文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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Γ関数の回帰式

2016-01-03 15:11:22 | 電気・電子工学
 風力発電で、風速の度数分布を表すにはワイブル関数が使われるというのは前回記事の通りだが、平均風速を計算しようとすると、以下の確率密度関数にVをかけて、Vについて0~∞まで積分すればよい。

・確率密度関数

 f(V)=(k/c)(V/c)^(k-1)exp〔-(V/c)^k〕(V:風速、k:形状係数、c:尺度係数)

・平均風速
 Vav=∫V・f(V)dV (Vについて0~∞まで積分)だから、これに実際にf(V)を入れて若干の変数変換などを行うと

 Vav=cΓ(1+1/k)

 ここにΓはガンマ関数と呼ばれるもので以下のようなものである。

 Γ(z)=∫t^(z-1)exp(-t)dt(tについて0~∞まで積分)(本当に数式を表すときは面倒くさい)

 
 ガンマ関数には以下のような回帰式が成立すると書いてあったので、これも証明してみよう。

 Γ(z+1)=zΓ(z)

(証明)
 ガンマ関数の定義式より

 Γ(z+1)=∫t^zexp(-t)dt(tについて0~∞まで積分)

これは部分積分を行うことにより

  Γ(z+1)=-t^zexp(-t)+z∫t^(z-1)exp(-t)dt= -t^zexp(-t)+zΓ(z) (tについて0~∞まで積分)

 右辺第一項は、tが0のときも∞のときも0となるから結局

 Γ(z+1)=zΓ(z) (証明終)

○関連過去記事
ワイブル分布の積分




 
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ワイブル分布の積分

2016-01-03 13:04:23 | 電気・電子工学
 風力発電に関する本を読んでいると、風速の度数分布はワイブル分布で表されることが多いと書いてあった。ワイブル分布とは、品質管理などでも使われる分布関数である。

 風速の度数分布の確率密度関数f(V)と、風速がVa以下の確率F(Va)はそれぞれ以下のようにあらわされる。

 f(V)=(k/c)(V/c)^(k-1)exp〔-(V/c)^k〕(V:風速、k:形状係数、c:尺度係数)

 F(Va)=1-exp〔-(Va/c)^k〕

 f(V)からF(Va)を導出する過程は書いてないが、これはf(V)を0~Vaまで積分すればよいはず。理工書を読むのに一番大切なのは数式を理解するということだ。出てきた数式は、自分の手で追ってみる。これが理工書を読みこなす秘訣である。やってみるとミスプリが見つかったりして意外と楽しい。

 導出過程の書いてあるものはもちろんのこと、導出過程が省略されているものについても自分でその行間を埋めていくとよい。そうやって初めて理工書に書いてあることが理解できるようになるのだ。

 最初は生真面目に部分積分法などを使ってやってみたが、私は計算自体はあまり得意でないので、どんどん泥沼に落ち込んでいく(笑)。

 ここでふと気が付いたのは、(V/c)の形。係数のほうは(k-1)乗、exp関数の中はk乗という形になっている。

 ここで次の積分を考える。

 ∫x^(k-1)exp(-x^k)dx

 今、t=-x^k と変数変換すると、dt=-kx^(k-1)dx

 ∴ 与式=-(1/k)∫exp(t)dt=-(1/k)exp(t) 

 変数を元に戻すと、与式=-(1/k)exp(-x^k) ・・・(1)

 となり、この式は簡単に積分できることが分かる。

 そこで最初のf(V)とF(Va)の式に戻る。f(V)の積分においては、(1)においてx=V/cとおいて0~Vaまで積分するとF(Va)が簡単に導出できる。

 関数の形は複雑だが、それに惑わされないで自分の手で計算して確かめてほしい。それにしてもブログって数式を表すときになんとも不便だなあ。

 またワイブル分布において、k=2の場合はレイリー分布と呼ばれ、こちらも風速の度数分布を表すのに使われるようだ。

コメント (4)
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