「日本のビジネスパーソンの9割以上は、聴衆が眠くなってしまうようなプレゼンテーションを行っている」と、のっけからなかなか刺激的な事が書かれているのが、この
「世界最高のプレゼン術 World Class Speaking 」(グレッグ・バレンタイン監修/ウィリアム・リード著:角川書店)だ。私も、セミナーやビジネス上の説明会などでプレゼンを受ける機会が多いが、確かに、眠くなるばかりで、聴いてもほとんど心に残らないようなプレゼンが多いことは事実である。
それでは、眠くならないプレゼンを行うにはどうしたらよいのか。本書で紹介されているのは、「ワールド・クラス・スピーキング」というものだこれは、本書の監修者でもある、クレッグ・バレンタインという人が開発した「誰でもプレゼンがうまくできる方法」らしい。著者のウィリアム・リード氏は、その認定コーチの世界第一号という。余談ではあるが、こういった、何らかのノウハウを体系化し、ビジネスに結び付けるというところは、いかにもアメリカ流のビジネスモデルらしい。
紹介されているノウハウは、プレゼン用のスライドづくりから、オープニングからクロージングに至るまでのプレゼン時におけるものまで多岐に渡っている。ビジネスマンなら、いくつかは聞き覚えがあるかもしれないが、本書ではそれが体系的にまとめられており、うまいプレゼンを行いたい人には、大いに参考になるだろう。
特に賛成なのは、スライドに伝えたいポイントを盛り込み過ぎないということだ。これは案外と良く見かけるのだが、自分の調べたこと、知っていることを全部もりこもうとする。自分はこれだけすごいんだとアピールしたい気持ちは分からなくもないが、聞いている方は、スライドの文字は小さくてろくに読めないわ、しゃべっていることも断片的にしか頭にのこっていないわで、却って逆効果だろう。
著者は、プレゼンの上手な人は、スピーチを補足するためにスライドを使うと書いている。そうなのだ。プレゼンではあくまでスピーチが主であり、スライドは副なのである。しかし、実際には、スライドに掲載された資料を読むだけのプレゼンがいかに多いことか。このことを改めて認識できるということだけでも、本書を読む価値はある。
この他、最初にしっかりした骨組みをつくることやストーリーを作ることの重要性、原稿をつくることやリハーサルを行うことの大切さなどといったことにもいちいちうなずける。プレゼン名人を目指すビジネスマンなら、一読しておいて損はないだろう。
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