本書は、虎毛の熊犬として生を受けた秋田犬・銀の物語だ。最初は赤カブトという熊との闘いを描いたもので、赤カブト編となっている。場所は東北。東成瀬役場と言う立て札があったので、おそらく秋田県の南東にある東成瀬村が舞台だろう。この東成瀬村は平成の大合併でも他の市町村とは合併しなかったので現在も存在している。
本州にいる熊はツキノワグマだけなのだが、この赤カブトは、ヒグマのように大きく狂暴な人食い熊である。きっと突然変異かなにかで生まれたのであろう。なお、銀牙にはいくつかのシリーズがあるが、これは始まりの物語でもある。
そして、もう一人赤カブトに因縁のある人物が竹田五兵衛という67歳の老猟師。村で一人だけ熊犬をもち猟銃にかけては一流だが、無口で酒癖が悪い。五年前に赤カブトに左耳をそぎ取られた代わりに、右目を銃で撃って片目にしている。今回も赤カブトに襲われて、右足を失うことになった。しかし使っている銃が昔ながらの村田銃。
ちなみに、銀はこの五兵衛の熊犬のリキが父親で、大輔の家で飼っている富士が母親である。生まれた子の1匹をもらうという約束が五兵衛との間であったようで、銀は五兵衛のもとで熊犬として、虐待に近いような厳しい修行を送ることになる。
犬たちが人間のようにしゃべっており、中々面白い動物漫画だ。
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