眠れないほどおもしろい「古代史」の謎: 「神話」で読みとく驚くべき真実 (王様文庫) | |
クリエーター情報なし | |
三笠書房 |
・並木伸一郎
本書の根底を流れているのは、神話にもある歴史的事実が隠されているということだろうか。しかしそれはひとつの仮説であり、いくら神話をもとに力説されても、聞いている方は眉に唾をつけざるを得ない。また、私も古代史は好きなので、どこかで読んだり聞いたりしたようなことが多く、それほど新鮮味は感じられなかった。またほぼ偽書とされる「東日流外三郡誌」なんかを批判的に扱ってないのも大きな減点ポイントだろう。
例えば、本書には箸墓古墳について以下のように書かれている。
<時の天皇陵である崇神天皇陵よりもはるかに巨大なのだ。これはまさしく、モモソヒメが天皇すらしのぐ権力を掌握していたことの表れなのである。>(p93)
たしかに箸墓古墳はモモソヒメの墓となっているが、実際には誰が眠っているかはわからないのである。
私が常々疑問に思っていたことの一つに、3種の神器である。たしか南北朝の時、受け渡しがあったと思う。最初南朝側が持っていたものを北朝側が接収したはずだ。しかし、それより前の時代に八咫鏡はアマテラスのご神体として伊勢神宮に、草薙剣は熱田神宮に置かれている。それとも3種の神器と言いながら実は八坂の勾玉だけだったのか。もしかすると南北朝でやりとりしたのはレプリカということか。このあたりは、あまり突っ込まれていないが、どちらにしても、あまりありがたみはないなあ。
なお、タイトルは「眠れないほどおもしろい」だが、正直なところ、読んでいる間に何度も寝落ちしたのは余談。
☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。