竹原港の建物(たけはら海の駅)
フェリー
もう先週のことになるが、所属しているある団体の見学会に参加してきた。目的は、大崎上島にある
「大崎クールジェン」の見学。竹原港からバスごとフェリーに乗り込んで、大崎上島を目指す。
大崎クールジェン
「大崎クールジェン」は中国電力と電源開発が半々の出資を行い、酸素吹きIGCC(Integrated coal Gasification Combined Cycle)の実証試験を行っている会社だ。IGCCとは、石炭をガス化し、そのガスでガスタービンを回したうえ、排熱を回収して蒸気タービンを回すというもので、石炭ガスを使ったコンバインドサイクル発電方式である。
この会社は、中国電力の大崎火力発電所の構内にある。ここでは、PFBC(加圧流動床複合発電方式:Pressurized Fluidized Bed Combustion Combined Cycle)による石炭火力発電所が運転されていたが、現在は動いていない。しかし、IGCC実証試験のために発電所のユーティリティ設備を活用するとのことだ。
この試験は3期に分けて行われ、第一段階の開始はH28年度から。効率は、送電端で40.5%(HHV)とのことである。ここで発電端とか送電端という言葉の説明をしておこう。発電所には、発電機だけでなく、そのほかにも多くの補機があり所内電力が必要となる。この分を差し引いて計算した効率が発電所出口の効率ということになり送電端効率という。また、それを考慮しない発電機だけの効率は発電端効率と呼ばれる。
また火力設備の効率にはHHV(高位発熱量:Higher Heating Value)とLHV(低位発熱量:Lower Heating Value)の2通りがある。これは、燃料の発熱量として、含まれている水分や燃焼により生成される水分の凝縮熱を含むかどうかという違いである。要するに水が蒸発する際に必要な熱量を、燃料から差し引くかどうかということだ。差し引いた熱量で計算した値がLHV、差し引かないで計算した値がHHVである。
ここで効率は(発電量)/(燃料の発熱量)×100(%)(ただし、分子分母は単位をKcalかkWhでそろえる)なので、分子が小さいほど、効率の数字は大きくなる。だから、本質は変わらないのに、LHVの方が数値としては大きくなるのだ。日本の電力会社の火力発電所は、伝統的にHHVを使ってきたが、欧米やアジアの発電設備ではLLVが主流だそうだ。わが国でもコジェネなんかはLHVで表されていることが多いので、効率を見るときには注意が必要である。数値的には大体1割くらい違ってくると思えばよい。
ところで2期は、CO2分離・回収装置を追設したCO2分離・回収型IGCC実証試験。また3期は、これに燃料電池を組み合わせた、CO2分離・回収型IGFCの実証試験が計画されているとのことである。