1Q84
晴れ、15度、76%
昨年の11月の半ばでした。香港の本屋の店頭に、2冊の厚い新刊が並びました。一冊は、スティーブン ジョブズの自伝。もう一冊が、村上春樹の1Q84でした。
3年ほど前でしたか、新潮社から発売の予告もなく刊行された、1Q84.瞬く間に売り切れで、増刊を重ねたことなど、新潮社の何かの裏話で読みました。確かに、日本に帰ると本屋の棚に横積みにされた1Q84を見かけたものです。それほどの人気の本なのに、一度も手にとらないままでした。こんな風にいうと、なんだか村上春樹の本には興味がないみたいに聞こえますが、村上春樹の本はデビュー以来、永年読んで来ています。それなのに、ここ4、5年、ほとんど買わずにいました。
本屋に出かけたのも、ほんとはジョブスの伝記を買うつもりだったのです。なぜ、横にある1Q84の方買ってしまったのでしょうね。しかも、日本語の3冊が一冊にまとまっています。900ページを少し上回る厚さです。
読みかけの本を読み終えて、この1Q84を読み始めました。当然のように、村上ワールドにどっぷりです。寝ても覚めても、この本のことばかり。おまけにこの分厚さなので、得意の寝て読むことができません。重くて支えきれないのです。そればかりか、この重さのせいで、持ち運びはできません。うちにいる時だけが、この本読める時間でした。そうなると、すごいもので、どうにか時間をやりくりします。しかも、いけません、年末の12月ではありませんか。やらなくてはならないことが一杯です。それでも、時間を見つける、いえ、時間を作ってしまうのです。
極めつけが昨日。朝のパグ犬モモの散歩から帰ったら、ソファーに座り込んだまま動きません。家人も珍しく、家で休んでいました。香港は今日から、普通に街が動き始めます。私も今日が仕事始め。残りは125ページ。ご飯は作りました。家人が呼んだら、3回に一回は返事をしました。掃除はしませんでした。ただひたすら、ソファーに座って、1Q84を読んでいました。
おかげで、夕方のパグ犬モモの散歩の時までに読み終えることができました。ただ一言、面白かった。日本語で読めば、こんなに長くかからなかっただろうにね、と今頃思います。
1984年といえば、まだ我が家が東京に住んでいた頃です。馴染みのある地名や当時はやっていた、島田順子のスーツやら。英訳版ですから、実際村上春樹はこの言葉をどう表現していたのかな?などと考えながらの本読みでした。香港では、アメリカ版と、イギリス版が売られています。同じ値段ですが、このアメリカ版の方の装幀が気に入ってもとめました。本も時には、麻薬のように中毒になります。やっと、村上ワールドから、解放されました。