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南に面した屋根は雪解けが進んでいたのに、今朝はまたうっすらと、二度目となる雪の化粧直しがあった。
外壁に沿って雪が残る。どうにかしないといけないかと思うだけでぼんやり立っていたところに、叔子さんがやってきた。
本堂前の梅の古木を見ながら、北野天満宮の梅園の梅が咲きだしていると言う。ただ本人さんは、入園料を払ってまで見に行こうとは言わない人だ。梅見はどこででも、2月も半ばを過ぎると、ここの古木ででも楽しめる。
日差しがあればストーブ不要のわが家の一等地、安楽な部屋に上がってもらう。火鉢のぐるりで手を温め、ぴちゃぴちゃと雪解けの水が滴る音を聴く。湯が沸き、音を立てる。目的のないお喋りのBGM。
このぬくもりが長居を常とさせる。
たのしみは湯わかしわかし埋火を中に差し置て人とかたる時
たのしみは心おかぬ友どちと笑ひかたりて腹をよる時
橘曙覧の「独楽吟」に歌われるさまに似る。物質的には貧しい生活の中で、生きる喜びの一瞬を詠ってぃる。
あまり自分をさらさない、あけっぴろげとはいかない性分の私なのに、叔子さんとは親きょうだいよりも長く、親しくつきあう歳月を重ねてきた。
その日常の喜怒哀楽のそばに互いがいたことに気づかされる。
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(蛤御門から望む「雪大文字」)
今日は同志社大学内の寒梅館にあるレストランでお昼を共にした。
「よき友は心の花の添え木かな」(高田好胤)