ハッキリ言わせていただきます! 黙って見過ごすわけにはいかない日本の問題 (単行本) | |
クリエーター情報なし | |
集英社 |
・前川喜平、谷口真由美
本書は、元文部科学省の事務次官・前川喜平氏と大阪国際大学准教授の谷口真由美氏の対談を本にしたものである。内容を一言で言えば、政治家に対する批判や今の教育に対する批判。
学校に、変な校則や規制が多いのは私も同意だ。例えば、髪の毛。地毛が茶色でも黒く染めさせるということはよく聞くが、私も高校の頃、少しでも髪の毛が長くなると、教師に文句を言われた(まあ無視はしていたが)。髪の毛の色や長さなんて、教育にはまったく関係ないだろうと思う。
谷口さんの娘さんが学校からもらってきたプリントには、整列の仕方なるものがあったそうだ。なんでも整列時は、つま先を60度に開くとか、前にならえの後で、直れと言われたら最後に体側をパンと払うとか。どうでもいいやんと思うのは私だけだろうか。
内申書に対する批判もある。あの内申書というやつも私は反対だ。中学から高校へ進む際には内申書というやつがあるが、あれは特定の教師が主観で書いたものだろう。そして時々間違えたというニュースが流れる。今はどうかしらないが、昔は大学に入るときにはまったく内申は考慮されず、入学試験の成績だけで選ばれた。それで問題が起こったという話も聞かないので、内申書というものは廃止すべきだろう。あれがあることにより、生徒や父兄が教師や学校の顔色を伺うことになる。百害あって一利なしの制度だと思うのだが。もちろん犯罪を犯すようなやつは即警察の出番だ。
道徳の教科書には噴飯ものの話が載ってるらしい。本書で取り上げられているのは「星野君の二塁打」という話である。星野君は監督からバントのサインが出されていたにも関わらず、自分の判断で二塁打を打ち、チームは勝利し大会への出場が決まったが、星野君は指示に従わなかったということで叱責され、大会への出場も禁止されたというものだ。要するに、自分の頭で、考えてはだめで、上からの指示に盲目的に従えばいいということだろう。
これに関わらず、そこかしこで、今の教育は生徒に考えさせないようにしていると批判しているが、思うに、生徒に考えさせないような教育は、政治家が自分たちより賢い国民が増えては困るからではないのか。
ただ、文部科学省の事務次官まで上り詰めた前川氏がそこまで言っていいんかいという気はする。もちろん組織に属していれば言い難いことはあるだろう。しかし、事務次官と言えば事務方のトップなのだから、それだけ批判があればもっと改革してもよかったのにと思う。政治家が大臣や副大臣として天から降ってくるのだから確かにやり難いかもしれないが。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。