文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

ホーンテッド・キャンパス 雨のち雪月夜

2022-11-09 08:13:42 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 本書は、櫛木理宇さんによる「ホーンテッド・キャンパスシリーズ」の第6弾となる。超草食系男子の八神森司と超絶美少女の灘こよみたち雪越大のオカルト研究会のメンバーが怪奇な事件に立ち向かうというものである。ただ、灘こよみは美少女なのだが、目が悪く矯正もできないので、いつも眉間にしわがよってにらみつけるような感じなので、知らない人が見ればびっくりするかもしれない。でも森司はこよみの事が大好き。こよみもどうも森司の事が好きみたいである。

 この巻に収められているのは次の4つの怪異。1,2話に共通するのはビョーキということだろうか。

〇旅籠に降る雨
 非常勤講師の元教え子である駿河木綿子(旧姓倉持)は、倒産寸前の旅館を見事に立て直した。ところが、この旅館で、カエルや石などが降ったりという怪異が続く。

〇白のマージナル
 オカ研副部長の三田村藍と黒沼麟太郎部長、その従弟の黒沼泉水との出会いと、オカ研結成のきっかけ。この話では藍の家族構成が分かる。どうも兄と6歳離れた双子の弟たちがいるようだ。

〇よくない家
 森司はこよみへのクリスマスプレゼント用の資金を得るために、引っ越しのアルバイトに精を出すが・・・。

〇異形の礎
 合コンに参加した連中が、いわくつきのトンネルの慰霊碑を倒してしまった。そして参加した女子学生の一人に怪異が起こる。

 この巻では、全体を通して、森司の中学時代の部活仲間である津坂浩太というのが登場する。スポーツ推薦で東京の某有名大学に進学したという設定だ。私に言わせれば、そんな大学つぶせよと思うのだが、現実としては運動関係の大会の時くらいしか名前を聞かない大学はたくさんある。そして、この津坂浩太の役割はどうみてもお邪魔虫。森司とこよみは周りがやきもきしながらも少しづつ近づいているのに、こいつは、こよみのレベルが高すぎと、森司には相応しくないと言い続ける。

 こよみの母親はどうも森司とこよみの間を認めているらしい。次のような言葉から明らかだろう。

「八神くん、かわいい顔してるものね。どっちに似てもかわいい孫が生まれるって、こっちとしちゃ安心よね、おとうさん」(p338)

もちろん父親は微妙な立場だ。娘が可愛くって、絶対に嫁にはやらんというやつである。でも森司の簿記の家庭教師をやってくれるんのだから、半分は認めているということかな。果たして森司とこよみの関係はどうなるのか。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カオスとフラクタル―非線形の不思議

2022-11-07 21:32:13 | 書評:学術教養(科学・工学)

 

 結構古い本なので、書店ではもう見かけないかもしれないが、ちくま学芸文庫にもなっているようなので、そちらの方を読まれるといいかもしれない。

 本書は副題にもあるように、非線形な現象にこんな不思議なことが起こるということを分かりやすく説明したものである。

 ここでいう線形とは、入力と出力との間に何らかの比例関係が見いだせるもので、カオスというのは、僅かに初期値がずれると、その後の挙動がまったくことなるものになっていくようなものだ。フラクタルというのは、フランスの数学者であるブノワ・マンデルブロによって唱えられた概念で、ある図形の一部をとると、それが元の図形と相似になっているものを言う。

 本書は、パイコネ変換を例にとって、まず非線形とは何かを説明した後、各論として、生物学や物理学工学におけるカオス現象の例について説明している。物理学における例としては、ローレンツの気象学における研究が、工学における例としては、京大名誉教授の上田さんがダフィング方程式をアナログコンピュータで解いているときに発見した、ジャパニーズ・アトラクタなどが示されている。

 表題には、「カオスとフラクタル」とあるが、実は全体の7割強まではカオスについての話で、フラクタルの話は、終盤の第5章の「カオスからフラクタルへ」と第6章(最終章)の「カオスとフラクタルー今後の展望」となる。

 この方面に興味がある人には一読する価値があるものと思う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

逃げろ光彦―内田康夫と5人の女たち

2022-11-05 12:53:58 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 

 内田さんの浅見光彦シリーズはほとんど読んでいるが、そういえばこれはまだ読んでないと手に取った。収録されているのは5つの短編。5つの短編を収めていくので5人の女たちという訳だ。みな浅見光彦シリーズの話かと思ったが、光彦も内田センセも表題作しか出てこない。また、5人の女たちと言っているが、5人以上出てくるのはご愛敬。

 内田さんは警部に捜査させるのが好きなようだ。「信濃のコロンボ」シリーズに出てくる竹村岩男の階級も警部だ。警部が現場に出ることがないとは言い切れないが、一応所轄の課長レベルの階級である。どちらかというと自分で操作するよりは部下に指揮命令する方が主になるのではないか。

「濡れていた紐」に使われているトリックは、よく分からない。紐は濡らして乾いたら縮む。警察がそれに思い当たるように紐を濡らしたというのだが、濡らさない方が、密室だと判断されて、自殺となる確率が高いと思うのだが。それにドアノブをどこに縛ったんだろう。

 前に書いたように光彦が出てくるのは表題作の「逃げろ光彦」だけであるが、どうも違和感がある。なんかいつもの光彦とちょっと違うんだよな。やはり浅見光彦シリーズは長編に限ると思う。

 5作に共通してのテーマは「女は怖い」ということか。

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銭形平次捕物控 278 苫三七の娘

2022-11-04 13:00:43 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 最初この表題を見て、「くさみの娘」かと思い、面白い題名だと思ったが、実は「とまさんしちの娘」と読むのが正解である。字をよく見れば「苦」ではなく「苫」である。苫三七というのは、江戸中どこにでも小屋を掛けて色々な芸を見せる芸達者な男である。

 その三七が首を縊って死んだという。三七には、お百合とお若という二人の娘があった。どちらも本当の子ではないが、三七はかわいがっていたという。どちらも美人だが、お百合の方は細面で愛嬌に乏しい冷たい美人タイプ、お若の方はぽっちゃりとした愛嬌のあるタイプだ。

 名探偵役の平次と対比するための迷探偵役は、ドラマではもっぱら三ノ輪の万七なのだが、この話では、平次の子分の八五郎がその役を務めている。この話では八五郎が、三度も女に抱き着かれて鼻の下を伸ばしている。そして三度目のときは、三七から預かった書付を取られてしまうのだ。この事件の裏には、大店の跡継ぎ問題があった。

 この作品を一言で表せば、作中にもある「外面如菩薩内心如夜叉」ということだろうか。この言葉は、いかにも優しそうな女性で実は、超悪女と言った女性に使うのだが、平次の謎解きを聞くと、ぴったりの言葉だと思うだろう。しかし八五郎には、まったく見る目がないことが、はっきりした(笑)

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2人だけのオフ会に大人なおねえさんがきた 2

2022-11-01 11:02:18 | 書評:その他

 

 「師匠くん」というハンドルネームの主人公がゲーム友達とオフ会を開くと、なんと現れたのは、美人でナイスバディな大人のお姉さん。ちなみに彼女のハンドルネームは「アルルンさん」、本名は、白石さんらしい。

 前作では、歳の差はあるものの二人がどんどん仲良くなることを予感させているが、この巻ではますます二人の距離が近くなっている。これは完全につき合っていると言っても過言ではないだろう。

 なんやかんや言っても、傍から見れば立派な彼氏、彼女の関係だ。たとえきっかけがゲームだとしても、幾ら歳の差があろうが、立派なカップルである。ただ「師匠くん」の方は受験勉強のため、二人が会える機会は減ったようだが、しっかり連絡はとりあっている。

 二人で映画に行ったり、ゲームセンターに行ったり。これは「師匠くん」、大人の階段を上がるのも秒読みかな。3巻は出るのかな? もし出るとしたら、二人の関係はどうなるんだろう。

 しかし、こんなきれいなお姉さんと付き合うチャンスは、なかなかないだろう。思春期の男の子は、綺麗なお姉さんにあこがれるものだ。もしこんなチャンスがあったら、絶対に逃してはいけないと思う。何しろ幸運の女神には前髪しかないので、一度つかみそこねるとダメだという話もあるし。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする