文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:魔使いの秘密

2014-03-05 21:10:01 | 書評:小説(SF/ファンタジー)
魔使いの秘密 (sogen bookland)
クリエーター情報なし
東京創元社

(注)書影は、文庫本のがなかったため、単行本のものになっています。

 ジョゼフ・ディレイニーによる大人気「魔使いシリーズ」の文庫版第3弾、「魔使いの秘密」(創元推理文庫)。主人公のトムが、師匠の魔使い・ジョンらとともに、闇の者たちと戦う人気シリーズだ。

 前作で古代の悪霊ベインを倒したトムたちだが、今回対決することになるのは、強大な力を持った冬の魔王ゴルゴスと、彼を蘇らそうとしている、魔使いの元弟子で死霊を操るネクロマンシーを専門とするモーガン。この巻では、トムの父親が亡くなるのだが、モーガンはその霊を人質に、トムに魔使いのところから、ゴルゴスを復活させる方法の記された指南書を持ってくるよう強要する。トムは、モーガンに殴り倒されるわ、ゴルゴス復活の生贄にされそうになるわで散々だったが、こちらの方の結末は意外にあっけない。

 面白いのは、もうひとつのエピソードの方だ。冬になり、ジョンとトムは、アングルザークにある冬の家に移ることになる。その家には、かってジョンが愛したラミア魔女のメグが住んでいるのだが、魔使いのいない夏の間は、地下室で眠らされている。ところがメグが記憶を取り戻し、魔使いを地下室に閉じ込めてしまった。トムもメグによって地下室に幽閉されるのだが、なんとか脱出し、師匠救出大作戦が始まる。

 なにしろ、家の中には、魔使いが封じていた、メグの姉で野生ラミアのマーシャや魔女のベッシ―・ヒルといった怖い連中がうろついているのだ。メグ自身も強敵である。果たして、トムは無事に師匠を助けられるのか。このあたりは、もうハラハラどきどきものである。

 ところで、今回魔使いジョンの意外な過去が明らかになる。彼は少なくとも3人の女性と浮名を流したプレイボーイだったのだ(笑)。弟子のトムには、女に気をつけろと言っている師匠だが、これは自分の体験からだろうか?メグとは、何らかの和解をしたようだが、結局別れることになったようだ。でもジョンは、まだまだ未練たっぷりのようである。

 この巻では、トムとアリスとの絆がますます強まったようである。アリスは、トムの友達で彼を色々と助けている魔女の血を引く少女だ。トムの母親も公認の仲のようだし(笑)、これからの二人の活躍が楽しみである。

☆☆☆☆

※本記事は「本の宇宙」ど同時掲載です。

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