

1960-61年にかけて「朝日ジャーナル」に連載されたという『海鳴りの底から』(堀田善衛著)は、同題材での歴史小説です。
手元にある変色しかけた新潮文庫本は、はるか昔に恩師の勧めで手に取ったもの。
その後、遠藤周作著『沈黙』・『深い河』・『「深い河」をさぐる』、『生き上手 死に上手』などへと続く流れとなった第一作目でした。


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鍵善のくずきり

2008年07月15日 | 日々の暮らしの中で
この暑い暑い昼日中、友人と祇園祭の雰囲気だけでも楽しもうということになりました。

御池通りから入って室町通りを南下、四条通りを東に、八坂神社でお参りして帰ろうという長い行程。
暑いときは暑さを楽しんでと、風流なことばかり言ってはおれませんでしたが、駒形提灯に入ったそれぞれの紋を見ながら歩きました。

繊維関係の会社が多い室町通りは山が4基、そして菊水鉾と並び、露店も多い。
各山鉾に深い知識があるでもなく、説明書を見ながらです。中国や日本の伝説、謡曲にちなんだ山。懸装品には、ベルギー製のコブラン織り、中国伝来品(明の時代の逸品があるという)があるかと思えば、前田青邨、丸山応挙・長谷川等伯などの名も見受けられる。

「よろしーおすなあ」と言う老婦人の声の先には、ご夫婦で浴衣を召された老カップルの姿がありました。 身に沁むばかり藍浴衣、です。
歩みは遅々としたもの。提灯にあかりがともるころには更なる人出でしょう。けれど、この暑さにもかかわらず沢山の人です。
まさか地下を歩こうともいえず、ビル入り口のひんやりした空気で一息つき、ぶらぶらと東へ東へ。
厄除けちまきと“メールうちわ”を購入。

私的にはもう充分でした。八坂さんでお参りを済ませ、「鍵善」に引っ張り込むことにしました。
くず切りがとってもおいしいのです。黒蜜をつけて。おいしかったこと!!
   葛切を食べて賢くなりしかな  (今井 杏太郎)   さて!?

宵宵宵宮の昨夜。夕立ちがありました。
宵宵宮の今宵。夕刻やはり雷鳴とともにかなりの雨。昨日よりは涼しさを感じます。
むろん夕立までには帰宅しました。

うちわにはメッセージを添えて、JAYのもとへ送りましょう。







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「北大路駅」

2008年07月12日 | 日々の暮らしの中で
歌枕に、地下鉄烏丸線の「北大路駅」がある。
1990年、同志社大2年だった梅内美華子さんの作品を目にした。

    階段を二段跳びして上がりゆく待ち合わせのなき北大路駅

改札を出れば、真っ直ぐに地上へと続く、広くて長い階段になっている。
私はもっぱら、横にあるエレベーター利用派だが。
あの長い階段を、二段跳びで上がっていくとは!若さであろう。

私と「北大路駅」のつながりは伯母だ。
京都駅から「北大路駅」まで地下鉄で来て、そこからバスに乗るよう教えられた。本数も待ち人も少ない乗り場のベンチで心細く目当てのバスを待っていた。ここがまだ地下鉄の終点だった頃。
京都駅からタクシーに乗れば、必ず「あそこの赤いとんがり帽子の手前を右に入って下さい」と頼んだ。

いったい何度こうやって伯母の家に寄せてもらったことだろう。
幼いころは夏休みを過ごし、学生時代は京都旅行の宿として。結婚後は実家代わりの息抜きに。
昨年12月高齢で亡くなった。おじはとうにいない。
主はなく、門は閉じられたまま。家は、庭はどうなっているだろうと思うのだが、思ってみても仕方がない。
ところが今日、突然伯母が呼んだのか全くの予定外だったが、疎水べりを思わず左折!
家の前に車をつけた。あれから7か月ほどが経っている。

「北大路駅」が歌枕であることの印象が強く、なぜか思い出に向かってしまったようだ。

「死んだら生まれ故郷に帰りたい」と口にしていたけれど悲願で終わってしまいました。
そちらは賑やかで、94年の人生を語るには話題も尽きることないでしょう。
こちらの岸にいる私はもう一人、彼岸に送った人の新盆を迎えようとしています。

長年眺めた玄関脇の百日紅の花を、時季には訪ねてみよう。

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山鉾立

2008年07月10日 | 日々の暮らしの中で
華麗な懸想品で飾られていきます。
山鉾建てが始まりました。
路上で職人さんたちが組み続けている、函谷(かんこ)鉾に近づいてみました。
釘を使わずに縄で組む、この技法は「縄がらみ」というそうです。



老舗の長久堂さんでは、季節に見合う「工芸菓子」がいつも飾られています。
鑑賞用ですから、お干菓子の材料で作られています。織物などでも工夫して細工しているとのことでした。

偶然今日はもうひとつ、パン製の長刀鉾に出会いました。
「色がつけてあるから食べられません」と、誰かが...。そりゃあそうですよねえ。大丸店の入口に飾られていた、ドンクさんのものです。

街中の路上で、目の前で日ごとの“変貌”が楽しめますから、葵祭・時代祭と違い活気をもろに感じます。
さまざまな形で楽しみ、協賛し、お祭りが盛り上がります。梅雨空を吹き払い、夏本番..となっていくのでしょう。
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花なら蕾

2008年07月09日 | こんなところ訪ねて
「こんな昼下がりに暑いでしょうに~?」という私の声をしり目に、バスを途中下車。大徳寺に立ち寄ることにしました。近くてもなかなか訪れる機会がありません。

本坊はじめ、普段は数多い塔頭のほとんどが非公開です。広い境内、石畳の上を歩きながら耳を澄ませば、あれは蝉の声でした。
時折、雲が日射しを遮ってくれますので、いっそう吹き抜ける風は心地よく、清涼剤となってくれます。

                      

細川忠興の妻、細川がラシャ夫人の墓がある高桐院への参道です。苔むし、竹藪が囲い、松に、モミジの青葉が美しく静かな別天地のようです。

細川家の菩提寺、額縁入りの一枚の絵を見るごとき感覚の門前です。

                
高校の修学旅行できた大仙院。来年創建500年を迎えるに当たり本堂の屋根が修理中。枯山水のお庭に足組みができている状態でした。
枯山水の趣など味わうこともできず、パンフレットの英文をそのまま利用して旅行後の英語の宿題を仕上げた思い出があります。あのセンセイ、ちゃんと見たのかしら…。

ここの和尚さんの言葉が壁に
【五十六十は花なら蕾 / 七十八十は働き盛り/ 九十でお迎えが来たら/ 百まで待てと追い返せ】

和尚さん、にこやかなお顔で座っておられました。
ここは禅寺。
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九十年も前に提起

2008年07月05日 | 日々の暮らしの中で
6月4日、映画「丘を越えて」を見たが、菊池寛の作品を読んだことがなかったので、ネットで拝見し、彼の「日常道徳」観に関心を持ったものだった。ひと月ほど前のことだが、今朝、またその菊池寛の名が目に入った。。

「朝起きると、あいかわらず親殺し子殺し、そして残酷な事件が目に飛び込んでくる。」の書き出しにドキッとしながら…。
菊池寛の二つの小説を取り上げ、まもなく始まろうとしている裁判員制度の前に立ちはだかる課題を提起している。
  ≪天眼≫「菊池寛の洞察力」 (宗教学者 山折哲雄)京都新聞7/5

『恩讐の彼方に』
徳川吉宗の頃の話。旗本の主人を殺し逃亡する市九郎だがやがて仏門に帰依。放浪の果てに、直面した大岸壁をくり抜いて道を通そうと、懺悔の気持ちからか悲願をたてる。二十余年の歳月が流れ、殺された旗本の息子が現れ対決となったが、やがて最後の壁が打ち砕かれて光が射しこむ。そのとき息子の心から一切の怨みが解き放たれていく。

『ある抗議書』
大正三年の、実際に起きた殺人事件を題材にしている。
年配の夫婦を殺した犯人に死刑の判決が下る。獄中でキリスト教に入信、感謝のうちに処刑された。その最後を伝え聞いた被害者遺族が、抗議の声を上げる。
殺された人間が地獄におちる苦しみの中で死んでいったのに、なぜ殺した者は天国に昇る心境を手にしてこの世を去ったのか。
遺族の気持ちを大審院長にぶつける抗議書の形式で書かれている。

両作品とも大正八年に、しかも3か月の間隔で発表されているという。
「人殺しの凶悪犯罪をテーマに、全く逆の立場から光を当てようとしている」
「懐の深い」、「複眼的な思考」「冷静な洞察力」と表現されている。
「菊池寛が九十年も前に提起していたことが、にわかに生々しい形でよみ返ってくるのである。」

被告人が有罪かどうか、有罪ならどのような刑。
しょく罪の意識、人間性の回復、被害者側の人権、といろいろ耳にするが、恐ろしいほどに怖さを感じる制度が始まる気がする。
素人の感覚で、人を裁く?

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美しい願いごと

2008年07月03日 | 日々の暮らしの中で
ある有名な歌劇の学校の受験が不合格で終わったものの、一年の浪人後大学に入学したお嬢さん。
知人はその娘さんと一緒に観劇に映画にと楽しんで、時には私にもおススメだからと感動を分けてくれるのでした。

こんな知らせを受けました。
大阪の小劇団のオーディションに合格しました。研究生として、学業と二足のわらじを履く生活に突入。劇団のことをもっとやりたいので、劇団の公演、稽古の日程と大学生活との波が合わないし、通信制の大学に編入したいと言いだし、話が急展開してしまいました。

みんないつの間にかに親の手元を離れ、自分の人生を歩み始めるものです。寂しいようで、嬉しいことです。
「人生の選択」をしているのですから、見守り応援してあげるしか親としてできることはないのでしょう。

通信制はよほど意志が強くないとと漏らすものの、そもそも彼女は、娘の演劇志向を容認しているのです。
それにしても、一度の失敗にあきらめずに、お見事です。生きる力を感じさせてくれます。
「やってみなはれ」「いろいろなことを細心に大胆に」とエールを送ります。


      「紙風船」    黒田三郎
    落ちて来たら
    今度は
    もっと高く
    もっともっと高く
    何度でも
    打ちあげよう
    美しい
    願いごとのように

いつか舞台を拝見できること、楽しみにしています。


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