晴れ、13度、82%
お正月用としての食器は、持っていないつもりでした。家人の父から譲り受けた、三段重ねの杯くらいと思っていました。ところが、正月用として求めたわけではないのに、お正月しか使っていない器が、このお椀です。
古い物です。5客とも状態がいいので求めました。私にとっては、その当時、一大決心をして買った物です。箱もありません。お店の方の知識も、確かではありませんでした。とても薄く挽かれた木地です。しかも、赤が朱に近く、本来の私の好きな古代赤とは違います。それでも、えいっとばかりに買ったのはこの絵柄でした。
何か古典に本歌がある絵柄かもしれません。本歌があれば、使う季節も決まってくるでしょうが、その本歌を知らない私は、これなら一年中使えると思って、買い求めました。
出自の解らぬこのお椀、木地の薄さと色具合から、私は独り勝手に京塗りではないかしらと思っています。薄いだけでなく、とても小振りです。
お雑煮も、少しばかりの具材にお玉半分ほどしかお出汁がはいりません。我が家にとっては、品の良すぎる大きさです。
古い物を買い求めることは稀ですが、どのようなところで、どのような方に使われていたのかと思いながら手に取ります。最近我が家の二人も、少し食が細くなりました。このお椀を、日常使いにできる日もそんなに遠くないかもしれません。