![]() | 人事課長鬼塚 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) |
クリエーター情報なし | |
集英社 |
・渡辺獏人
主人公の鬼塚は太陽ビールの人事課長。一見こわもてで「人事の鬼」と呼ばれているが、実は一人一人の特徴を十分に把握したうえで、それを活かせるような人事を行っている。そのためなら、役員にも異議を唱えるという、まさに理想の人事屋だ。
でも、ちょっとまて! そんな人事屋なんていね~よ(笑)。 大きな会社になるほど、個々の人間の能力なんて把握できなくなるから、人事の仕事は、いろんな部署から上がってきた人事案を調整と銘打って、書類上で適当に操作しているだけ。ひどいところになると、メンバーの能力など関係なく、人員の数に応じて、成績を割り当てているところもあるのでは。
だから、どこにいるかということが人事考課のための重要な要素になる。優秀な人間が多いところにいれば、相対的に不利になり、そうでない場合は、その逆になる。また、誰が考課を行うかによってもかなり違う。きちんと部下の実力を見てくれる上司もいればそうでない上司もいる。テレビで話題の「イヤミ課長」なんて奴の下についたら最悪だろう。要するに、人事というのは、必ずしも本来の能力で決まるわけではないということだ。
大きな企業になるほど、人間というのはコマ扱い。個人の能力なんてのは無視して、「人役」という十把一絡げでの扱いをされているところもある。
それにこの漫画、人事課長が、直接他部署の社員を呼び出して話を聞いているが、それぞれ直属の上司がいるのに、その頭越しにというのは、普通の会社だとまずないだろう。
それに課長って、一応管理職だけど、ふつうはそれほど権限を持っているわけではないよ。下には係長だのがいるけど、あれは労基法上は管理職ではない。労基法上の管理職というのは、課長以上としている会社が多いので、法的には課長は管理職の末端ということになる。ただし、判例にあるような管理職の定義に当てはまるほどの権限を持った課長なんてまずいない。
大体人事とか労務が力を持っている会社なんてろくなものではない。この会社も人事課長が、社員たちに畏怖されているが、人事課長なんて気にしているような会社って働きたくもないな。
まあ、そうは言っても、本当にこんな人事課長がいたらいいなとは思うのだが。
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※本記事は、「風竜胆の書評」に掲載したものです。