ここは北にある小さな国。寒さのせいで作物もわずかしかとれないまずしい国だった。ある時、この国の王様が沼に住むドラゴンにお願いした。金貨をあげるから、どうか火を吐いてこの国を温めてくれと。ドラゴンはその願いを聞いて、国を温め、人々はますしさから解放された。ここまでは良かったが、国が豊かになると王様は贅沢三昧。とうとう隣の国を征服してしまった。それでも、ドラゴンが火を噴くのを止めないものだから、国はどんどん乾いていった。王様がドラゴンに、金貨を提示して火を吐くのを止めてくれと言っても、ドラゴンは提示額の100倍もの金貨を要求して一層強く火を吐くだけ。しかし、子供たちの願いに応えてドラゴンは火を吐くのを止める。
この王様、最初は自分の国や民を豊かにしたいという思いがあったんだと思う。しかし、その手段を安易にドラゴンに頼った結果、やることがうまくいくものだから、きっと思いあがってしまったんだろう。
この王様が間違っていることが二つあると思う。一つ目は自分で地道にやらないで、安易にドラゴンという強力な存在に頼ってしまったこと。強力な存在を、自分の思う通りに動かせる訳ではない。もし制御できない事態に陥ってしまえば、待っているのは破滅だということ。
二つ目は、すべてお金で解決しようとしたこと。確かにお金の効力はものすごくあるが、それはお金の価値を認めている者だけの話。たとえ金貨といえども、ドラゴンにとってはそれほど価値のあるものではなかったのだろう。
☆☆☆☆