![]() | サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る (ハーパーコリンズ・ノンフィクション) |
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・スティーブ・ケース、(訳)加藤万里子
アメリカの未来学者であるアルビン・トフラーが1980年に発表した「第三の波」(原題:The Third Wave)。私くらいの年代なら、この本が当時かなりの話題を呼んだことを記憶しているだろう。そこでは社会にもたらされた大変革を三つの波として説明していた。
第一の波は農業革命、第二の波は産業革命、そして第三の波は情報革命ということで、これから第三の波が押し寄せてくるといった内容だったと記憶している。
本書の原題もトフラーの書いた書と同じく「The Third Wave」であり、トフラーの書にインスパイアされて書かれたものである。(著者は謝辞でオマージュだと言っている。邦題をあえてカタカナにしたのは紛らわしいからだろうか?)ここでは、トフラーの第三の波の中身ともいえるインターネットの発達について、更に三つの波に分けて語られている。
本書によるとインターネットの第一の波はその黎明期である1985年~1999年。ここではオンライン世界の土台が構築された。第二の波は、アプリ経済とモバイル革命の2000年~2015年。検索エンジンやSNS、eコマースなどが発展したのはこの時期だ。そして2016年から始まる第三の波では、あらゆるものがインターネットで繋がっていくという。
著者は、アメリカの大手インターネットサービス会社AOL(America Online, Inc.)の元CEOであり、その歴史の生き証人のような人物だ。本書に書かれているのは、AOLの歴史と、これから来るインターネット第三の波にどのように乗っていけばよいかに関する提言である。
AOLの歴史といっても、決して成功物語ではない。むしろ失敗続きと言った方が正解だろう。本書にはパートナーシップの重要性も説かれているが、AOLのパートナー選びがうまくいかなかったことの連続というのはある意味皮肉だ。最悪だったのは、タイム・ワーナーとの合併。これにより、著者はついにAOLを離れることになってしまった。
しかし、我々が学べるのは、「まぐれ」に満ちた成功物語よりは、むしろ失敗話の方だ。ピンチに陥る度、どのようにして乗り切ってきたかという話の方が役に立つものである。アメリカと日本ではビジネス環境はだいぶ違うとはいえ、このような話は多いに参考になるに違いない。
そして、第三の波への対応にもいくつかのヒントが示されている。まだまだ第三の波は始まったばかりだ。これをうまく乗りこなすことができれ者が、成功を手にするのである。
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※本記事は「風竜胆の書評」に掲載したものです。