本書は、櫛木理宇さんによる「ホーンテッド・キャンパスシリーズ」の第6弾となる。超草食系男子の八神森司と超絶美少女の灘こよみたち雪越大のオカルト研究会のメンバーが怪奇な事件に立ち向かうというものである。ただ、灘こよみは美少女なのだが、目が悪く矯正もできないので、いつも眉間にしわがよってにらみつけるような感じなので、知らない人が見ればびっくりするかもしれない。でも森司はこよみの事が大好き。こよみもどうも森司の事が好きみたいである。
この巻に収められているのは次の4つの怪異。1,2話に共通するのはビョーキということだろうか。
〇旅籠に降る雨
非常勤講師の元教え子である駿河木綿子(旧姓倉持)は、倒産寸前の旅館を見事に立て直した。ところが、この旅館で、カエルや石などが降ったりという怪異が続く。
〇白のマージナル
オカ研副部長の三田村藍と黒沼麟太郎部長、その従弟の黒沼泉水との出会いと、オカ研結成のきっかけ。この話では藍の家族構成が分かる。どうも兄と6歳離れた双子の弟たちがいるようだ。
〇よくない家
森司はこよみへのクリスマスプレゼント用の資金を得るために、引っ越しのアルバイトに精を出すが・・・。
〇異形の礎
合コンに参加した連中が、いわくつきのトンネルの慰霊碑を倒してしまった。そして参加した女子学生の一人に怪異が起こる。
この巻では、全体を通して、森司の中学時代の部活仲間である津坂浩太というのが登場する。スポーツ推薦で東京の某有名大学に進学したという設定だ。私に言わせれば、そんな大学つぶせよと思うのだが、現実としては運動関係の大会の時くらいしか名前を聞かない大学はたくさんある。そして、この津坂浩太の役割はどうみてもお邪魔虫。森司とこよみは周りがやきもきしながらも少しづつ近づいているのに、こいつは、こよみのレベルが高すぎと、森司には相応しくないと言い続ける。
こよみの母親はどうも森司とこよみの間を認めているらしい。次のような言葉から明らかだろう。
「八神くん、かわいい顔してるものね。どっちに似てもかわいい孫が生まれるって、こっちとしちゃ安心よね、おとうさん」(p338)
もちろん父親は微妙な立場だ。娘が可愛くって、絶対に嫁にはやらんというやつである。でも森司の簿記の家庭教師をやってくれるんのだから、半分は認めているということかな。果たして森司とこよみの関係はどうなるのか。
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