10時頃には京都駅に着くからバスで行く、と友は言った。「東大路通を北にね」「バス停は東山仁王門」と繰り返し念を押し、10時半頃に落ち合おうと約束をした。「降りたところはお寺の塀沿いだからすぐわかるでしょう」。
10時過ぎに着いた私は、混みあう門前で「10時45分になったら並んで下さい」と書かれた整理券を2枚受け取った。約束の時間までには間がある。周辺をぶらっとしてみたものの、どこといって関心もなく…。
と、10時11分「七条大宮を過ぎました」とメールが入った。 大宮って!!?
10時30分を回っても連絡がない。やっぱり! それにしたって…。
10時50分「運転手さんに聞いたらまだ30分かかるって言うの。でもこのバスで行くからって言ってます」。彼女は10時過ぎにはバスに乗っているのだ。
反対方向だというのがなんともまずい。西に進んで北に。北大路バスターミナルを経て東大路通を南に下がってくる…。ぐるーっと大周りして…。11時20分、バスを降りたもののどこだかわからないという。目と鼻の先だ…。
10分後、行列で混みあう門前でやっと姿を見つけた。何だ~!? この一日の始まりは…。
東西南北全く分からずにいるとこうなる。にしても、一時間近くも乗っていて「間違えちゃったんかしら」とは、ホンマどうなってんのだ~。
ずいぶん待たされたけれど、待っている間に予定外に一つ多く、円形光背に3000を超える化仏が飾られた西方寺の阿弥陀如来座像を拝観させていただいてきた。
そろって信行寺さん本堂の外陣に描かれた若冲の天井絵を拝見。劣化を防ぐために寺は細心の注意を払って保存してきた貴重な文化財の公開であり、最初で最後の公開になるかもしれない。彼女に声をかけてもらわなかったら、おそらく自分では足を運ぶことはなかっただろう。
昼食後は、一般公開が始まった京都御所へ。秋晴れの一日。あれこれの顛末、これも何かの縁。すべては「ごえん」と思っておこうかしら…。