京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 「野菊が好き」

2013年10月10日 | 日々の暮らしの中で

桜の木のもとに、30センチにも満たないほどの草丈で咲いているのを見つけました。

まさに「名も知らぬ小草花咲(さく)野菊哉」(素堂)でしたが、野紺菊に入るのかなと調べてみました。
菊は秋を代表する花のひとつですが、豪華なイメージとは程遠い野菊。こうしてひっそりとした風情で咲く、控えめな可憐さに美しさが感じられます。

〈私はなんでも野菊の生まれ返りよ〉〈民さんは野菊のような人だ〉17歳の民子と15歳の政夫とが交わす声が聞こえるようです。
仲のよい二人。一事件を経るたびに二人の胸に湧いた恋の卵が大きくなっていくのです。陰暦の9月13日、今夜が豆の月だという朝、二人して山畑の綿を採りに行く場面での会話です…。

やはり「後の月」の日には『野菊の墓』を読むことにしましょうか~。
コメント (10)
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