この作品は、いつものように平次と八五郎の掛け合いから始まる。掛け合いのない作品もあるが、これがないとちょっと寂しい。
さて、今回の事件だが、麹町六丁目にある両替屋・櫻屋の評判娘が、残酷な殺され方をしたという。美人の娘が殺されるような事件に、やたら悔しがるのが八五郎のいつもの姿。別にその美人娘と八五郎には何の関係もないが、美人が殺されるのは八五郎には許せないらしい。
そして平次のもとに手紙が来る。かって平次がお縄にして、処刑寸前で縄抜けをして逃亡した、日本一と言われた大泥棒お狩場の四郎からの挑戦状である。そして櫻屋の主人六兵衛は、四郎との因縁があった。
櫻屋のあたりは、十三丁目の重三という岡っ引きの縄張りである。この重三が今回の平次の引き立て役。平次の引き立て役といえば、三輪の万七だが、原作の方ではいつも彼が出てくるわけではない。テレビドラマでは引き立て役は万七に決まっているようなところがあるが、原作の方では、結構引き立て役が多い。
お狩場の四郎の件もあり、この事件に平次が乗り出すのだが、意外な結末が待っていた。それにしても、手柄を重三に譲るとは、平次結構世渡り上手?
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