京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

「ふろふきの食べかた」

2017年01月23日 | 日々の暮らしの中で
          ふろふきの食べかた

       自分の手で、自分の
       一日をつかむ。
       新鮮な一日をつかむんだ。
       スがはいっていない一日だ。
       手にもってゆったりと重い
       いい大根のような一日がいい。

       それから、確かな包丁で
       一日をざっくりと厚く切るんだ。
       面とりをして、そして一日の
       見えない部分に隠し刃をする。
       火通りをよくしてやるんだ。

       そうして、深い鍋に放り込む。
       底に夢を敷いておいて、
       冷たい水をかぶるくらい差して、
       弱火でコトコト煮込んでゆく。
       自分の一日をやわらかに
       静かに暑く煮込んでゆくんだ。

       こころさむい時代だからなあ。
       自分の手で、自分の
       一日をふろふきにして
       熱く香ばしくして食べたいんだ。
       熱い器でゆず味噌で
       ふうふういって。

雪の舞う一日でした。今日は長田弘の「ふろふきの食べかた」という詩を、ふうふういって熱々をいただきました。
                                                   
コメント (4)
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