わが家の温州ミカンです。
何の緊張感もなく、ぼ~っと、太るにまかせて大きくなってきたようなミカンが、木の中に一つ二つ生りました。
他人事とは思えぬ親しみを感じ、一つもいできて食べてみると、「見かけによらず」と言いたいところですが、大味でぼんやりとした「見かけ通り」の味でした。
よく言えば、甘すぎず酸っぱすぎず、おっとりした味。
曹洞宗徳雄山建功寺住職、枡野俊明(ますの しゅんみょう)師の言葉に、こんなものがあります。
ぼーっとしてみる
(『日めくり 一日一禅 -シンプルに美しく生きる禅の教え』<枡野俊明・小学館>より)
この「日めくり」で枡野俊明師は、
「多忙な時こそあわてず、あせらず、何もせず、たとえ3分でも、ただぼんやりしてみる。
すると何ものにもとらわれない、純粋で素直な自分が顔を出すでしょう」
と解説していました。
人もさまざま、ミカンの個性もさまざまです。
わが家の「ぼ~っと太るにまかせて大きくなったミカン」も、それほど日当たりが良いわけではない庭で、おっとりと穏やかに、自分らしい生(せい)を素直に生きてきたのです。
味わっていただきましょう。
紅葉(黄葉)も深まってきました。